表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/14

06話 役得

 俺の身体はあっという間にというよりも驚異的なスピードで治った。

 医者に言わせれば全治1カ月がたったの2週間で回復することなど有り得ないそうだ。日本での俺は特別治りが早いなんてことはなかったし、これも一連の事態の影響なのかと思ってしまった。


 そして俺は退院して本間将太と本間きいなのマンションにやって来た。

 2LDKの間取りで整理されたリビングにソファーがある夫婦二人にピッタリの空間だった。


(まあ俺素人童貞だから夫婦にピッタリとか分からないんですけどね)


そして寝室も覗いてみたが当然のように大きなベッドが一つだけだった。


「将太ったら身体が治って早々そんなことばっかり考えてるんだから……」


 きいながベッドを見る俺に対してそんなことを言ってきたが。


「ち……違うだそんなこと断じて考えてないからな」


「考えてくれていないの?」


 きいなが潤んだ瞳で訴えかけきた。


「ともかく記憶が戻って落ち着いてからね?」


 なんとかきいなは収まってくれたが、もし今度あの潤んだ瞳で訴えかけられたら彼女を押し倒しまうだろう。


(本間将太さん万が一起きたら哀れな素人童貞を許してください……)


 夜はなんとか彼女を説得して俺は別室で寝ることになったが、役得ってあってもいいんじゃないかと常に心の中で悪魔が俺に語りかけてくる。





 きいなと今後のことについて相談していた。

 警察官としては休職し個人的に厄災について調べてみたいと彼女に伝えたのだ。


 当然きいなからはゆっくり休んで記憶を戻して欲しいと言われたが、厄災について調べることが記憶の回復に繋がるかもしれないと押しのけた。


 そもそも俺は加藤将太であり本間将太とは一切関係がないから、この家にいるべきではないのだがどうやら俺と入れ替わりで本間将太自体もいなくなっているようだ。

 彼女を騙しているので罪悪感しかないが、何かここですべきことがあるんじゃないかと勝手な理由だが俺自身を無理矢理納得させている。


「厄災について何も手掛かりがないんだよなぁ。きいなは厄災ついてどれだけ知ってる?」


「私も厄災なんて全然聞いたことないな。力になれなくてごめんなさい。でも美樹に聞いてみたら力になってくれるんじゃない」


 美樹とは将太ときいなの大学時代の親友であり、現在は仙台新聞の記者として働いているそうだ。


(確かに新聞記者なら何か情報を持っているかもしれないな)


 現在親友の美樹こと鈴木美樹は同じく親友である須藤恵美と結婚して一生に暮らしているようだ。いわゆる同性結婚で女性同士のパートナー関係らしい。

 俺のいた日本でも最近何かと言われているがこの国で同性結婚というのは当たり前らしい。

 お互いのい苗字が違うのも夫婦別姓が当然のように認められているそうだ。

 きいなが将太と同じ苗字なのは彼女が将太のことが好き過ぎて一緒にしたかったらしい。


(もうお腹いっぱいですね……)


「じゃあ今度美樹と恵美を呼んで将太の回復お祝いパーティーだね」


 そうして彼女達をマンションに招待することになった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ