立夏に偲ぶの後書きと番外編一話目の前書き
『境界守』はもともと長年頭のなかに住みついた話から枝分かれしたものでした。
(いずれ大本の話も書いていこうかと思っていますが……いつになることやら)
そのなかで最初にできたのが『立夏に偲ぶ』です。
ある日の夢で見た桜の見事さがきっかけです。
苔の緑と血のような色合いの枝垂れ桜の巨木。満月の下で大岩にもたれて静かに酒を飲んでいるシーンです。
その翌朝、窓の開いた電車内に眼下から舞い上がった桜の花びらが、車内に舞い込む光景を目にして、なぜか呼ばれたと思いました。そこから徐々に形が作られていきました。
構想段階ではこの二つのみが書かれていましたが、今回書き上げようと編集したとき、写真というアイデアが浮かびました。
そして書き終わる頃、突如曾孫が湧いてきてしまいました。
なにも終わりになって出てこなくてもいいじゃんとも思いましたが、改めて読み直すと、これはこれで結構すっきりしたもんだなと。
番外編はまったく考えていませんでしたが、この章も含めてそれぞれ除外したシーンがあったため、これらを捨てるのはもったいないなあと思っていたのがきっかけです。
ただ『立夏に偲ぶ』の番外編は、当初はまったく別の話だったのです。
(櫻妃の初代と二代目の代替わりを三代目がシキから語られるというシーンです)
なのになぜか乗っ取られてしまいました。
恐ろしいですね~。
≪告知≫
次話から始まる番外編1の最終話に、語り部からお知らせがあるかと思います。