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ミトコンドリアになろう

作者: 芦毛私淑
掲載日:2020/02/22

二人の青年ミトコンドリア、モーリスとマイケルのお話。

初投稿します。どうぞよろしくお願いします。


「おい、モーリス」

「おお、マイケルじゃないか。どうした?」

「いやー、ATP作りながら言うことでもないんだけどさ。」

「俺たちの仕事にご不満か?

ああ、最近主が運動習慣をつけたから忙しいもんな。

何なら分裂して子供にやらせれば?」

「いや、そういう話じゃないんだ。俺だって自分の仕事くらいはするさ。でなきゃゴルジ部のグールドにまたお小言食らうぜ」


「じゃあなんだよ。もったいぶってないで早く云えよ」

「お前、オカルトとか信じる奴か?」

「基本目で見たものしか信じないけど」

「いや、お前目ぇないやん」

「それ言ったら人の目じゃあ俺たちも見えないだろ」

「一匹じゃ見えなくとも集まれば見えるし。じゃあ幽霊は圧縮したら誰にでも見えるようになるんかな…って、何が言いたいの?」

「俺、動けるようになったんだよね。」

「は?」

「俺、ミオシン達に運んで貰う必要が無くなったんだ。なんか色々試してたら、自力でめっちゃ動けるようになったんだよ。」

そう言ってマイケルは凄まじい速さで幾千の仲間や敵の間をくぐり抜け、細胞内を一周して戻ってきた。

「……。すごいな!!マイケル!こんなの始めて見たよ!」

「はぁ、はぁ。ちょい疲れるけどな。」

「なあ、マイケル!俺にもそれ教えてくれよ!競争しようぜ!」

「ああ、良いよ。あ、でもモーリスって運動できるのか?」

「いや、そもそも自力で運動したことないからわかんないよ笑」

「そうだったな。じゃあやってみなくちゃな。」

そう言ったマイケルはモーリスに走り方を教えた。

「この2枚目のひだをこうして…ってモーリス、聴いてるか?」

「ごめん、すぐ終わるからちょい待ち。」


10分後…

「おけ。待っててくれてありがと。」

「お、大きくなったな。結合か?」

「ご名答。」

「そしたら続きやるか。次に3番目のひだをこうして…。」


さらに10分後…

「ああー!!こうか!やっと理解笑笑」

「よし。ちょっと一周してきな。」

「はぁーい!」

そう言うやいなや、マイケルは他の小器官を掻き分け猛ダッシュをした。


「うぉー!おもしろー!」

あっという間に帰ってきたモーリスは、これまでの人生で一番興奮していた。まぁ、人ではないが。

そして、走り回るミトコンドリアは周囲の視線をも集めていた。

「マイケル、モーリス。なんか面白そうなことやってんな。俺も混ぜろよ。」

そう言ってガヤガヤと集まってきた、ミトコンドリアをはじめとする細胞小器官たちは、モーリスやマイケルからレクチャーを受け、走り仲間を急速に増やしていった。

それはさながら、阪神高速1号線を深夜に爆走する走り屋のように。


そして翌日、細胞内で運動会が行われる運びとなった。

モーリスが集まった器官たちに呼び掛ける。

「えー、本日はご集まりいただきー、誠にありがとうございますー。この度ー、この"肋骨の下細胞1859"にてー、運動会を行うことになりましたー!」

「「いぇーい!」」

老若男女問わず、集まった器官たちが歓声を上げる。

「ではー、早速第一走者、位置についてくださーい!

 えー、今回は外側に向かったコースですので、タイムはキネシン部の皆さんが計測してくれます。」

モーリスの指示により、スタートダッシュリボソームに第一走者が集まる。


「それでは。位置について、よーい、どん!」

mRNA部マルサの掛け声により、徒競走が開始された。

この後も運動会は着々と執り行われ、大成功した。

小器官たちは存分に暴れ、日頃の鬱憤を晴らした。

最後に細胞歌を斉唱し、会を締めくくる。

またやろう。という声があちこちから聞こえてきた。




何もしていないのに肋骨の下やお尻なんかが急にむず痒くなってきた。そういう時に限って、お腹も空いてきて鳴りそうになるのである。卒業式なんかでよくなる、あれだ。


彼らがまたイベントを開催しているのだろうか。






この小説はフィクションです。もし、生死を問わず万が一実在の人物を彷彿とさせるものがあったとしても、それは全くの偶然に他なりません。



最後まで読んで下さって、ありがとうございます!

あなた自身と同様に、日頃から頑張って、あなたの活動を支えてくれている細胞たちに少しだけ目を向けて下さったなら、こんなに嬉しいことはありません。

小説は未熟者ですが、これからも是非書いていきたいと思いますので、アドバイス等ございましたらコメントして頂けると私はとても喜びます。

これからもあなたの心と体が健康になり、それが続くことを心より願っております。


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