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2050~ステータス1の廃人  作者: 烈火
第三章『娯楽都市 アクアリゾート』
42/47

☆メインストーリー3-6 Lv300 ※挿絵有

~仮想空間・アクアリゾート都市街


織姫「あら、浮かない顔ね。

いやいつも通りかしら?」


淘汰「お前よくパンダの表情分かるな」


織姫「私達GMには、顔のパーツの動きが数値見えるから。

その値だと、何か悩み事かなって」


猩騎士団の重役2人に連れられ、アクアタワーに案内されている。

娯楽都市で最も高い建物であり、アクアリゾート全体を実際に見せてくれるそうだ。


目の前を歩く、子供とおっさん。

先程から俺らの様子を見ている。


仮想空間のGMの総帥、GGMを宿した織姫。

それがどういう奴なのか気になってるのかな。

すると団長代理とやらが声をかけてきた。


ノア「ねぇ、淘汰君だっけ?

織姫ちゃんと仲良いんだね!

付き合ってるの?」


淘汰「ん?」


ノア「人間は相手によって、恋や愛っていう特別な感情を持つんだって!

だから本当かなってさ」


ダンケルハイト「団長代理あんまごたごた起こすの、やめてくれって。

egoのサブマスさんよぉ。

悪いなこいつはJINYAの分身として、生まれて間も無いんだ。

ガキの戯れ言として受け流してくれや」


ノア「だって、GMと人間の関係って気になるじゃん!」


なるほど二代目のMr.Bって訳か。

少年のような話し方で少女の容姿、頭が混乱する。

言葉から察するに人間よりかは、織姫とかにGMに近い思考回路なのかもな。

織姫がこちらを見つめる。

返答を求めているのか。


すると、急に目の前の建物が倒れた。


言葉にすると簡単だが有り得ない現象だ。

目の前の街頭を塞ぐように、高い建物が折れて倒れたのだ。


辺りの人々が悲鳴をあげて逃げていく。

その中大きな声が響いた。


カイザー「私達も聞きたいですね。

人間が人類の敵であるGGMを庇う理由を」


倒れた建物から、二本の線が綺麗に入る。

切り取られた部分が浮かび上がって、空に飛んでいった。

ダンケルハイトは口を開けて怯んだ。


ダンケルハイト「おい、待てよ!

超常現象かよ!」


ビショップ「簡単なことですよ!

私が蹴りで5階建ての建物を折って。

カイザー君が道を作っただけです」


立ち上がる煙から長身の男女が現れた。

紫の髪に背広を来た死んだ目の男。

茶髪にオフィススーツを来たエルフの女。


男は武装した様子はないが、エルフの女は片手剣を持っている。


こいつらは……!


淘汰「お、お前らはVipuum!?」


ダンケルハイト「何だと!?

和平条約を結んだ筈だろ!

何やってんだ、てめぇら!」


ダンケルハイトは1度は怯んだものの、大きな鎌を取りだした。

これが彼の武器であろう。

同時に闘志と共に燃え上がった、黒い魔力が見えた。

魔力の型が闇属性とは珍しいな、あれは50人に1人しかいない。


紫の髪の男はため息を付くと、突然ダンケルハイトに向けて右手を振った。


ダンケルハイト「ッ!」


彼の目の前に鋭い切れ目が走り血が飛んだ。


1,250,000というダメージの表記が見える。


何も武器等は見えなかった。


傷がないこの世界では、受けたダメージは血の飛び方で判断するしかない。

あれは斬撃による、鋭い斬れ方だ。


吹き飛ばされた彼をノアが受け止める。


ノア「ダンケルハイト!しっかりして!」


カイザー「あのねぇ、人の質問を質問で遮るの本当馬鹿。

でも今の食らってロストしなかったすか。

一応は副団長名乗ってるだけある」


淘汰「質問に答えてやる、簡単な話だ。

この織姫はギルドegoの仲間だ。

仲間は地獄まで行っても守る、それが俺らの信条なんだ!

闘ったことは無いが、お前らの噂は聞いている。

迷彩武器使い、カイザー。

器用裕福のビショップ。

今度はこっちの質問だ。

どの面下げて来た?」


ダンケルハイトやノアを警戒しながらも、回復をかけている織姫を横目で見て構えた。


団長代理は副団長の怪我のせいか動揺し、戦意を感じない。


ここは戦うしか無いか。

無理するなって言われてるけど、それが無理な状況だ。


カイザー「この面下げて来たんすよ。

私らは人間達の世界平和が目的なんで。

GMが人間を平伏させてるのは、平和じゃないんですよ」


ビショップ「聞きましたよ?

貴方達egoが自由に生きること。

VipuumはLvが高い人が集まっただけ。

目的はバラバラなんです。

実際私とカイザー君VipuumもLvが高いから、スカウトされたですものね。

私とカイザー君の目的はGGMの抹殺、それだけ」


挿絵(By みてみん)


カイザーとビショップも戦闘態勢に入った。

彼らのLvが表示される。


Lv155、Lv145。


意識が戻ったダンケルハイトが再び声をあげた。


ダンケルハイト「痛たた……。

おい、どうなったんだよ!

Lvの上限は99じゃねぇのか!?

それに強制的に戦闘だと?」


カイザー「この区画を管理するGMを処分したんで、無法地帯なんすよここ。

後Lvについて。

猩騎士団副団長のあなたが、それに対して疎いのは呆れますね。

9人だけ、Lvの上限を超えた人間がいます。

その内、7人は全員Vipuumです。

ランカーである事を隠す義務がありましたが、そんなの私は知った事ではない。

強さの誇示は抑制力になりますから。

今まで戦った方は、皆バグだのなんなのって、信じやしませんでしたが」


ビショップ「猩の副団長さんはLv99でしたっけ?

団長のJINYAさんやそこのパンダ。

己の実力を比較すれば、100以上のレベルがあるのはすぐ分かると思います」


ダンケルハイト「お前もなのか。

レベル100を超えたのは?」


俺は黙った。

ずっとLvの表記は隠していた。

それは今まで殺したリビングデッド、有害と指定されたAI等の数を示すことになる。

それが辛かった。


ダンケルハイト「今更実力を隠すな」


淘汰「300」


不意に周囲が静かになった。

白けた様な雰囲気だ。

すると急にカイザーはため息をついた。


カイザー「おふざけはよしてくだせぇ。

VipuumでLvだけ高いじゃもが、200を目前としてるのに」


Lvの表示設定を変更する。


Lv365


と表示された。

しばらく表示しなかったせいで、更に上がっていたようだ。


彼らの表情が変わった。


淘汰「だが、ステータスは全て1だ。

レベルを誇示すれば退いてくれるのか?

Lv以外の数値なら、お前らどころか織姫より弱い」


カイザー「縛りプレイで戦ってくれてるらしいと」


不意に炎の球体が顔を過った。

いつ間にか後ろに回ったビショップがいる。


ビショップ「ステータス1って事はHP1。

当たられば死ぬんですよ?

舐めてるんですか?」


再び飛んだ火球にガレキで打ち返し、ぶつけると睨み返した。


淘汰「本気だ!」


言い終えないうちにカイザーが肉薄する。

武器が見えない。

だが耳では十分に認知ができる。


風を切る音が頭に向かってくる。

頭を下げると今度は、風切り音が足元に。


いつもの如くステップを踏み下がりながらそれを避けた。

カイザーから舌打ちが聞こえてくる。


不意に背後から物体が近付く音がした。

空気抵抗が少ない、これは突起物で突く音だ。

側転でギリギリのところを避けると、ビショップが先程まで居た場所を空振っていた。

彼女は歯を食いしばって、嫌悪を示す。


ビショップ「気持ち悪い動きで避けて……。

本当に腹が立ちますね。

カイザー君下がってください、吹っ飛ばします!

……滅炎(めつえん)魔法!」


カイザー「ちょっと!ここ狭いとこ……」


ビショップ「【キャノンフレア・集約型】!」


恐ろしい詠唱速度と共に直径2Mはある、大きな火球を放ってきた。


しかし迫る速さは遅く、地面にあるものを探す時間はあった。


集約系の魔法は中心に核がある。

それを指定したベクトルに設定することで、その方向に飛んでいく。


核自体は小さいが、こうした球体状の魔法なら中心の位置は分かりやすい。


鉄棒を見つけると2本連続に投げる。


1本目は火球と同じ速さで横向きに投げ核の下部を捉える。


核と鉄棒の両者がぶつかる事で核のベクトルの速度は0となりそこで止まる。


2本目を縦真っ直ぐに投げ核と1本目の隙間に刺しこんだ。

鉄の棒はT字に重なりテコの形となる。


そこに手に持った瓦礫で叩きつけた。

上手く核がテコに乗ったようで火球は上空へ直角に打ち上がった。


ビショップ「当たればここ一帯ごと吹き飛ばせたのに!」


カイザー「ちょっと、私ごとやる気ですか!?

全く、やる時は一言お願」


ビショップ「物理で行くしかない!

【大地切断】!!」


カイザー「聞けよ、この脳筋馬鹿!!」


ビショップは彼の制止も聞かず空振りに地面に剣を叩きつける。

その刃先から地面が隆起した。


これはまずいな。

こんなに早く大技をやられるとこいつらを守りきれない。


対応に困りせめて織姫達を庇おうと腹を括って直撃を受けようとした時だ。


じゃも「Vipuumトップレベルが、二対一ってのはプライドあかんちゃうの?」


上空から1人の男が現れ隆起した地面に拳をたたきつけた。

こちらに向かってきた地面が液状のようになり沈んでいく。


カイザー「あなたは、じゃも!?」


目の前に現れた黒服金髪坊主サングラス。

それはVipuumのじゃもであった。


ビショップ「別に私達はプライドなんてありません。

正義の為なら勝てば良いんです。

あなただってGM否定派のはず」


じゃも「それは君らがそう思ってるだけやでまぁ俺もGMを憎んではいるけども。

それは置いて今回の件やけども俺が毎日やってるVipuum情報番組【あさじゃも】

今回の件でお前さん達がした自称正義をトップニュースにするのありかもしれん。

漫才コンビアンドールズの二人の印象が大分変わるかもな。

好き勝手やり過ぎやで」


「……!?」


2人は急に青ざめた顔をする。


ビショップ「あ、あー。お腹痛い。

カイザー君、今日は私早退します。

では!」


先に姿を消した彼女に、カイザーは苦笑いをしてじゃもに語りかけた。


カイザー「一応、退くんで。

今回は穏便に頼みますわ」


じゃも「うぃ」


2人は姿を消すとじゃもが振り返ってきた。


淘汰「お前助けに来たのか?」


じゃも「いやぁ、ついでだで。

やっべ!

あいつら本当に帰りやがった!!

貴重な戦力がごっそり減ったわ。

あのな俺が来たのはヤバい情報が入ったからなんだで」


治療に時間がかかったダンケルハイトだが、終わったようでこちらに話しかけた。


ダンケルハイト「既にやべぇが、どうした?」


じゃも「この街に存在するGMは全員偽物や!

誰かが乗っ取っとる!」


ノア「そうだね。

準備をするにあたり、この分身を使わせてもらったよ」


突然の知らせに対する、冷たい口調の返答に振り返った。

しかもその声は男性の声だった。


ノア「やぁ、俺は猩騎士団の団長JINYA。

今は訳あってこの子の体を借りていた」


ダンケルハイト「団長!?

今ここにあなたが居るのは有り得ないはずだ!」


ノア「依代から意識を切り離したんだ。

さてそろそろ時間だね、詳しい事は次会う時にでもしよう。

この子、ノアからはおさらばするよ。

淘汰。君の戦いはとても素晴らしいものだった。

それに対し仇とするのは悲しいけれども君に知らせたい。

約束を守れなかった君には失望したよ。

罰だ。

これからねこさんの所に行っておやり。

ではこれで……今夜のパーティーは楽しもう。

GGMの代行者【彦星】の再誕祭を」


それだけ言うとノアは倒れた。

同時に白い光が上空へ飛んで行くのが見える。

ノアは全く意識を取り戻す様子はない。


俺は急に心がぞわぞわした。

ねこさんの別人格B。

彼のアバターであるJINYAはねこさんが起きてる間は寝ていて存在しないはず。

しかしにわかに信じ難いが彼は意識を切り離したと言った。

独立した存在となったのか。


それが本当なら……。


ねこさんの安否が気になり心を揺らす。


彼の最後の口調は今まで聞いたことの無い、憎しみのこもった声であった。


電波が妨害されているのか他の人物が何処にいるか表示されず連絡も取れない。


心配でいてもたってもいられない。

織姫が俺の方を見て訴える。


織姫「あの団長代理はすごく怖い雰囲気を感じてたの。

嫌な予感がする……。

淘汰、みんなの所へ行くの?」


淘汰「ああ。

ダンケルハイト、じゃも。

仲間が心配だ。

合流したい。

場所は把握している」


ダンケルハイト「俺は団長代理の面倒とこの建物の倒壊にあたる現場指揮を取る。

後でアクアタワーで落ち合おう。

仲間の安否確認が出来るか、その是非は置いて指定された時間には来るようにな」


じゃも「淘汰、俺も行くだで。

あんたらに手を出すなっちゅうのが今のVipuumの方針や

なら今回はぶつからない限りはお前の味方だ」


俺と織姫とじゃもは、ねこさん達のいる商店街、娯楽街エリアへと足を進めた。

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