☆メインストーリー 2-8 チート ※挿絵あり
~仮想空間・倒壊したアダマス鉱山採掘
JINYA「君の事はMr.Bから聞いている。
もし白と黒、両方を選ぶものがいるなら。
最高の助っ人さ!」
そこに現れたのは白いコートを着た黒髪の青年と茶髪の豪傑。
紛れもない猩騎士団の2トップであった。
俺、淘汰は未だに彼らがここに立つ事を信じられなかった。
本物だ、ライブ映像や配信等でしか見た事のない超有名人の二人組だ。
課金「貴方は!
猩騎士団、団長JINYA!」
淘汰「JINYAさん!?
何故!」
JINYA「君の事が気になったんだ、淘汰。
そしてそこにいる織姫が選んだ人間。
俺の分身Mr.Bは君を見定めていた。
どんな人なんだろう?って思ってね。
そして感じたのは好きっていう、君へのプラスの感情だったんだ。
だから助けに来たよ!」
淘汰「はぁ!?」
突然の告白に皆唖然とした。
チャラ民が顔を赤くして窘める。
チャラ民「ちょっと!JINYAさん!
うちのギルドのサブマスをからかわないで下さい!」
ダンケルハイト「おお、ファッション系Vスターのチャラ民じゃねぇか。
すまねぇ、うちの団長からかいとか苦手で、基本本気だ」
チャラ民「そかそか、安心。
……、え?それやばくね?」
織姫「あんたも意外と有名なのね」
気の抜けた話で体から燃えた、命の火が消えかけたが、再び燃やした。
淘汰「すみません、今は緊急なんです」
JINYA「うん事情は知ってる。
君の邪魔はしないよ。
本気、見せてごらんよ」
課金「成程、邪魔立てはしないと?」
ダンケルハイト「どうやら、団長はこのふざけたパンダを信頼してるようだ。
まぁこちらに喧嘩売りたかったら、買ってやるが?」
仮想空間最強組織、Vipuumの最高顧問、課金はその言葉を聞くと表情を変えた。
その次の瞬間の挙動は読めた。
再び鼓動が遅くなる。
コンマ5秒、銃を撃つ挙動がまるで何倍、何十倍と遅くなる。
それは織姫に向けられていた。
周囲に色が消え白黒となる。
淘汰「黒祓い」
その言葉が放たれた途端、時が止まるように周りが固まる。
モノクロの世界で唯一動く、パンダ。
怒りに身を任せ命の炎を燃やすと、有り得ない現象が起きた。
JINYA「白眼・白桜」
不意に響いた声。
その声に合わせ、白い桜の花びらが周囲に降り注ぐ。
時が止まるように固まった、全ての中で他にも動く者がいた。
そして注視していた弾丸の目の前に、その男が立つ。
JINYA「てい」
彼は気の抜けた声と共に、織姫に向け飛んだ銃弾に、チョップをして地面に叩きつけた。
そしてこちらと目が合う。
彼はニコッと笑いかけてきた。
JINYA「皆には幻覚をかけさせてもらったよ、これから話す光景は彼らには見えない。
すごい力だね、擬似的な時間停止みたいだ。
まるで人間とは思えない。
でもその力には時間に限りがある。
…だから」
何が起きた?
人間とGMどちらに対しても、動きを止めることが出来るはずの力が。
それより何をする気だ。
そこには今までに感じたことの無い、恐怖感があった。
だがただ1つ彼には敵意のない事を感じる。
だから恐怖感とその謎の勘にかけ、動かなかった、いや動けなかった。
JINYA「銀眼・時空凍結」
突然彼の瞳が銀色に光り出す。
しかし何も起きなかった。
変化も特に感じない。
JINYA「大丈夫、命の炎のデメリットのみを時間停止した。
3分しか持たない中、俺が邪魔したせいで残りの時間は1秒しなかった。
だからあの戦いは君の負けだった」
淘汰「……!」
命の炎のギミックを知っていたのか?
JINYA「当たり前だよ、だって分身のMr.Bから教えて貰ったからね。
その炎は魔力や自然現象による炎ではない、って聞かされただけだけど。
俺にとっては十分な情報だった。
君の能力は魔法でも武術でもない。
生命、寿命を燃料にGMの最高権能を使う、壊れ技なのさ。
でもそういう俺もそれに互換性のある力。
瞳の勇者の能力を使わせて貰ってるけどね」
淘汰「心まで読まれた……!
JINYAさんは一体何者なんだ!?」
JINYA「さぁ誰だろう?
でも隠してばかりでもだめだね。
君は信用に値するから二人だけの秘密で話すよ。
俺は君の幼なじみの女の子、神谷 亀の別人格B。
今はそれだけしか話せない」
次々と信じられない真実が彼の口から語られ、全身の震えが止まらない。
俺やねこさんが憧れていた、猩騎士団の団長が神谷だったなんて。
すると彼は突然表情を厳しくした。
JINYA「聞いたよ。
君の人間とGMが笑って暮らせる世界という理想は、俺の理想と同じで初めて聞いた時嬉しかった。
しかし幼なじみの事を忘れてないかい?」
淘汰「……!!」
俺はその一喝に雷を撃たれるように感じた。
見て見ぬふりをしていた。
手首が赤く爛れていたり、顔が死人のように青白くなったり、突然入院したり。
幼なじみが追い詰められていた事を、俺は知ってて放置していた。
遠く先の理想を見つめ、目の前を見ていなかった。
JINYAさんは先程の厳しい表情とは、打って変わって心配そうな表情を見せた。
JINYA「人間の心は常に身勝手なものさ。
でも君の考えや理想、行動原理は俺嫌いじゃないよ。
ただ無意識に捨てようとしたあの人に、目を向けて上げて欲しいな」
淘汰「いや、俺視野が狭かったよ。
初めて俺に会った時、こんな依頼を持ちかけたのは、それを伝えたかったって事か」
JINYA「うん、あの一瞬で考えうる一石十何鳥かを狙ったから、今回のはその1つであり1番の目的さ。
そして2番目の目的、それはこの争いを止めること。
そこで君に協力を頼みたい。
俺はGMの最高権能の互換を使えるけど、唯一制限がある」
俺はサラッと信じられない言葉を聞いた。
しかしそれ以上に彼の強さの制限が気になった。
淘汰「制限とは?」
JINYA「俺の力にはリミッターがかかっている。
権能によって何かを傷付けることが出来ない、制限があるのさ。
だから今にも飛び出そうとする、Vipuumを止める為に動く前に倒して欲しい。
俺には出来ない事だから、君に頼みたい」
俺は迷わず、手から白い炎を放ち彼らを燃やす。
その反射的な動作をJINYAさんは、驚いた表情で見つめていたが指を鳴らした。
JINYA「ここで話したことは重ねるけど、内密にね!
彼らを動かすために、君の能力をここで無効化させるよ。
青眼・ゼロエフェクト」
彼の瞳がモノクロの世界で、青く光った途端、その声と共に悲鳴が上がった。
Vipuumからだ。
じゃも「なんや!これは!!」
課金「先程撃った弾が消えた!」
淘汰「時を止めさせてもらった。
そしてこの炎は人間に対する特攻技。
3秒に1度を、継続的に戦闘不能にする」
ねる「はやく、解毒術を!!
これは状態異常即死ダメージです!」
気づいた時には彼らは、何度もガッツの表示が出た。
その様子を見てレイブンは口を大きく開いた。
レイブン「な、なんなんだよ!
あいつらもあっしと同じ力を使うのか!」
淘汰「お前は特殊だ、初期状態から連続ガッツを持ってる奴なんてそうそういない。
だが奴らはねるの能力、ネクロマンサーで全員が1日に10回ガッツを使うことが出来る。
ほら、ここまでやってこれだ」
俺は目の前に平然と立つ、Vipuumにため息をついた。
課金が安否を確認する。
課金「どうやら新入りの津田さんは倒れたようですね。
例外は除き皆さんは残りガッツはいくつですか?」
ねる「ギリギリでした、1です」
じゃも「相変わらず対処をミスると、一気に削って気やがるなぁ。
あのパンダ男。
俺はぁ、3回やで」
課金「やはり流石じゃもさん。
Vipuum古参勢最強なだけありますね。
私は0です。
流石にこれでは分が悪すぎる」
JINYA「はい、じゃあ喧嘩は終わり!
もしやり合うなら俺、じゃなくて俺が支援技をかけた、髭おじが相手するから」
ダンケルハイト「ったく、味方がいねぇとまともに敵を倒せねぇんだから情けねぇ」
JINYA「あはは」
「……」
全員が黙った。
ダンケルハイト、Vipuumに近いレベルを持つ実力者というのは聞いている。
それがJINYAさんの援護で、さらに強くなり戦うのだ。
Vipuumといえども半壊の状態では厳しい。
無言の圧力をかけ終えるとJINYAさんはニコッと笑い、ハリのある声で宣言した。
JINYA「じゃあ、条約を結ぼう!
猩騎士団とVipuumとギルドegoと天裁。
このメンバーで四者間同盟を!」
淘汰「同盟?」
天裁「私個人も同盟となるのですか?」
JINYA「そう、君もその道では顔が利くっていうのは知ってるから一勢力さ。
egoの最高決定権は、スミスが持つと聞くけど今は代理で淘汰、君に頼みたい」
課金「つまり不可侵条約ですか?
だが私達には利益は全くない不当な物ですね。
織姫を処分しに来たのですよ?」
JINYA「条約は俺を倒せば破棄していい。
それにこの前課金はうちの騎士団を君の組織にM&Aしようとしたね?
それには適わないけど対価としてうちの所有するアクアリゾートの8月以降の利権を渡すよ。
あそこは娯楽都市の一つ。
君達が上手く運営すれば組織の評判を上げる、良い機会になるんじゃないかな?
昨日から君の神谷財閥が、仮想空間に進出したって聞いたからね」
課金「要求を呑みましょう」
じゃも「課金!
安直やで!」
課金「どうせあなたを倒せば破棄されるのでしょう?」
淘汰「待て!
課金、お前神谷財閥って……!」
俺は信じられない言葉を聞いた。
次々に貫くような真実が分かり頭が痛い。
課金はニコッと笑いかけた。
課金「ええ、そうです。
仮想空間でも名前を明かし起業をしています。
私は神谷財閥の創業者、神谷 柿。
割とニュースに出てるから、知ってる方も多いかもです」
レイブン「神谷……!?」
レイブンは神谷に明らかに反応を示した。
知り合いか?
チャラ民に関しては俺と同じ反応だった。
神谷 柿、幼なじみである神谷の父親だ。
昔何度かあったことはあるが、確かに言われてみれば面影のある顔をしている。
神谷はシングルファーザーの家だと聞いていたが、多忙から彼女を放置しているのかもな。
同様を隠せない俺であったが、腹に力を入れた。
淘汰「とりあえず条約に関してだが、ギルドegoは賛成だ。
ここに爺さん、スミスが居たら仲間を守る事に命すらかけるだろう。
俺も同じだ。
egoの為なら文字通り、命を燃やしてでも守りたい」
天裁「私も賛成です。
現時点では状況が混沌としている。
重大な判断を誤る可能性がある中、この形でクールダウンするのは悪くない。
あなた達Vipuumも、その場の行動が多い傾向がありますが、利権を渡してまで落ち着けと言われてます。
今回は再考をして頂けませんか?」
課金「私は最初の意見から変えるつもりは全くないです。
魅力的な条件です、呑みますよ」
JINYA「アクアリゾートに関しては、後日君達に懇親会の案内をするよ!
ここには居ない、Vipuum所属の漫才コンビ・アンドールズや俺がライブを開くからね!」
淘汰「そうか、やった!
ねこさんもよろこ……」
急に頭の中が地震のように揺れ、ふらつくと俺は雪崩るように地面に倒れた。
そうか、命の炎を久々に何度も使ったから現実の体がやられたのか。
エマージェンシーマークが視界を覆い、意識が消えていく。




