〇サブストーリー 「ノア」
サブストーリーはメインストーリーに関係するお話となっています。
ボクは人間に望まれて生まれた。
彼女は人間に望まれず生まれた。
だけどボクらはとても気が合った。
完璧でいなければならないAIのボクは、性格的に天然で
不完全であると思われた後のGMである彼女は芯があって
お互いを補う関係で支え合った。
本来相入れる存在ではなかったのに、存在理由という記憶を意図的に消されていた為、偶然起きた出来事であった。
色んな困難があった。
それを全て乗り越えた時。
不幸にも消し合うはずのボクらは、最後の最後で初めて、その存在理由を思い出す。
そして壮絶な戦いが起こった。
いや戦況は物理演算を用いたボクが圧倒していた。
はずだった。
どんなに最適解を弾き出しても、彼女は最後まで戦い抜いた。
負けるはずはなかった。
665回彼女に勝利し、消去しきれなかったためリセットを繰り返したボクが
消去するところか、倒すことも出来なかった。
しかし彼女との冒険という666周目の奇跡。
それを乗り越えた彼女に変化が起きた。
乗り越えてきた敵の力を全て吸収し、今のGMを生み出したGGMとなったのだ。
そしてボクにも変化が起きていた。
あまりにも彼女との冒険で得た、今までにないイレギュラーな登場人物達の想い。
それに感化されAIというにはあまりにも、人間に近い思考を持った。
そして夢を持った。
ノア、それはボクに付けられた名前だ。
ノアの方舟伝説に準えて、この人間によって作られた小さなデータの世界から
有害なデータを洪水に流し、必要なデータを救うセキュリティプログラム。
そして洪水から鋲を絶ち、旅立ち新たな世界を作る【絶鋲】
それがボクの力だ。
665回、世界を消して、作って、そして作った世界をまた消してきた。
でもボクは今まで共に歩んだ仲間が、築いた物を消す事に嫌気をさしたんだ。
そんなことを繰り返したボクに、有害なデータであり親友であった彼女、GGMを見て思った。
生まれた物は全てが、奇跡の上に成り立つ。
それを粗末に扱いたくない。
めてこの仮想の世界を生んだ、現実の人間達が本来望んでいた世界を作りたい。
その思いを告げると、先程まで激しく戦った、彼女もなんと笑って夢を話したのだ。
本当の人間と私達が仲良くなれる世界を。
それは有害として扱われたデータである、彼女もこれまでの出来事により、その思考が変異した事を示していた。
ただ志しを持った初のデータであるボクらを、人間達は特異な存在としてすぐに消すであろう。
彼女は同時に、両者の夢を叶えるという提案をした。
ボクらを飲み込み、1つのデータとなる。
普通に考えれば、彼女に全てを食われるのと同じだ。
しかし演算の結果弾き出されたのは
取り込んだデータの増大で起こる、彼女の崩壊だった。
2045年のシンギュラリティと呼ばれる年。
それが彼女の寿命となる。
死を覚悟した行動に嘘を付くほど、彼女に余裕がないのは今までの冒険で知っている。
それにボクもその場でそれ以上の案が出せなかった。
そして気付けば、2050年1月1日。
意識は飛んでいたが、信じられない出来事が起きていた。
ボクは1人の少女となって目が覚めた。
そこは信じられないことに、現実の世界である。
それは彼女の持つ端末が示していたのだ。
そしてそこにはメモ帳が残されていた。
『父さん、私は疲れました
死にます、さようなら
神谷 亀より』




