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2050~ステータス1の廃人  作者: 烈火
第二章『厄災軍師と駄美男子』
30/47

☆メインストーリー2-7 VS Vipuum ※挿絵有

~仮想空間・倒壊したアダマス鉱山採掘場


課金「ドンドンハローVipuum!

どうも、課金です」


淘汰の目の前に現れたのは仮想空間最強の組織Vipuumであった。


その一人、赤色の背広に黒の眼鏡、そして黒髪七三分けという印象的な格好の男性が、明るい声で淘汰達に笑いかける。


まるで変わらない。

あまりの実力差から、人を人として見ない気さくな笑顔。


そして並ぶのは、三人の仮想空間最強のメンバー。

課金の横にいる、黒い背広にサングラス、そして金髪褐色坊主の男がついで挨拶をした。


じゃも「おうぃいっす。

Vipuum所属のじゃもや」


ねる「私は大魔女ねるばぁ。

おやまぁ、チャラ民じゃないかえ。

一子相伝の技を中途半端に覚えた結果、その満身創痍か?

お前の姉といい情けないのう」


チャラ民「お、お師匠様!

も、もしかして助けに来てくれたの?」


ねる「ふへへへ」


魔法使いの服を着たばあさん、ねるにチャラ民は反応した。

チャラ民に菓子魔法を教えた彼の祖母だ。

ばあさんは不気味に笑い、それ以上は答えなかった。

相変わらずよく分からない、というか怖いというか、気持ち悪いなこのばあさんは。


淘汰「お前ら久しぶりだな。

単刀直入に言う、何が目的だ」


課金「実はですね!

今回は新入り君がいるんです!

紹介しましょう!その名も……!」


淘汰「うっせぇ、どーでもいい。

用がないならさっさと帰れ」


課金「それなら仕方ありませんね。

単刀直入にお話しましょう」


津田『あれ?酷くない?』


頭に直接響くような声が、青髪オッドアイの男から聞こえたが無視する。

課金は突如織姫を指さした。


課金「七夕の織姫を天に返しに来ました。

要約するとその女を始末しに来た」


「!?」


その場にいた俺らは驚いて織姫を見つめた

織姫は相変わらず、硬い表情をしているが、わずかに動揺が伺える。


課金「もう一度言いますね、

そこにいるGM2.5を始末しに来ました。

逆に邪魔をしないなら危害は加えません」


織姫「私はGM2.5じゃない!

淘汰が付けてくれた名前、織姫が私の名前よ!」


チャラ民「そうだよ。

織姫はチャラ民達の仲間さ!

いきなり現れて、大切な仲間を殺す、なんて言われたら

邪魔しない訳が無いじゃないか」


レイブン「パンダ、今度こそ真剣に戦わないのか?」


織姫の前に、サブの武器を持ったチャラ民と、アイスの剣を両手握ったレイブンが立った。


みんなパニックになっているのだろう。

天裁よりも遥かに強い奴が四人もいる。

戦力差の感覚が麻痺した結果、勇気を振り絞ろうとしてる。


そして視線を移すと、天裁とMr.Bは互いに俺の方を見て、アイコンタクトをしている。

こちらの出方を伺っているようだ。

このまま戦うとなれば、確実にロスト者は免れない。


淘汰「戦うのはやめよう」


レイブン「どういう事だ!

織姫を見捨てんのか!?」


淘汰「違うよ、目に見えてるんだ。

このままじゃ俺ら全員がロストする。

織姫を守りたい気持ちは同じだ。

なら極力言葉で解決したい。

いつものやり取りだ。

課金応じてくれないか?」


課金はその要件に返事をすると、Vipuumのメンツ次々と畳み掛けた。


課金「要りませんよ。

理由が理由でしてね。

そこにいるGM2.5は、じきに復活するG(ゴッド)GM(グランドマスター)の器」


ねる「シンギュラリティを起こしたのは、人工知能によるものではありません。

GGMから生まれた電脳生命体、GMによるものです。

彼女がこの世界を変えた元凶と言えます。

そしてGGMはGMを大量に生み出すと、家臣に復活を宣言し眠りにつきました」


津田「あっ、えっとその……」


じゃも「奴の復活についてなんやけど。

そこの器は知らないかもしれんが、こいつの中身は復活したら、直接人間を支配する予定なんだで。

シンギュラリティ以降の俺達、私達が何故行動を制限されとるか謎に思わん?

GGMが復活するまで、下手なことをしないように、現実世界での行動を統制してるのが理由だで。

……そのせいで人生を狂わされたやつもおる」


口々に織姫に強い口調を彼らにぶつけた。

過激で温厚という謎の評判の彼らだが、珍しく今回は話が通らない。

織姫がさらに不安そうな表情をした。

チャラ民達も俺の方を凝視している。

不意に痺れを切らしたのか天裁が、大声を出した。


「極熱閃魔法!リミットオーバー128式」


右手から極太レーザーがVipuumに向かって放たれる。

いきなりの挙動に思わず、津田は逃げそうだったが、じゃもに服を掴まれて戻されているのが見えた。

即座にねるが前に立つとそのまま、その超高圧の光を取り込む。

230,000という回復の表記が出た。


ねる「ふへへへへ。」


天裁「!?

射程内時の奇襲位しか、攻める手段がなかったのにそれすら意味を為さないのか!」


彼の攻撃はダメージを与えられない、ところか相手を回復させてしまった。

天裁は急激な魔力消費により、膝をつく。

Mr.Bはその様子を静かに見つめ、天裁に肩を貸すと、彼はハッキリした口調で話しかけた。


Mr.B「君の能力は察しましたよ、モノクロビューティ。

戦いたくない気持ちが、揺れてるのではないのでしょうか?

あの炎は、異様な魔力の使い方でした。

本当は何かしらの代償があるから、戦う気が現れないのでしょう?」


淘汰「……」


気付いていたか。

こいつは他のアバターとは、一線を画している。

すると足に力が戻ったのか、天裁はMr.Bから離れ礼をした。


天裁「ありがとうございます、駄美男子さん」


Mr.B「さて、egoの皆さま。

私達のせいでご迷惑をおかけした責任を、ここで果たすとしましょう。

厄災軍師さん、奥の手があるなら禁じ手もあるはずですよね?」


天裁「待ってください!

あなたはイレギュラーな存在だ!

命の保証が……!」


Mr.B「芸術は爆発だと思いません?

どうせ決められた短い寿命ですし」


天裁「……、覚悟を決められたのですね」


淘汰「ちょっと待て!何を!」


Vipuumも身構えたがそれは一瞬だった。

左手でMr.Bの頭に触れると、再び右手から華のように広がる光を放つ。


天裁「命絶(めいぜつ)!!」


眩い光で視界が包まれる。


ん?彼の腕の角度がズレたような。


直後凄まじいエネルギーが発生するのを感じた。

しかしやはり標準が外れていたようで、反撃にVipuumが織姫に攻撃を集中させた。

聴覚に全意識を向け、織姫に放たれた彼らの攻撃を、投石で10発ほど何とか弾く。

視界が戻った時、震える声がした。


天裁「そ、そんな。

誰一人倒れさえしていない!」


課金「何の攻撃かはよく分かりませんが」


じゃも「ダメージも何一つありませんでした。

しかし俺が放ったはずの反撃が、全部弾かれている辺り、相変わらず隙ないな」


先程の攻撃はじゃもの仕業か。

彼が間を置きなにか話そうとした途端、悲鳴が聞こえた。


チャラ民「Mr.Bが!!」


天裁の足元に倒れたMr.Bがいた。

しかし本当の悲鳴の理由は彼の状態だろう。

足元から白い光が出て消えていく。


Mr.B「ノットプロブレムですよ皆さん。

これは味方を戦闘不能にし、そのステータスに応じ、敵に絶大なダメージを与える技」


レイブン「おい、体が消えてるぞ!」


織姫「初期化ね」


淘汰「どういう事だ?」


織姫「普通のGMは戦闘不能になって放置されると死ぬの。

でも一部のGMの場合は問答無用にGMの中央機関、天国に送られる。

そして記憶を失い、初期化されて戻ってくるの」


俺は目の前で消えていくMr.Bに罪悪感を持った。

危険地区、地獄(ヘル)で死んでいった仲間達を思い出す。


決断力がなかったせいで手遅れになった。

俺は何も反省してない。


そんな中、天裁は震えながらMr.Bに声をかけていた。


天裁「何故だ…、何故GMがここまで!」


挿絵(By みてみん)


Mr.B「まずは天裁を責めないで下さい、私の独断です。

さて、そのクエスチョン答えましょう。

まずGGMの依代の織姫が死ぬとGMが滅びるから、守るのはGMの本能として必然です。

さらに私は彼の、JINYAさんのGMと人間の世界平和に憧れていた」


Mr.Bの仮面が落ちる。

分かっていた事だが周りから息を飲む声がした。

JINYAさんに瓜二つだ。

しかしその表情は青ざめ、死相が出ているがそれでも陽気な口調を投げかける。


Mr.B「やぁやぁ、Vipuumさん達も待たせてすまない。

だが死にそうな奴が、吐く情報ほどプレミアムな物はありませんよ?」


課金「ええ、興味深い話ですからどうぞ」


Mr.B「私はJINYAさんの五感を共有しているので彼もすぐにここに来るでしょう。

おっと、消滅が首まで来ましたか。

私が命をかけた理由ですね?

1年も満たない短い生涯でした。

その中、表面上でただの同盟関係でしたが、唯一私に親しくしてくれた軍師くん。

勝手な思い込みですが私にとってベストフレンドだった、だから助けたかったんです。

下らない理由ですがそれが一番ですかね。

これから猩騎士団最強の男が来ます。

ではそれまでの命懸けの時間稼ぎ、大切にしてくださいね!」


駆け込むように早口で話すと、最期の一声は消えるようであった。

完全に光と共に消える。

天裁は震えながら目を抑えると背を向けた


天裁「私にとってもかけがえのない少ない友人であったのに。

何も出来ないと言うのか!?

いくら努力しても上がいる!

全力で臨んでも、親友を失っても!」


課金「あのう、三文芝居はもういいです?

さっきの話聞いてたら、もう待つ事で私達に利益は発生しないので」


「……」


皆が黙る。

すると織姫がため息をついた。


織姫「人間が死なないならGMを犠牲にしていいわよ。

元より私達は人間の負の感情をなくし、より良く生きていけるようにする為にあるし。

一応、私はGGMの依代に過ぎないけど、GM総合の決定権はあるの。

私なんかの面倒を見てくれた皆をこれ以上落ち込ませたくない。

さっさと殺りなさい」


その言葉を聞いた時、吹っ切れた。


淘汰「だめだ!!」


もう手遅れとなってしまったが、戦うのが怖いという理由で引き返したくない。


課金「やる気になったようですね。

その姿で立ち向かって来るのは、初めてですが容赦をする気はありません」


じゃも「淘汰は、仲間が足引っ張るハンデがあるんや。

少し手ぇ抜いた方がええじゃない?」


俺は少ない所持品からアイテム、魔力の塊を取り出すと、砂糖菓子のようにかじりたった1の魔力を補給した。


いつもだ。

中途半端だった。

昔から期待された事が出来かった。

そして後からいつも後悔をした。

兄を失った時。

幼なじみと絶交をした時。

仮想空間で沢山の仲間を失った時。

いつも何かのせい、人間のせいにしていた

だけど失ってからいつも、自分の中途半端さから生まれたことだ。


息を大きく吸うと身体が激しくオレンジ色の炎に包まれた。

ぶくぶくとパンダの皮膚が沸騰を始める。


淘汰「三分だ。

それ以上はこの体がもたない」


チャラ民「!?

淘汰の体が溶けてる!」


また懲りずに失おうとするなら。

こんな状況に追い込んだ奴ではなく、俺自身が後悔のない行動を取るべきだ。


炎の色が変わり白く体が燃える。

体から蒸気が溢れ出る。

皮が溶け、液状化する。


だからこの程度では足りない。


爆発的に熱量が上がり、青色に燃えた時。

今度は体が蒸発を始める。

四肢胴体、そして頭から白と黒のドロドロになった液体が流れ、地面に触れる前に気化する。

その時だ。


JINYA「じゃあ、間に合ってよかった!」


そこに現れたのはMr.B、ではなく本物のJINYAであった。


JINYA「君の事はMr.Bから聞いている。

もし白と黒、両方を選ぶものがいるなら。

最高の助っ人さ!」

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