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2050~ステータス1の廃人  作者: 烈火
第一章『手を取り合うまで』
13/47

☆メインストーリー1-3 ステゴロ

~仮想空間・ギルドハウス付近の屋根の上


騒動が発生した夜の街、そこからとあるギルドハウスを見下ろす二人組の男がいた。


天裁「さらに酔うとあのレイブンという方は支離滅裂な言動や行動を取り始めるのですね。

見事な暴走状態です」


この事件の黒幕である天裁はメガネをクイッとあげて近くに立つ仮面の男に話しかけた。


Mr.B「自らは行かれないんですか?」


天裁「まさか、貴方の言葉を借りるとすれば『美しくない』」


Mr.B「頭を使い、体を使わない。

これは実に君らしい!

自分らしさを見事に体現出来ているならそれこそbeautifulだ!」


天裁「相変わらず貴方のテンションにはついていけないですね。

さて私が本当に気になるのはあのパンダ。

例の計画でVipuum(ブィップーム)が目を付けている者」


その言葉にへらへらとしていたMr.Bは急に大きな反応を見せた。


Mr.B「全員が仮想空間において莫大な影響力をもつVIPギルドの事かい!?

まさか彼はそこまでの実力を持つというのか?」


天裁「それはこれから分かりますよ。

その実力を見るために彼女をあのギルドにけしかけたのですから」



~ギルドハウス前・壊れた門付近


チャラ民「ちょ、なんで後衛のチャラ民が戦うことになってんの!?

パンダが闘ってよ!」


瓶を持ち支離滅裂なことを叫んでるレイブンに対しチャラ民は武器の大きなペロペロキャンディで攻撃を防いでいた。


パンダと呼ばれた俺、淘汰は身構えせず答えた。


淘汰「そいつのレベル1だ。

ここに入ったばかりなのにこんな事件を犯すのはおかしい。

仮想空間はゲームじゃない、斬られたら本物の痛みに近い痛みもあるし、倒れたらそれに比例した痛みもある。

レイブンさん、武器を降ろそう。

話せば分かる」


レイブン「ああ?あんだって?

なぐってくれ、そうすればいしきがはっきり……うがっ!」


言い終える前にチャラ民はレイブンの頭をキャンディロッドで叩き伏せた。

40という数字と共にやっと暴れ馬は地面に突っ伏す。

織姫は不思議そうな表情でこちらを見た。


織姫「どういうことよ、あんたら楽しくこの戦闘をやってる訳じゃないの?

レベルとかってモンスターを倒したりして強くなるとか人間のゲームって娯楽で知ったわ」


淘汰「仮想空間で死ぬことは無いが強い痛みを経験するから対人戦は好まれない。

護身のために戦う奴らが殆どだ。

じゃあレベルとは。

モンスターなんて都合の良いものはない。

GMの代わりに有害なAIを倒すことで得られるこの世界での権力の事だ」


織姫「随分都合よく使われてるじゃない

んで長い解説の続きは後で聞くわ。

この残骸はどうすんの、ってなんか動いてない?こいつ」


呆気なく倒されたレイブンであったが体がブルブルと震え、ガッツという表示と共に立ち上がった。

ガッツとはHPが0になっても戦闘不能から立ち上がることが出来る現象だ。

明らかに仮想空間入ったばかりの者ができる芸当ではない。

頭から髪と同じ色の血を流し立ち上がる。

そして彼女はニタッと笑って酔いが落ち着いたのかちゃんとした言葉をどすの効いた声で話しかける。


レイブン「うっ、死ぬほど頭がガンガンするし胃が焼けて苦しい。

けどこの感覚病みつきになるなぁ!」


チャラ民「ひぃ!こいつ生き返った!?

死んでも動くって本当に人類の敵じゃん!」


淘汰「あのネタ引きずんなって!

どうなってんだ?

レベル1なんて本来何も小細工することはできないはずだ。

……いや、それより誰の差し金だ?

Vipuumか?」


歩みを進めチャラ民の目の前に立ちこちらを睥睨するレイブンを見つめた。

彼女はケタケタと独特な笑い方をし見下すようにその質問に答えた。


レイブン「ん何だ?

パンダみたいだなお前。

誰に頼まれたか?

はん、酔っ払って忘れちまったよ。

それにこの世界では現実じゃねぇーんだから好き勝手やっていいんだろ?

……じゃあ、あっし達の勝手だろーが!」


立ち尽くした俺は戦う事に恐怖を感じたがそれ以上に勇気を持つことにした。

すぐにレイブンの体が動き織姫が震えた声で反応する。


織姫「淘汰!!」


ブン!


という大きな音と共に瓶が横凪に自分の顔をすり抜けた。

殴りかかった主は表情を変える。


淘汰「ん?まさか大人しく食らうとかおもったか?」


にやっと笑って肩を竦めてみせた。

本音を言うと久々の戦闘だ、怖い。

当たれば瓶で殴られる痛みがそのまま来る、その逆にこちらが殴れば相手を痛め付けてしまう。

だったら戦意を無くすしかない。


レイブン「面白いパンダじゃん!

あっしの攻撃避けたのお前初めて。

それに武器なんか持たないでかかって来やがって……よっしゃ!ステゴロか!

ステゴロっすか!」


ステゴロ?

と言った時には瓶が顔に飛んできて、再びすり抜けるように避ける。

目線が前に戻った時には拳が再び顔に飛び次点で右膝の蹴りが見えた。

後ろにステップを踏み頭を下げ拳を避けるとやってくる右膝を軸に右方向斜め側転飛びをした。


チャラ民「うっわ、リアルパンダ動ききっしょ」


織姫「うねうねしてて気持ち悪い」


淘汰「う、うっせーな!

……なぁ酒乱チンピラ?」


飛んでくるブーイングを軽口で叩く。

しかし内心はガタガタに震え、ぎりぎりであったが頬を引き攣らせながらにやっとまた笑ってみせた。

また一瞬女から表情が消えた。

そうだ、大抵こうしていれば相手も武器を捨てる。

もしまだやろうとしても皆戦うことに意味が無いのに気付き戦いを止めてきた。

互いに傷付けるなんて必要ないそろそろ言葉で解決しよう、と思った時だ。


レイブン「お前、気に入った!

淘汰か、淘汰っていうのか?

決めた。

お前が殴るまでひたすら殴る!

来いよお前が避ければ避けるほどテンション上がってくるからよ!」


血の気が引いた。

むしろヒートアップしてしまっている。

しかしその直後横からオレンジ色の太い水鉄砲が飛びレイブンに直撃する。

2000という表記が現れ、それを出した本人の方を見た。


チャラ民「お前ほんとギルドハウス出禁だよ!

こっちの平和な菓子魔法まで対人に使わせて!もうこれに懲りたら……え、うそ」


倒れたはずのレイブンは立ち上がりびしょびしょになったままニヤリと笑う。

お菓子から蒸気が噴き出し連続で100の数値が出るがその度ガッツという表記が見た事のない早さで表示された。


レイブン「お前が殴るまでひたすら殴る

……ん、まさか大人しく諦めるとか思ったのか?」


同じ文句を返された。

戦いたくない。

互いに傷付け合うだけだ。

攻撃したところで種が分からない初見では倒せないのも分かっている。

でも諦めると言ってもこいつは絶対に諦めないであろう。

俺がここで引いたら、引いたら?

そうか、GMもそろそろ来るだろう頃会いだ。

突っ込んできたレイブンに対して


レイブン「え?」


何もしなかった。

助走を付けたその拳は見事に腹部を突くのを感じる。

そしてわざとらしく後ろに飛び織姫達の方へ倒れた。

チャラ民は悲鳴を上げ織姫も非常に動揺したようであった。


表記されたのは1、つまり最初から俺のHPは1である。

それは倒れた時の痛みを最小限に抑えるため。

1度倒れると直前の痛みが復活するまで常に残るからだ。

腹部が焼けるように痛い。


視界が眩むが奥にレイブンが見える。

彼女は落ち着いた様子で立ち尽くしている

頭がガンガンする中彼女の声が響いた。


レイブン「酔いが覚めた、萎えたよ。

もう今は戦う気はない。

あんた最初からあっしが諦め悪いの知って強制離脱したろ?」


チャラ民「もうすぐGMが来る!

淘汰をこんな目にあわせて気安く話しかけないでよ!」


淘汰「いいんだ。

正直、現時点で落ち着いてくれただけで。

なぁレイブン、意地悪な事を言うとすれば倒れた俺はお前を殴ることはできない。

俺は負けたが約束はまた今度になったみたいで残念だな」


織姫「そんな低レベルなやりとりで納得したんだ互いに」


一言も余計じゃない言葉というのも珍しいなと思ったがこいつにいくら言っても通じない。

レイブンは先程と打って変わってテンションが低く無感情な表情になった。

しかし頭痛は収まらず余計酷くなる中、織姫がこちらの頭に触れ曖昧ではあるが心配そうな表情を見せた。


織姫「ねぇ、淘汰はどうなるの?

消えるの?」


チャラ民「戦闘が終わって激痛の中、10分待つか。

それかロストつまり仮想空間においての自分の体を死滅させるか。

蘇生方法はあるけどそれを使えるねこさんは今は居ない」


レイブン「……」


チャラ民は目を伏せがちに俺の様子を見た。

我慢しているつもりだが大分表情に出てしまっているようだ。

頭を触れている織姫の手が明らかに震えるのが感じた。


織姫「そんな!

こんな苦しんだ状態を放置する訳!?」


今まででこんな織姫の声を聞くのは初めてだ、GMにもちゃんとした感情があるんだな。

朦朧としながらぼーっとそう思考していると強い口調が聞こえた。


レイブン「お前らどけ!」


「!?」


2人の驚く声が聞こえた気がするとその直後に頭が浮く感覚がした。


レイブン「初心者アイテムで蘇生の秘薬って頭が悪そうな名前のやつがあった。

こいつに使えるかもしれない」


口の中に独特な味がする。

何度か飲んだ事のあるレアアイテムだ。

体に熱が戻る感覚がした。

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