新しい朝が来た 希望の朝だ(棒)
良は願った。誠心誠意、父よ滅べと
良は祈った。全身全霊、父よ果てろと
しかし少年の心は踏みにじられ、土曜日の朝を迎えてしまった。
だが家には父の姿は無かった。
良は安堵した。きっと悪い夢を見ていたのだと
自分には父などいないし母と二人暮らしのはずだ。
だから先日の会話も無かったし
父など存在しないし父など存在しないのだ。
「良~。起きたのー?朝ごはん出来てるから早く食べなさーい」
おお、母さんが呼んでいる。
今日の朝ごはんはなんだろう。
甘い玉子焼きがあるといいなぁ。
残念ながら玉子焼きは無かったが母と子のささやかな朝食は幸せに満ちていた。
嫌いなほうれん草のソテーも心なしか美味しく感じる。
そうだ、母さんに食後の紅茶を淹れてあげよう。
ふふふ、母さん紅茶が好きだからなぁ。
「もう良ったら、ニコニコしてお父さんの仕事見に行くのがそんなに、楽しみなのね」
暗転。
その瞬間、世界は暗黒に包まれた。
口腔内にはほうれん草の青臭さに蹂躙され凌辱されている。
何が起きた?なんで自分はほうれん草なぞ食べた?
いや、それよりも・・・
い ま な ん て い っ た B B A
簡単にいえば
「裏切ったな、僕の心を裏切ったんだ」である