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第五話 そうです伝説の植物です

ミュールはやっと自分が何をしでかしたか理解したか。


おいおい、そんなに顔を真っ青にしてまた漏らすんじゃないか?え?マジ?これ絶対湿らせちゃってるよ…


ニギニギと握りこんでくる手は大洪水だ。だがそんな水分を俺は大切にして吸い取っている。ポンコツとは違うからな。これがデキる大人の男ってやつだ。惚れ直したか?ベイビー?


「そ、そんな…」


「危険なのは貴女の周囲も同じです。ご両親は?懇意にしているお友達は?マンドラゴラを手に入れるためならそういった人たちを人質に取り、その命と引き合えにマンドラゴラを要求する事もあるでしょう」


「私に…両親は居ません。友達も…」


ドSかよ。追い討ちをやめろ。ミュールがビビって俺を握りこむから体がミシミシ言ってるだろ。


しかし、友達すら居ないのか。こんなにお喋りで明るい子なのに…いや、大丈夫!俺が居る。

安心しろ、敵は誰一人生きて返さないからな!


へへへ!と笑っていると勝手に退出したハゲ爺が戻ってきた。

その腕には虹彩を放つ丸い水晶を抱え、手には小さなボードを握っている。


「待たせてしもうたようじゃな!」


「いったいなんだったんですか」


「伝説級の魔物は高い知能を持ち、言葉を話す事は知っているな?」


「勿論です」


「おそらく、このマンドラゴラはそのタイプじゃ」


「どういうことですか!」


「ワシの鑑定眼を弾きよった」


「?!」


勝手に盛り上がってるところ悪いが俺は別に何もしてないぞ?その爺さんもポンコツなんじゃないのか?


そもそも俺はそんなのを使用されてることすら気がつかなかったんだぞ!


「そこでじゃ、ワシが現役だった頃にダンジョンの最奥で手に入れた伝説級マジックアイテムの鑑定水晶、と言うわけじゃ。もったいなくて使っておらなんだがよもやこんなところで使うところになるとはのぅ」


ひゃっひゃっひゃとスケベ爺のような下品な笑い方をする。ミュールも居るんだぞ?もし色目使ったら畑の肥やしにしてやる。


「たまにはマスターらしいことをされますね。上出来です」


「なんじゃあ?!その言い草は!そもそもワシよりおぬしの方が…ぎゃああああああ!」


「それ以上は、わかりますね?」


なんだ!?リアがどこからか鞭を取り出して防御力の薄い頭を叩いたぞ!?ひょっとしてああやって折檻されたせいで頭が薄いのか?自業自得だが可愛そうなやつだ。


ミュールは顔を真っ青にして大量の汗を流しながら震え、爺さんとリアは立場も忘れプレイを楽しんでいる。阿鼻叫喚の地獄絵図とはこのことだ。


「ふぅ。今日はこのくらいでいいでしょう。また言ったら、わかりましたね?では、話を進めてください」


「ふぁい…」


頭のてっぺんを真っ赤に腫らし、残り少ない雑草がパラパラと落ちてくる。哀れな…


だが、お前が悪い。リアは美しい、歳じゃなくて中身だろう?わかってないな。


爺さんはボロボロになりながら水晶をテーブルの上に置くとミュールに俺を水晶に近づけるように言った。


「怖がる必要はない。さ、はようやってみい」


「はい…」


ミュールやめて!俺をそんな変なものに近づけないで!見られちゃううううううう!


俺をズイと近づけると水晶が光りだしてカードのようにブウンと音を鳴らして何かを映し出した。


名前:ドラゴン(オス)

種族:ヒューマンドラゴラ

称号:人でなし 暗殺者 拷問マニア 世界樹の種

LV:24/-


物理戦闘力:8490(生命力を含む直接戦闘継続能力の総合値)

魔力戦闘力:30(魔力使用スキルを含む間接戦闘能力の総合値)


スキル


朝露:(3/5):朝日を浴びてから一度だけ任意で生命の水を作る

中級回復薬生成(1/5):初級と統合。中級薬をその場で精製

中級毒薬生成(1/5):初級と統合。中級毒薬をその場で精製


ユニークスキル


吸血:血を吸い取る。体力を回復し、傷を癒す。

吸精:生命を吸い取る。魔力を回復し、魔力含有量によって最大値を上昇させる。

生殺奪取(ブラッドスティール):直接命を奪った相手からスキルをランダムで奪い取る。ただし、本人が使用不可の場合は奪えない。

肉体支配:寄生した相手の肉体を乗っ取る。精神までは操れない。

操根術:魔力を使用し、身体の硬度、伸縮率を変化させる。

絶命絶叫(デッドライフ):特有スキル。叫びを聴いたものは死ぬ。生き残った場合でも精神に異常をきたす。


やばない?特に称号。

暗殺したこともないし拷問したこともないよ?この水晶壊れてるな。しかも魔力戦闘力30ってなんだよ。平均知らないけど物理と比較すると弱すぎるんじゃない?

しかもヒューマンドラゴラってなんだよ。駄洒落か?人間なの?植物なの?しかもオスって、植物だろ?属性盛りすぎてわけがわからなくなってるぞ…


しかも説明を見ると俺の体が動かないのって魔力戦闘力ってのが低いからじゃなかろうか。


どっかで魔力を上げたいところだが俺じゃあ動けないなんて…!


ミュールに抱えながら映し出されたものを見ていたんだが、これって俺の詳細だよな。

プライバシーはどうした。


三人も水晶に目が釘付けだ。


爺さんは頭を抱えて何かを悩んでおり、リアはパクパクと口を動かして何かを言おうとしている。


「まままま、ますたぁ…こ、これこれこれ」


「まさかこんなことが…まずいぞ…戦争になる…まずいまずいまずい」


爺さんは頭を掻き毟り残り少ない花を散らしている。


リアは顔を桜色に紅潮させて俺に熱い視線を送ってきた。なんだ?ようやく俺の燻し銀のようなシブさに気がついたのか?まぁ、俺って植物なのにドラゴンだからね?名前だけだけど。


「世界樹!私達エルフの神!その種!あぁ…いけません。だめよ…駄目駄目!」


「リア、わかっているとは思うが…聞いちゃいないのぉ…」


リアはミュールにスススと擦り寄ると透き通るような白さを湛えたたおやかな腕を俺へと伸ばしてきた。


「ミュールちゃん?ちょっとだけ、ちょっとだけだから」


「え?えっ?なんですか?どうしたんですかリアさん!」


「少しだけ…少しだけでいいの…!」


おい、やめろ。俺に触るな!


くそが!こうなったら何ができるか知れたんだ。吸精でおとなしくしてもらうしかない!


吸精吸精と念じているとスキルの使い方がぼんやりと理解できる。仕組みは不明だがありがたい!


かかってこい、リア。俺が相手になってやる。


「んっ…ああぁあ!!」


手が俺へと触れた瞬間吸精を発動させるとリアは艶のある淫靡な声を上げた。

片手でスカートの間を押さえながらもう片方の手の指を噛み、何かに耐えている。

ふっ…俺が紳士的な植物でよかったな。じゃなかったら今頃操根術でいやらしい事をしていたところだぞ?


「リアさんっ?!」


「んんっ…はぁ…!あっあっ!あーっ!」


体をのけぞらせ、足をピンと伸ばすとビクッと大きく震えた。その顔は恍惚としており、大きな満足感を得ているようにも見える。

少しだけとは言え、俺に触れたんだ。満足だろう?


もし、万が一にも朝一で俺に出会えたら今度は朝露を飲ませてやるよ、と心の中で伝えておいた。

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