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第五話 冬空の散歩者

「ミューラ」


 キッチンから出てきた誠司が、こたつで丸くなる銀髪の王女に声をかけた。


 180cmはある長身は、線の細い印象があってもかなりの威圧感がある。長い前髪の向こうに、眼光鋭い細い瞳があるとなればなおさら。


「なんですか、セージさん……?」


 しかし、シルヴァラッド森林王国の第三王女ミューラ・シルヴァラッドは意に介さない。気圧された様子もなく、緩慢に誠司へと振り返った。


 相も変わらずこたつに入り、今日はどてらまで着ている。緩くウェーブのかかった美しい銀髪が、黒いどてらによく映えている。

 弘法筆を選ばず……というわけではないが、美人ならなにを着ても様になるのは確からしい。


 誰が着ても野暮ったく見えるはずのどてらを身に纏っていても、まだ幼気なミューラだと可愛らしさが先に立つ。

 サファイアのように輝く瞳や、それこそ日本人離れした美貌も、「日本の伝統衣装に袖を通した外人さん」という風情を後押しする。


 要するに、似合ってはいないが、魅力的という状態。なんとも理不尽な話だったが、これも王家の血がなせる業と言われたら、沈黙する他なかった。


 その横では、ポメラニアンのコタロウがきもちよさそうに、仰向けで寝ている。どんな夢を見ているのか、時折なにかを咀嚼するかのように口が動き、「フゥゥゥン……」と寝言が聞こえてきた。

 完全に、油断しきった状態。雪のように真っ白なお腹の毛を惜しげもなく晒しており、野生の欠片もない。


 否。それも、コタロウなりの処世術なのかもしれなかった。


 そんな可愛らしい姿を見せられて、誰が害しようとするというのか。そんなこと、誰も出来ないに違いない。


「勉強は、どれくらいで終わりそうだ?」

「今日の分は終わっているので、特に、後どれくらいというのはありませんが……?」


 異世界から不法入国している上に、非常に目立つ容姿をしているミューラ。

 そのため、ほとんど外に出ることができず、マンション内で食っちゃ寝していると思われがちだが、実態は少し違う。


 食っちゃ寝していることは否定できない事実ではあるが、誠司が買ってきた教材で、日本語の勉強も少しずつ進めているのだ。


「そうか。なら、そろそろお昼に――」

「かしこまりました!」


 ミューラは、すぐさま反応した。

 素早く教材と筆記用具を片付けると、ウェットティッシュでテーブルを拭く。機敏で、流れるような動きだった。


 同時に、コタロウが覚醒した。


「ゥワンッ! ゥワンッ!」


 素早く跳ね起きて――夜営中に襲撃を受けた冒険者よりも迅速だ――左右を見回して誠司を探すコタロウ。

 背後に飼い主の姿を認めると、一目散に駆け寄って足に飛びついた。


「……こういうときは、素早いな」


 そんな愛犬を適当にあやしつつ、あきれたように言う誠司の言葉を、異世界から来た王女は黙殺した。コタロウへの言葉だと思い込むことにしたのだろう。


 逆に、鍋敷きを手にする誠司へミューラが問う。


「今日のお昼はなんですか?」

「おでんだ」

「昨日の夜から作ってたのは、おでんだったんですね。聞いたことはありますよ、おでん! コンビニで売ってるんですよね!?」

「そっちのおでんを、俺は食べたことはないんだがな」


 こよなく家を愛する誠司に、買い食いの習慣はない。加えて、自分で作ろうと思えば作れる物を、わざわざ買おうとは思わなかった。

 それに、ミューラはコンビニ自体に行ったことがない。


 当たり前のように世間からずれている二人だった。


「鍋を持ってくるから、コタロウを抑えといてくれ」

「かしこまりました!!」


 先ほどと同じ答えを、より力強く返したミューラが、傍らのコタロウを転がした。

 いつものように簡単に腹を晒した三浦家の愛犬は、それでも、美味しい物の気配を感じて身をよじり立ち上がろうとした。


「お鍋持ってる誠司さんに近づいたら危ないですからねー」


 しかし、ミューラはそれを許さない。巧みに腹や脇をくすぐり、その場に留める。


「ハグググッ! ハゥゥゥッ!」

「おでんが駄目になったら、わたし、どうなるか分かりませんよ?」

「キュウウゥン……」


 ふふふと笑うミューラに気圧され、コタロウは尻尾を垂れた。

 飼い犬とはいえ、野生の本能は失っていない。それが、危険を告げていた。


 食べ物が絡んだミューラに逆らうべきではない、と。


「やけに大人しいな」


 キッチンから土鍋を持って移動してきた誠司が、やや訝しく思いながら、それでいて集中した様子で鍋敷きの上に鍋を置いた。


 蓋を開けると同時に、おでんの甘く芳醇な香りが解放される。


「うわぁ……。見るからに美味しそう、いえ、美味しいに決まってます!」

「アンアンッ!」

「コタロウには、あとでおやつをやるからな」


 取り皿などの用意を終えた誠司も、こたつに入る。


「なにが欲しい?」

「初体験なので、まずはセージさんのオススメでお願いします」


 手巻き寿司のときのように凄まれても困るので、最近は自主的に給仕役をこなしている誠司だった。それに、どうせそれも最初だけだ。二皿目からは、食事に熱中したミューラが自分で取るようになる。


「おすすめか……」


 となれば、時間をかけた大根は外せない。それに、じっくりと味を染みこませた厚揚げも。

 メークイーンなので煮崩れしにくいとはいえ、ジャガイモも早めに食べるべきだ。それから、おでんの代表格とも言える卵も外せないだろう。


「とりあえず、こんなところで」

「美味しそうですね! いただきます!」


 誠司から皿を受け取るや否や、器用に箸を操って、ミューラはまず厚揚げを口にした。


「うわふっ。おつゆが中からあふれてっ」


 先端から半分ほどで噛みきろうとしたところで、染みこんだ出汁がじゅわっと溢れ出る。それを逃すまいと、結局、ミューラは厚揚げを一口で飲み込んでしまった。


 小さく形のいい顔の輪郭が、その分だけふくれる。


 しかし、さすがと言うべきなのか。それでも彼女の美しさは損なわれない。逆に、微笑ましくて可愛らしさが増しているようにすら思えた。


「あふあふ……。でも、美味しいれふぅ……」

「ああ。良い出来だ」


 誠司も、大根を口にして満足そうにうなずいた。


 大根は面取りと隠し包丁を入れて下ゆでしてあるため、中までぎゅっと味が染みている。取り出すまではきちんと形を保っていたのに、箸を入れるとほとんど抵抗なく崩れてしまう。

 今度は練りからしを添え、熱々のそれを冷ましながら、また口の中に運ぶ。


「はふはふっ」


 熱い、飲み込めない。だが、これこそ至福。口の中で冷ましながら、少しずつ飲み込んでいくと、口の中だけでなく、喉でまで味わえる。からしも、アクセントとしてこの上ないほど効果的。


 一晩冷まして味を染みこませた大根は、無敵だ。


 次に、誠司は土鍋の中でも新入りになるちくわを口にした。


「ああ。ちくわも、ちょうどいい感じだな」


 ちくわのような練り物は、熱湯を回しかけて余計な油を落としてある。暖める直前に入れているので、そのものの味を楽しむことができた。

 練り物類を最初から入れると、どうしても出汁が甘くなってしまうのだ。それはそれで悪くはないどころか美味しいのだが、今回はしっかりと鰹と昆布の出汁を取っている。

 それを味わうことを考えると、これで正解だった。


「ぷふぁ……。このお出汁、いくらでも飲めてしまいますね。この前の水炊きに匹敵します」


 おでんの出汁を飲んだミューラもご満悦だ。

 市販の出汁などで手抜きをせず、きちんと出汁を取った甲斐があるというもの。


 けれど、誠司はそんな嬉しさなどおくびにも出さず、それどころか、ミューラに酷な質問をする。


「水炊きと、どっちが良かった?」

「え? それは……」


 誠司の問いに、ミューラは目を泳がした。

 正直に答える必要はないのだが、素直なミューラは、それすら思い浮かばない。


 おでんを食べる手を止めて、真剣に考え込む。


「わたしは、どちらかなんて選びません。どっちも救います」

「そうか。頑張れ、主人公(ヒーロー)

「はい!」


 輝くような笑顔で――実際、ミューラのサファイア色の瞳は宝石よりも輝いている――返事をすると、ミューラは目ざとく見つけた牛すじの串を二本ほど確保する。


「牛すじいいですね。おでんの中で、燦然と輝いて見えますね。長い道を歩いてきた旅人が、街の明かりを目にしたときの気分を、わたしは味わっているんだと思います」

「肉好きだなぁ」

「コタロウちゃんと一緒ですね」

「コタロウは、野菜も好きだぞ」

「お鍋の野菜なら、わたしも食べます」


 張り合ってどうする。

 ……と思わないでもなかったが――というよりは、思ったが――明言は避けた。


「おでんで肉と言えば、場合によっては、おでんに手羽先も入れたりするらしいな」

「手羽先! 水炊きの手羽先ですね!」


 おでんに入った場合の味を想像しているのだろうか。しばし、陶然とした表情を浮かべ……それはすぐに絶望へと変わった。


「なんで、このおでんには入っていないんですか……」

「場合じゃなかったんだろうな」

「それなのに、そんな話をするなんて……残酷です」


 あくまでも予想だが、店のように仕切りがあるわけではないので、手羽先を入れると出汁が脂っこくなってしまうのではないか。

 そうなると、ミューラは喜ぶかもしれないが、この出汁が穢されることになってしまう。


 それは誠司としては許容できなかった。


「憶えておこう。次があったらな」


 そう口先でごまかして、誠司は鍋から卵をすくった。 


 目玉焼きの場合は半熟を好む誠司だが、固ゆでの卵も好きだった。別に、フィリップ・マーロウや沢崎を意識しているわけではないが。

 出汁が入った皿の中で卵をいくつかに分割し、黄身が出汁に溶けて混じり合ったところを飲むのが好きなのだ。今は用意していないが、この出汁をご飯にかけて食べるのもいい。


「この白いのも、ふわっふわでいいですねぇ……」

「ふわふわの白いの……はんぺんか」

「それでは、ふわふわじゃない白いのもあるみたいじゃないですか。連邦の新型ですか?」

「ちくわぶというのがある」

「探してみます!」


 ミューラが楽しそうでなによりだ。

 微笑ましく見守りながら、誠司は練り物を口に入れる。


「ああ、これはウィンナー巻きか」

「ウィンナー!? お肉!? もう、セージさんったら。ところで、それはどこに?」

「紛れて分からないな。探せ。土鍋の中にはある」

「とんだ、ひとつなぎの大秘宝ですぅ……」


 途中、ごぼう巻きに翻弄されたり、餅巾着に浮気をしつつも、最終的にミューラはウィンナー巻きに出会うことができた。


「とりあえず、全種類制覇を目指せば、いつか出会えることが分かりました」

「それは、ある種の真理だな」


 その平坦な口調よりも余程感心していたのだが、誠司は頃合いを見計って土鍋に蓋をした。ほとんど食べ尽くされてしまったが、夕飯にも使う予定なのだ。これ以上食べられては敵わない。


「ごちそうさまでした」

「ああ」


 ミューラも満足してくれたようで、誠司は内心ほっと安心した。

 その誠司は土鍋をキッチンへと移動させ、黙って待っていたコタロウにビーフジャーキーを与え、洗い物をする。


 ……といった後片付けを終えると、誠司もやることがなくなった。

 食休み……というわけではないが、しばし穏やかで満足気な空気が流れる。


 次に誠司が口を開いたのは一時間ほどしてから。


「ミューラ」

「なんです?」

「この後なんだが……」

「なにか、用事があるんですか? アリスちゃんが来るとか?」


 金髪のツインテールにヘイゼルの瞳を思い浮かべながら、ミューラは聞き返した。

 しかし、誠司の返答は煮え切らない。


「いや、そういうわけじゃないんだが……」


 それでは、なにがあるのか。

 心当たりがなくなり、ミューラは首をかしげた。


 年の瀬も迫りつつある師走の土曜日。師走の語源として、僧がお経をあげるために、東奔西走する――という説があるほど忙しい年末。

 にもかかわらず、早めの大掃除を終えてしまった三浦家はいつも通り。つまり、用事も予定もなにもなかった。


 同居人でしかないミューラも、わずか三ヶ月ほどでそれは見切っている。

 だからこそ、三浦家にイレギュラーをもたらす唯一の存在――強敵と書いて友と呼ぶ間柄である、浦賀有朱が来訪する可能性を真っ先に口にしたのだ。


「少し、散歩に行かないかと思ってな」

「お散歩ですって、良かったですね、コタロウちゃん」


 なぜ自分に声をかけたのかは分からなかったが、ミューラは傍らで眠るコタロウに呼びかけた。少し早いが、今日は天気もいい。そのほうが寒くなくていいのだろう。


 散歩という魅惑のキーワードを耳にして、コタロウは再び覚醒した。

 もはや、誠司に向かって行くという段階ではない。一目散に、玄関へと走って行ってしまった。


「あー。まあ、ミューラも一緒にどうかと思ってな」


 そんな愛犬を適当に見送りつつ、誠司はミューラも散歩に誘った。ホラー映画なら、この時点で生死が決まってしまいそうな一言だ。


「え? コタロウちゃんだけでなく?」

「ミューラが良ければ、だけど」


 驚きに、動きが固まる。

 唐突で、言葉が出ない。


 けれど、答えは決まっていた。


「着替えてきます!」


 心変わりでもされたら一大事。これ以上、誠司にはなにも言わせず、ミューラは自分の部屋となっている和室へ駆け込んだ。

 衣装棚まで一気に移動し……それから、あわててふすまを閉める。その隙間から、驚いているようなあきれているような誠司が見えたが構っている場合ではない。


 誠司がミューラを散歩に誘う。

 これはもう、プロポーズと同じことである。


 プロポーズ同然なのだ。


 決して、大げさな表現ではない。


 なぜなら、ミューラが魔法を使用する度に、帰還の時が延びる。

 つまり、誠司はミューラに帰って欲しくないと言っているのである。ストレートに言うことができない誠司の、せめてもの愛情表現なのだ。


 それにかこつけて散歩デートなど、なんと可愛らしいことだろうか。


 精一杯の告白に答えずして、なにが王女か。


 ミューラはどてらを脱ぎ捨てながら衣装棚をひっくり返し、素早くコーディネートしていく。

 有朱なら、じっくり選んで自分自身を演出することだろう。それが悪いとは言わないが、相手は誠司。そんなことをしていては、気が変わってしまいかねない。兵は拙速を尊ぶ。勝ったもん勝ちなのだ。


「どうですか、セージさん!」

「ほう……」


 ほんの数分で出てきたミューラを見て、誠司は思わず声をあげた。


 有朱と邂逅したときとは、また違う呪文を使用したようだ。

 知らない人間には完全に別人として認識させるようにしていたが、今回は見た目を少し変えただけ。


 具体的には、髪と目の色を目立たないように黒くしていた。


 ただそれだけで神秘性が薄れ、親しみやすくなっている。ミューラ自身の気品や美しさは変わらないが、格別に目立つということもないはず。


「こっちの呪文のほうが、持続時間は長いので」


 そう相手が知りたい情報を伝えつつも、さりげなく体を動かし誠司の目に入るようにする。


 ショート丈のダッフルコートと、チェックのタイトスカート。それから、ハイネックのニットという組み合わせ。

 女の子らしく、甘めなコーディネートだ。


 自分でも可愛らしいと思うし、なにより誠司が好きそうな格好だという確信がミューラにはあった。


「さあ、セージさん行きましょう!」


 出発を宣言したミューラが、誠司の手を握った――


「あいたぁっ」


 ――いや、その寸前。思わずといった調子で、誠司はその手を叩き落としていた。


「すまない。反射的にやってしまった」

「ううう……。反射的に攻撃しないでくださいぃ……」

「攻撃は最大の防御ということだろうな。でも、悪いことをした自覚はある。謝る」

「あのですね、もうひとつ、他人から目立たなくなる魔法を使ったんですが、効果範囲はあんまり広くないんです」

「だから、手を握って自分から離れないようにしたと?」

「ですです」


 ミューラの言葉が真実なのか、誠司に確かめる術はない。

 しかし、万一のことを考えれば、信じるほかなかった。


「じゃあ、行くか」


 ついさっき叩き落とした手を、無造作に握る誠司。

 柔らかく滑らかで。そして暖かな感触。


 やましいことはなにもない。仕方がない。必要だからしていることだ。


「はい!」


 喜んで握り返すミューラに対し、誠司の反応は素っ気なかった。


 けれど、それこそ効いている証拠。


 ここ数ヶ月の経験により、ミューラはそれを学習していた。





 誠司がミューラを散歩に誘ったのは、もちろん、デートのためなどではない。ほんの少しだけ、そんな思考が頭をよぎらないでもなかったが、四捨五入すれば消えてなくなる程度のもの。


 一番は、やはりと言うべきか、ミューラの運動不足解消にあった。


 様々な事情から、家の中に引きこもらざるを得ないミューラ。体重の増加に関しては、摂取した食物を魔素(マナ)に変換しているためか。それとも、そういう体質なのかは分からないがほとんど変化していないようだ。


 有朱が知ったら悪堕ちしてしまいそうだが、この点に関しては構わない。むしろ、いいことだ。


 しかし、人間には多少なりとも運動が必要だ。特に、ミューラはまだ成長期の少女。地球で過ごした期間が原因で、彼女の未来に影を落としてはならない。


 誰かに見つかるリスクや魔素(マナ)を消費するコストと天秤にかけても、散歩に連れ出そうとしたのは、純粋に健康問題に起因する。

 

 それがデートなどよりも、よほど相手を思ってのことだと気付かないのは、誠司の性格のせいだ。こればかりは、もう、治しようがなかった。


「さあ、コタロウちゃん。どこへ行きましょうか!」

「ウワァオンッ!」


 マンションのエントランスを出た瞬間、コタロウが駆け出した。ミューラはもちろん、手を繋いでいる誠司も、一緒に引っ張られる。


 なんとも言い訳のできない状況。何人か歩いている人がいるものの、ミューラの魔法のお陰か、周囲の視線は感じられない。問題はない……はずだ。


「セージさん、このままコタロウちゃんのあとについていけばいいですか?」

「いや、あっちに行こう」


 誠司が指し示したのは、普段の散歩とは異なる。国道沿いを南下し、市の中心部へ向かうコースだった。コタロウはやや戸惑いを見せたが、すぐに順応して誘導通りにひょこひょこと歩いて行く。


 だが、誠司の戸惑いはすぐには解消されなかった。黒髪のミューラには、まだ慣れない。


 しかし、不思議と悪くはなかった。


 冬の空は高く、空気も澄み切っている。


 雲ひとつない青空。ペンキで色を付けたかのような空は、その端の部分だけわずかに白みがかっていた。

 風もなく、陽光が優しく降り注いでいる絶好の散歩日和だ。


 二人と一匹は、一匹のペースに合わせてゆっくりと――なにしろ、少し進む度、匂いをかぐために立ち止まったので――進んでいく。


 ショッピングセンターへと向かう人並みとすれ違っても、特にこちらを気にした様子はない。


 それでも、少しだけ緊張しつつ交番の前を通り、歩道橋に差し掛かった辺りで、ミューラが左手にある施設を不思議そうに見つめた。


「ここ、家のベランダからもちょっと見えますよね? 一体何なんです?」

「外国の海軍の基地だ」

「……え? なんで外国の基地が?」

「それは、戦争に負けたからだな」

「まさか、この平和な国が他国の占領を受けていただなんて……」


 わなわなと拳を握ってミューラが震える。

 そのただならぬ様子に、コタロウも歩道橋の途中で立ち止まって首を傾げた。


「ちょっと、追い出してきましょうか?」

「……時期が来たらな」


 今すぐ追い出しても、逆に困ってしまう。


「というか、軍隊相手に戦えるのか?」

「大丈夫ですよ。軍隊って、だいたい弱いじゃないですか」


 絶対に手出しをさせないようにしなければ。

 そう心に誓う誠司だった。


 やや早歩きになって歩道橋を渡り終えると、親子連れとすれ違った。やはり、ミューラの魔法が効いているのだろう。誠司とミューラに気付いた様子もない。


 なんとも不思議な感覚だったが、今は二重の意味で好都合。


 さも、今の親子連れを見て思いついたかのように話題を変える。


「そういえば、ミューラが小さい頃って、どんな子供だったんだ?」

「わたしが子供の頃……ですか」


 コタロウのリードを持っていないほうの手で形のいい顎をなぞりながら、ミューラは過去に思いを馳せる。

 基地のことは、とりあえず忘れてくれたようだった。


「離宮でお勉強したり、お付きのメイド……リッリとお庭で遊んだりという程度ですね」

「城を抜け出して、お忍びで街へ……なんてこともなかったのか」

「そんなことをしたら、警備の人が処分されてしまいますから」

「それはそうだな」


 現実は世知辛かった。

 そして、その経験があったから、誠司の家にこもりっぱなしでも不満を抱かないというのは、さらに皮肉な話だった。


「第三王女ってことは、兄弟がいるんだろ? そっちと遊んだりはしなかったのか?」

「わたしは、妾腹なので……。なんと言いますか、本人たちは気にしていなかったんですが、やっぱり周りが気を遣ってプライベートでは会わないようになっていましたね」


 これまた、世知辛い。

 王族ならそれくらい当たり前なのかもしれないが、現代の日本で育った誠司の感覚からすると不憫に思ってしまう。思わず、ミューラと繋いだ手に力が入った。


 血がつながっているのだから、必ず仲良くできる。


 そんな無邪気な思い込みは、どこからに捨ててしまっているけれど。


「逆に、セージさんはどんな子供だったんですか」

「可愛げはなかっただろうな」

「それは……どう言えばいいんですかぁ!?」


 ストレートに、意外でもなんでもないと言えばいい。


 そう思う誠司だったが、やはり、それは少数派の意見なのだろう。


「本ばかり読んでいた子供だったよ。勉強はそれなりにできたというか、文句を言われない程度の成績だったから、矯正されなかったと言うべきか」

「想像できます……」


 あははははと、乾いた笑いを浮かべるミューラ。


「子供の頃から、本好きだったんですね……。そうだっ! セージさんが初めて読んだ本って、どんな本だったんですか?」


 予想外の質問。


 虚を突かれて、誠司は思わず立ち止まった。


 別に流しても構わない質問だったはずだが、考え込んでしまう。


「そうだな……」


 丁寧に記憶の紐を解き、奥底から引っ張り出していく。


 大学の図書館。


 高校時代に通った書店。


 最終的に脳裏に浮かんだのは、小学校の図書室。


「親が読み聞かせをしてくれた絵本とかじゃなく、自分で選んだ本という意味なら……『タイムマシン』だったかな」

「タイムマシン、ですか?」


 コタロウのリードを手に歩きながら、ミューラが小首を傾げた。

 いつもの銀髪ではなく、黒髪がふわりと揺れる。


「子供の頃見ていたアニメに、タイムマシンという……過去や未来へ移動するひみつ道具が出てきたんだ。たぶん、それで選んだんだろうな」


 散歩を再開しながら、誠司は噛みしめるように言った。


 小学校低学年の頃だったはずだ。図書室を使ってみようということで、なんでも好きな本を選んで読みましょうという授業があった。


 そのとき、タイトルに惹かれて読んだのがH・G・ウェルズの『タイムマシン』だ。


 H・G・ウェルズはSFの父とも呼ばれ、『タイムマシン』の他に『モロー博士の島』、『透明人間』、『宇宙戦争』などの著作がある。

 いずれも、読んだことはなくとも誰しもタイトルは知っているだろう。


 後世に与えた影響は、非常に大きい。


 しかし、小学生の誠司にとって、そんなことは関係なかった。


「面白かったんですか?」

「いや、わけが分からなかった」

「えええー?」


 コタロウの後を誠司と手を繋いで歩きながら、ミューラは甲高い悲鳴を上げた。


「自分から目立ちにいって、どうする」

「いえいえ。それよりも、面白いでもつまらないでもなく、意味が分からないって、どういうことなんですか?」

「まず、タイムマシンが乗り物じゃなかったんだよな」


 作中のタイムマシンは、白いレバーが二本ある小さな模型だった。それを操作し、時間移動することになる。


「でも、タイムマシンって夢がありますよね。わたしなら、過去に行って『黒髪の紗音(シャノン)』のオリジナルを全巻確保します」

「ああ、そうだよな。失われた過去を取り戻そうとするのが王道だよな」

「ということは、その小説では違ったんですか?」

「ああ」


 短く相槌を打つと、誠司は横断歩道で足を止めた。ちょうど、青から赤に信号が切り替わるところだった。


「行ったのは、80万年ほど先の未来だった」

「80万年」

「しかも、人類は変に進化して身長が低くなって、肌はピンクで目は大きい。知能もなんか退化していたけど、その反面、争いがない牧歌的な生活をしていた」


 しばらくして信号が青に変わり、誠司たちはまた歩き出す。

 放たれた矢のようにコタロウが飛び出すのを適度に御しながら。


「う~ん。身長が低いところは草原の種族(マグナー)のようですが、彼らは牧歌的と言うよりは享楽的ですからねぇ……」

「変に共通点を探さなくてもいいんだけどな……」


 この進化した人類――エロイ族――の他に、もう一種の人類がいた。


 それは、モーロックと呼ばれる種で、当初はエロイ族の生活を支えるため労働を行っていたが、今では夜闇に紛れてエロイ族を狩る食人種族になっていた。


「小学生が読むお話じゃないような……」

「まあ、マイルドにリライトはされてたんだろうけどな。あとから、普通のを読んだのでごっちゃになっている可能性は否めない」


 作者のウェルズは、これを一種の社会風刺として描いたらしい。


 つまり、富を独占する上流階級は、いずれ生物的に退化し、虐げられている労働者階級から報いを受けることになるぞというわけだ。


 また、エロイ族はモーロックが存在しなければ自分だけでは生きられず、モーロックたちもエロイ族という食料がなければ絶滅してしまう。

 この関係も絶妙だ。


 しかし、小学生の誠司にそんなことが分かるはずがない。


 タイムマシンが奪われ、それを取り返す下りは冒険小説的な面白さはあるのだが、寂寥感のあるラストも相まって、なんか不気味だなという印象だけが残ったのだった。


「うう。微妙に身につまされる話ですぅ……」

「なるほど。ミューラにとっては、そうなるのか……」


 しかし、シルヴァラッド森林王国の第三王女であるミューラにとっては、違った。


 人によって解釈が違うという当たり前の事実。


 にもかかわらず、その視点は誠司に新鮮な驚きをもたらした。


「同じように、当時の上流階級にとっては耳が痛い話だったんだろうな」


 二十年以上してから、本当の意味を理解できたのかもしれなかった。


「ミューラのお陰で、理解が深まった気がする」

「えへへー。どんどんわたしを頼っていいんですよ、セージさん!」


 得意そうにミューラがステップを踏み、ダッフルコートの裾が踊る。

 何事かとコタロウが立ち止まったのは、ちょうど、市役所の前だった。


 そして、その向かいには、最も警戒しなければならない施設がある。


「あっちにあるのは警察署だからな。あんまり怪しい真似はするなよ」

「うぐぐ。大丈夫ですよ! 今のわたしたちは、わたしたちだけの世界にいるようなものなんですからっ」


 そうは言いつつも、心持ち頭を下げて通過していくミューラ。


「話を戻しましょう」

「戻すような本筋があっただろうか?」


 ほとんど来たことがない道にもかかわらず、お構いなしに進んでいくコタロウの尻尾を眺めながら誠司は答えた。


「ありましたよぅ、家族の話です。セージさんは、お兄さんとの仲は良かったんですか?」

「話を聞く限り、兄の後ろをいつもついて回っていた弟だったらしい」

「あら可愛い」

「でも、兄貴が出入りするのが徐々に子供がついていくような場所じゃなくなって、自然と疎遠になっていったな」

「あらら」

「今じゃ、生きているのか死んでいるのか……」

「うう、コメントしづらいですぅ……」


 だから、誠司から家族の話を振ることは、ほとんどないのだ。

 破天荒でアクティブな兄と、ニヒリストで慎重な弟。創作ならいいコンビになるのかもしれないが、実際には、こんなものだ。


「別に構わないさ。むしろ、生きているほうがびっくりだ」


 聞きようによっては冷たいかもしれないが、これが誠司の偽らざる気持ちだった。

 両親の死に際しては、兄の不在を呪ったこともあったが、今ではその感情も風化している。


 そんな兄のことをこれ以上思い出しても仕方がないと、誠司はまた話題を変えた。


「でも、あんまり交流はなくてもミューラがいきなり行方不明になって、みんな心配しているんじゃないか」

「心配はしていると思います。ただ、その方向性がなんというか……」


 ミューラにしては歯切れの悪い回答。


「実は、実験の後に政略結婚的なイベントが、はい……」

「……なるほど」


 青すぎて作り物めいて見える空を眺めながら、誠司は言った。

 王女となれば、そういうこともあるのだろう。


「今まで、税でなに不自由なく暮らしてきたのですから、国のために嫁ぐのは当然だと――」

「――別に、そういうわけでもないだろう」


 気付けば、その否定は反射的に行われていた。


「魔法の研究所で顧問みたいなことをやっているんだろう? そこできちんと成果を出しているんだったら、ちゃんと国に貢献していることになるじゃないか。王女として生まれた義務感はいいが、それで個人の幸せを諦めるのは反対だ」


 誠司らしからぬ早口で、思ったことをそのまま垂れ流したような言葉。

 口にしてから、誠司はとてつもない後悔に襲われた。


 ただ匿っているというだけなのに、なんて偉そうな台詞を。


「そうですね。そういう考えもありますよね……」

「いや、言いすぎたかも知れない。忘れてくれ」

「忘れませんよ! 忘れません……」


 それっきり、黙りこくってしまう。


 ただ、二人の手が離れることはなかった。


 やがて二人は、小さな水路のある歩道を抜け、海沿いの公園にたどり着いた。


「三笠公園……三笠……。あっ、この船の公園ということですね」

「船というか、まあ、戦艦だな」


 戦艦三笠。

 イギリスのヴィッカー社で建造された敷島型四番艦。日露戦争では連合艦隊の旗艦を務め、日本海海戦でロシアのバルチック艦隊を破ったのはあまりにも有名。


 しかし、子供の頃の誠司にしてみると、近所の公園に置いてある戦艦で、入るのにお金がかかる……という程度の認識でしかなかった。


 その後いろいろ歴史を学び、さらに、戦後すぐの苦難を知って尊敬の念を新たにはしている。なので、許して欲しいところだ。


「コタロウちゃんを連れては、入れないですよね?」

「ああ」


 確認したわけではないが、無理だろう。


「さすがに、でっかいですねぇ」


 全長約130メートル、全幅約23メートル。これは、サッカーのフィールドよりも長く、幅は三分の一ほどとなる。

 これを100年以上前に建造していたというのだから、驚くより他ない。


「はぁ~。これを人の手で作ったんですね。この国の人はすごいですね」

「実はイギリスで建造したんだけどな」

「アーサー様の国ですか! へえぇ……。あんな距離を航海してきたんですねぇ」


 先週、誠司が見せてくれた世界地図を思い出し、ミューラは感嘆の声をあげる。魔法を操る彼女でも、いや、だからこそ。人が持つ技術だけで成し遂げた偉業に敬意を表さざるを得なかった。


「日本海海戦という国の興廃がかかった一戦で勝利したときの旗艦だったんだ。それで一躍有名になって、こうやって保存されている」

「なるほど。この国の象徴のひとつということですね!」

「まあ、100年以上も前のことだから、そこまで大げさなもんじゃないけどな」


 その偉容を外から見学しているうちに、先ほどまでの沈黙は、どこかへ行ってしまった。


 記念艦三笠に別れを告げ、二人と一匹は海沿いを歩いて行く。


「同級生の父親が、若い頃にここから海に飛び込んだことがあるらしい」


 柵の向こうの海を見ながら、ふと思い出したように誠司は言った。 


「ここからって、かなり高さありますよ……?」

「伝聞だからな。話を盛っている可能性もある」

「盛ってなかったら、普通死んでると思うんですけど……。地球の人って、そういうところ凄いんですか?」

「まったく凄くはない」


 目算で5メートル程度だろうか。本当だとしたら、若気の至りとしか言えない。


「例えばですよ、セージさん」

「ん?」

「この海で、わたしとアリスちゃんが溺れているとします。どちらを先に助けますか?」

「コタロウ」

「――三番目の選択肢を生み出さないでください!」


 ミューラの叫びは、一分の隙もないほどに正論。

 しかし、その状況なら、コタロウも一緒である可能性が高い。ならば、選択肢はひとつだった。


「そういう状況になったら、どうか俺を見捨ててコタロウを助けて欲しい。それだけが、俺の望みだ」

「大丈夫です。そのときは、わたしがセージさんとコタロウちゃんを二人とも助けます」

「じゃあ、俺もミューラと有朱の両方を――」

「――ダメです。両方という選択肢は、ついさっき死にました」

「残念だ。いいやつだったのにな……」


 死んでしまったのなら仕方がない。

 誠司は、サファイア色から黒に変わったミューラの瞳を正面から見つめて口を開く。


「まあ、どちらかならミューラだろうな」

「ほわわっ!?」


 望んでいた。

 けれど、半ば諦めていた答え。


 それを聞いて、ミューラは白磁のような頬を真っ赤に染めた。もちろん、寒いからではない。体温なら、今、一瞬で上昇した。


「ストレートに言われると、キますね……」


 まるでダウン寸前のボクサーのように、足下の覚束無いミューラ。

 間違ってコタロウの足でも踏みはしないかと、誠司は気が気でない。


「なら、なぜ聞いた」

「だってぇ、だって、だって、だってですよぅ」


 意味を成さないが、言いたいことは通じる。

 その辺が、複雑な乙女心……ということなのだろう。


「セージさんがわたしを選んだ理由を聞くかどうか……。わたしは、今、もの凄く葛藤しています」

「聞く気になったら言ってくれ」

「あーあー。たぶん、理由としてはろくでもないんですよ。分かっているんです。でも、わずかな望みに賭けてみたい気持ちもあるんです。成功率1%とか、それ絶対に成功するってことですし」

「それは、フィクションの中だけの話だな」


 現実は非情だと告げ、いっそ楽にしてやろうと、理由を口にしようとする。


「ミューラを選んだ理由は――」

「――そうやって、強制的に選択肢を失くすの、止めてくださいよぅ」


 わーわーと両手を振り乱し、誠司の口を抑えるミューラ。

 魔法がなかったら、注目の的だっただろう。


「とりあえず、理由は聞かないことにします。そして、アリスちゃんに自慢します」

「それ、絶対にツッコミ入れられるぞ」

「それでもアドバンテージには変わりありません」


 そう言い切るミューラには、「有朱に話したら、確実に理由を言い当てるぞ」とは言えなかった。

 代わりに出たのは、当たり障りのない言葉。


「少し、寒くなってきたな」


 冬は日没が早い。

 気付けば、日が傾きかけていた。


「そろそろ帰るか」

「そうですね。帰りましょう。また来ましょうね、コタロウちゃん!」

「ゥワンッ! ゥワンッ!」


 かなり長距離の散歩で満足していたのか。コタロウが元気に吼えて同意する。

 水分補給をさせてから、来た道を戻っていくことにした。


 ――そうなれば、帰りの話題はひとつ。


「セージさん。今日の晩ご飯は、なんですか?」

「そうだな……。昼のおでんの残りを使って、うどんなんてどうだ?」

「もう一声!」

「とろけるチーズを載せてみるのもいいかもな。それか、豚肉があったし、カレー粉を足してカレーうどんにするのも悪くない」

「両方でいきましょう」


 それも悪くない。

 悪くないと思うが、あまりにも天真爛漫で、少し意地悪がしたくなる。


「……両方という選択肢は、死んだはずじゃなかったのか?」

「大丈夫です。不死鳥(フェニックス)のように蘇りますから」

「そっちにもいるのか、不死鳥」

「ええ。死期が迫った不死鳥が南方の火山へ飛び込み、後に噴火と一緒に飛び立つところが目撃されていますよ。十数年か、何十年かに一度ぐらいですけど」

「それはすごい」


 さすが異世界だなと、誠司は感心する。いちいち、ダイナミックだ。

 

「ああ、そうだ。セージさん」

「ん?」

「来週、アリスちゃんの家に泊まりに来ないかって誘われているんですけど、行ってもいいですか?」

「……いろいろ確認したいことはあるけど、基本的には賛成だ」

「やりましたっ!」


 来週はお泊まりですとスキップをするミューラと手を繋ぎながら、ゆっくりと家路をたどっていった。

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