SS:みさきとお風呂とまゆみさん
帰宅後。
俺は早速『猿でも分かるC言語』を読んでいなかった。ノータッチである。
チャンスを得た。いろいろ怪しい条件ではあるが、俺にとっては千載一遇の機会だ。これを逃す手は無いのだが……今は、何よりも優先すべきことがある。
みさきの安全を確保することだ。
俺が傍に居れば、アグレッシブナ変態が何度現れても撃退できる。だが……忍者のような変態が潜伏している可能性もある。どれだけ頑張っても、あらゆる視線からみさきを守るのは不可能だ。
結論。
みさきを二度と男湯には入れない。
だが、この方法には大きな問題がある。みさきは自力で着替えることも出来ないのだ。一人で入浴させるなんて危険なこと出来るわけがない。
……女装するか。いやいや無理だろ。顔だけならともかく全裸は無理だ。トイレとはワケが違う。
「というわけで相談がある」
「……ど、どんなご相談でしょう?」
深夜。俺は隣の部屋で正座していた。
目的はエロ漫画家さんである。もしかしたら寝ているかもしれないと思ったが、スマホを片手にニヤニヤしている姿を見て一安心である。
さて、どう話を切り出そうか。
もちろん相談というのは、みさきと一緒に風呂に入ってくれということだ。
俺は慎重に、声を出す。
「あんた、風呂って入ってるか?」
「入ってますよぉ!?」
いかん、しくじった。
「悪気は無い。ただ、あれだ、ここシャワーすらないだろ? どうしてるのか気になってな」
「近所のスパに! 毎日! イッてます!」
やばい見るからに不機嫌だ。
どうにかフォローしねぇと……
背中に冷や汗を流していると、ぷんすかしていたエロ漫画家さんはクールダウンするように溜息を吐いた。
「もう、私を罵りに来たんですか? そ、そんなプレイ頼んでないですよまったく」
左手を右脇に、左手を下腹部に。不思議な形で腕を組んだエロ漫画家さんは落ち着いた様子で言った。
キンキンした声を聞いた時には驚いたが、あまり怒っていないようだ。心の広いエロ漫画家さんである。
「それで、お風呂がどうしたんですか?」
「いや、その……一緒に入ってくれないかと思ってな」
「アヘッ!? そそそ、そんなエロ同人みたいなプレイは虹限でお願いしましゅる!」
専門用語だらけで分からんが、雰囲気的に拒絶されてるっぽいな。
……まあ、当然か。だが諦めるわけにはいかねぇ! みさきの未来がっ、ここで決まるんだよぉ!?
「頼む! 変態達に視姦されてると思うと我慢できないんだ!」
「なんてハイレベル!?」
そうだよ。
銭湯にはハイレベルな変態が出没するんだよ。
「だから、みさきと一緒に入ってくれる女性を探してるんだが……頼む! 頼れるのは、あんただけなんだ!」
「…………ぁ、みさきちゃんと……ぁぁ、はは、はふぇふぇ……ですよねぇ」
そんなこんなで――
こんばんは、小日向檀です。
いま、みさきちゃんと脱衣所に居ます。
「み、みさきちゃーん、よ、よろしくねぇ?」
「……ん」
みさきちゃんは素直に頷くと、急にバンザイ。
それからモゾモゾ、モゾモゾ……
「ええっと、じ、自分じゃ服を脱げないのかなぁぁ? ふひひ」
ダメだ、笑顔を意識したら普段の三千倍くらいキモくなってる。これじゃ完全に不審者ですよ。ふへへ、でも合法、合法だから。みさきちゃん、気持ち悪がったりしないでね?
「……ぬげない」
うぉっ、みさきちゃん動じない。
人見知りとかしない子なのかな?
「ええっと、ふへ、うご、動かないでね?」
同意を得たので、みさきちゃんを剥く。
小さい服の下に隠れた綺麗な肌を見て、私は反射的に天を仰ぎました。
……っぶねぇ、もし貧乳属性があったら犯罪者になってたところだったぜぇ。
なんて、冗談です。
幼女は大好きだけど、あくまでライクだからね。ピュアラブだよ。私と同じ大きさの胸に興奮したりせんですよ。ふふん!
……同じかあ。
「ええとぉ、みさきちゃん? なにかな?」
ひそかにへこむ――へこんでない!
落ち込んでいる私に熱い視線を送っているみさきちゃん。
……はぁ、はぁ、幼女に視姦されてるよぉ!
なんて、冗談です。顔を見てるんだよね。顔だよね。
「……ない」
「むっ」
Bだから!
これでもBだからああ!
「おちんちん、ない」
「ぶはっ――」
お、思わず吹いたでござる。
この幼女おちんちんと申したか?
おのれ、一体どんな教育をされておるのだ!? 最高だ!?
「ええとね、女の子にはね、ついてないんだよぉ?」
「おんなのこ?」
ええぇ、うそ、伝わらないの?
……あの人、お母さんは遠いところって言ってったっけ。
いかんですよ。
大人の私が暗くなっちゃダメ。
ここはもう! 私がビシっと教えてやるのですよ!
あーらあらみさきくん、そんなに女の子の身体が気になるの? だったらぁ、お姉さんが、教えてあげようか?
……ふへへ、やはりおねショタは鉄板……おおお、オネショちゃうわい! というか女の子! みさきちゃんはショタ違うロリだよぉ!
「だいじょうぶ?」
ごめん、大丈夫じゃないかも。
「だ、だいじょーぶだよぉ? さ、さぁ、お風呂、いこうか、ふへへ」
「……ん」
みさきちゃん強い。
ここまで完全に不審者な私を相手に全く動じない。恐ろしい子やでほんま。
邪念は捨てよう。
そう、悲しいことを考えよう。
幼女とお風呂。
親になる前に、子供と一緒にお風呂。
……あ、死にたい。
かくして賢者になった私は、湯の前に居ます。どこの世界でも女子風呂の湯気が濃いのは常識です。みさきちゃんを見失わないように刮目します。
みさきちゃんは迷わず一番奥のシャワーを占拠しました。じーっと、私を見て……洗えと申すか? ふ、ならば仕方あるまい。
小日向檀、おぬしの召使となってしんぜよう。
ふふふ、お父さんとは違う女性の柔らかい手の感触、あ、その身に叩きこめぇぃ!
あふぁ、髪すべすべぇ……肌もすべすべだよぉ……
はぁ、はぁ……次の本、おねロリの百合物にしよっかな。ふひっ、捗りそう。
妄想はさておき、みさきちゃんウォッシングは真剣に。
「ど、どう? いぃぃ痛く無いかなぁぁ、ひひ」
「……じょーず」
ほ、褒められてしまったでござる。
「て、やわらかい」
「そ、そう?」
これは、あの人と比べてということでせう?
そんな、まるで行為中に前のパートナと比較されているかのような――アヘっ、な、なんて高度な寝取りプレイ!
……って! 真面目にやれわたしぃ!
ここは自分の部屋じゃない! 全年齢対象! 子供が相手なの!
「か、かゆいところ、ないかなぁ? ふへへ」
「……ん」
…………ふぅぅ、初めて幼女の身体を洗ってしまった。
なんという柔らかさ、なんという緊張感、なんという達成感。
こんなにも湯船が心地良いと感じたのは何年ぶ……そうでもないかな、うん。
肩こりがね、酷いからね。
いやぁ、困っちゃうわぁ、ペタンコなのに肩こり酷いわぁ……悲しいわぁ……
おぅふっ、みさきちゃんにツンツンされてしまった。
「……えぇぇと、な、なにかぁ? へへ」
「ひざ」
ひざ?
「……」
「……」
ご、ごめんなさい。
全然分からないでござる。
「……」
あれ、ちょっと怒った?
ごごごごごごって近寄ってくる……はぁ、はぁ、あの小さな手に叩かれたら、柔らかくて気持ちぃだろうなぁ……
「……って、あれ? み、みさきちゃん?」
私に馬乗りになったみさきちゃん。
何をするつもりなのだろう。
まずは背中を向けて……おぅふ、寝転がった。
あああぁぁぁ、全身で感じる幼女の肌やぁらかぁぁぃぃぃ
だ、抱き締めたら怒られちゃうかな?
ダメダメ。イエス・ロリータ・ノータッチ……我慢しないと。
で、でも私は、ウーマン。
紳士ではなく淑女……だ、大丈夫な、はず!
でも否定されたらどうしよう。
手を回して、ペチってされたら――あ、むり、しぬ。
……やめとこう。
「…………おかあ、さん」
――っ!?
「ぇぇと、みさきちゃん? ……寝てる」
や、やばかった。
今の、破壊力、やばかった。
……でも、そうだよね。
みさきちゃん……やっぱり、寂しいよね。
「……」
ああ、これが母性なのだろうか。
私にも女性的な感性が残っていたらしい。
そっと、みさきちゃんを抱きしめていた。
それはもう、母親のように……私のことは、聖母マリアと呼んでくれてもいいのだぜ! 名前もマユミだから。マリアっぽいから!
……はぁ、子供、欲しくなっちゃったかも。
まずは彼氏だけどね。ふへへ……くぅぅ!
リア充になりだぃ”ぃ”!
大幅改稿中です。
読みに来てくれている方々、ありがとです。
三年たっても覚えていてくれる人がいるんだなあて思うと、感動です。