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■第42話 好きな人に言う言葉



 

 

 

 『アイツはさー・・・


  サツキのことが好きなんだって・・・ 思ってたの・・・。』

 

 

 

サツキの家に突然駆けこみ、泣きじゃくるマドカを慌てて自室に促したサツキ。

 

 

マドカは泣きはらし目元を真っ赤にして、いつものつけまつ毛も取れて

しまっていた。


こんなうろたえるマドカは長い付き合いだが見たことはなくて、

いつもは冷静なサツキまで動揺してオロオロと落ち着きなかった。

 

 

ベッドに腰掛け暫く泣き続けてから、ぽつり呟いたマドカのその言葉。

サツキは聴こえたそれに自分の耳を疑い、素っ頓狂な声を上げ笑った。

 

 

 

 『ええええ??


  なーにをどうしたら、そう思うのよ??


  リョウ君、マドカの前でしかあんな風に笑わないじゃない・・・


  あんな風に愉しそうに言い合いしないじゃない・・・

 

 

  だって、最初の頃にさ


  マドカのバイト終わりを待って歩道橋行った時・・・


  リョウ君、コンビニ前まで行って


  なんか慌てて走って引き返して来たことがあったんだよ・・・。』

 

 

 

『え? いつ頃??』 マドカが驚いた顔を向ける。


リョウがコンビニに来るようになったのは、最近なのだから。

サツキの言った ”最初の頃 ”というのが全く見当つかない。

 

 

 

 『あの・・・ ほら、


  歩道橋でマドカたちがケンカした夜・・・


  リョウ君がなんか変だった夜にさー・・・

 

 

  あれ見て、ああマドカのことが好きなんだろうなって思ってたよ。


  なんかヤキモチ妬いてるみたいだったじゃん、あの時のリョウ君・・・。』

 

 

 

『・・・・。』 マドカが口をつぐんで俯いた。 再び涙が伝いだす。


そんな事全然気付かなかった。 

疑心暗鬼になってなにも信じられなくなっていた自分に今更ながら腹が立つ。 

 

 

 

 『前に話したじゃない? リョウ君に相談受けた、って・・・


  アレ、マドカに関することだからね~?


  ”どうやって気持ちを伝えたらいいのか分からない ”って・・・


  リョウ君、必死に考えてたよ。 一生懸命マドカのこと想ってさ~・・・

 

 

  まわりから見たら、ふたりの気持ちなんかすごく分かりやすいのに


  なんで当人たちはそんなに難しくしちゃってるの?

 

 

  幼稚園で習ったでしょ~?


  嬉しいときは ”ありがとう ”


  悪いと思ったら ”ごめんね ”

 

 

  ・・・じゃあ、好きな人には・・・??』

 

 

 

サツキがマドカをやさしく微笑みながら覗き見た。

 

 

 

 『好き。 リョウが・・・ 大好き。』

 

 

 

マドカがぽろぽろと涙の雫を落としながら、呟く。

次第にその顔はくしゃくしゃに歪み、しゃくり上げて泣きじゃくる。

 

 

『そう!正解。』 サツキがマドカを愛しそうにぎゅっと強く抱きしめた。

 

 

 


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