表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/50

■第21話 弱々しくてちっぽけな



 

 

翌夜、歩道橋のリョウの背中は、

いつものそれより格段に弱々しくちっぽけだった。

欄干に突っ伏すように上半身をもたげ、亀のように背中を縮込めている。

 

 

 

  ”お節介はやめてもらえませんか。”

 

 

 

マドカに言い放った昨夜の自分の言葉を思い出していた。


あんな言い方は、無い。

こんな不完全な自分を見放す事もせず親切にしてくれるマドカに、あれは無い。

分かってはいるのに、どうしようもないモヤモヤがあんな形になって

現れてしまった。

 

 

本当は、今夜この場所に来るのも躊躇っていた。

マドカに合わせる顔なんかない。

 

 

『怒ってる、だろうなぁ・・・。』 心細げにぽつり、ひとりごちる声は

一瞬吹いた風に揺れたクスノキの葉音に呆気なくかき消される。

 

 

参考書の文字なんて一切頭には入らない。

目の前の活字なんてどうでもいい。


どうしたら良かったのか。

ああいう気持ちの時はどうしたら良かったのか、教えてほしかった。


でも、もうそれを教えてくれる、リョウに飽きもせず付き合ってくれる

その人は来ないかもしれない。

もう来てはくれないかもしれない。

 

 

嫌われた。


きっと、嫌われた。

 

 

今までの人生で、正面から向き合ってケンカなどしたことがなかったリョウ。


ケンカの後はどうしたらいいのかなんて知らなかった。

どの教科書にも参考書にも、そんなこと一言だって載ってはいなかった。

 

 

 

大きな溜息が、震える胸を通って噛み締める唇の隙間からこぼれていた。

 

 

 

 

 

 

そしてマドカもまた、コンビニでレジに立ちながら次第にフツフツと湧き上がる

怒りに鋭く目を眇めていた。


最初に無視のような事をしてしまったのは確かに自分だけれど、なにもあんな

言い方をする事はない。

確かにお節介だ。リョウに頼まれてやっている事ではないそれは分かっている。

でも、それにしても、あの言い方はない。

 

 

納得いかないマドカは、バイトが終わるとなんの迷いも無くダッシュで

駆け出していた。


そして苛立つ気持ちを隠しもせずに、ローファーの踵を踏みしめ足音を大きく

響かせると一気に階段を駆け上る。


そして、ガシガシと肩で風を切って荒々しく突き進み、リョウのすぐ横に立つと

そのマドカの威圧感に目を見開き、リョウが息を呑んで大きく仰け反った。

 

 

 

 

 『そーだけど・・・ そりゃお節介だとは思うけど・・・


  あっんな言い方ないと思う!!

 

 

  そりゃ、昨日はちょっと・・・ 


  なんか変な、スルーみたいなの、最初にしちゃったけど・・・でも!


  あんなのは無いっ!

 

 

  あれは傷付くよ、いくらあたしでも!!』

 

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ