四日目
~プルル~プルル~
ん~……電話…?
「はい。もしもし?」
「あ、私、だけど………。」
でてみると、それは彼女からであった。
「ああ…………。」
「ごめんね?寝てた?」
「いや……今、何時?」
「午前11時よ。」
僕も彼女もすっかり打ち解けたようだ。会話がほんとんど親友の域だなぁ。
そんなことを考えてボンヤリしていたら……
「もしもし?聞いてる?」
「えっ?あ、ごめん。なんだっけ?」
「うん、大したことじゃないんだけどね……。」
そう前置きしてから、彼女は僕に疑問をぶつけてきた。
「なんでこの案件にあなたが選ばれたのかなって。
いや、私的には嬉しかったよ?嬉しかったんだけど……。」
嬉しかった、と言われ僕は心の中でひそかに喜んでいた。
「こう言ってはなんだけど……あなたは、博学でもないし、地位も、名誉もハッキリ言って……無いじゃない?」
本当にハッキリ言われてしまった。まぁ、否定する点はないからいいけども。
「なのに、あなたが選ばれた………。
ねぇ?なんでか聞いてないの?」
「ごめん………僕も聞いてないんだ。」
「そっか…………。」
「うん……。」
2人とも黙る。僕らはどちらもわかっていた。たぶん、これが最後になることを……だから、どちらも電話を切ることが出来なかった。
「そうだ!また2人で一緒に桜を見に行こうよ!
昨日みたいに、コンビニでお昼を買ってさ!」
「そう………行きたい…ね。」
「行こう!ね?」
「うん……………。」
「じゃ、また明日ね?」
彼女は、「うん。」とだけ言って電話を切った。
電話を切ってから考える………なんで僕が選ばれたんだろう?
僕は、平々凡々に育ったごく普通の一般人のはずだ……なのになぜ?
「ほんと………なんで僕なんか…。」
そう呟いたときだった。
~ピンポーン~ピンポーン~
玄関のチャイムが鳴った。
「はいはーい。」
返事をしながら僕は玄関へと向かう。
「どちらさまですか~………って…あなたは。」
「どうも。」
玄関さきには、僕にこの案件を持ち込んだ、その人が立っていたのだ。
「えっと………何か?今日は何も予定は入っていないと思うんですけど……。」
「ええ……。ですから、今日は私個人として伺わせていただいたのです。」
「はぁ…………。まぁ、どうぞ…」
こうして、僕の部屋に珍客が招かれたのである。
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「あの………ご用件は?」
「あぁ……ま、一杯どうですか?ツマミも持ってきたんですよ。」
と笑顔で袋を上げてみせる。
こうして僕は、この奇妙な客と2人で昼間から飲むことになった。
飲み始めて少しして……
「あのですね………今日は、伝えたいことがあって伺わせていただいたんです。」
「伝えたい……こと…?」
「はい…あなたが選ばれた理由です。」
何だって?!僕が選ばれた理由?!
「それって………!な、なんですか?!」
僕は思わず身を乗り出していた。
「あなたなら……あなたなら、『彼女』を救うことが出来ると思ったからです。」
「僕が………」彼女を救う?そんなの、出来るはずがない。僕は一般人なのだから。
でも、もし救えるのなら?
「あの!そのために、僕は何をすればいいんでしょうか?!」
「あなたは、あなたの仕事をしてください。
あなたにしか出来ない仕事を。」
僕にしか出来ない………仕事…。
「では、私はこれで。」
「えっ?もう帰られるんですか?」
「はい。私には私の仕事がありますので。」
失礼します、と言って去っていった。




