三日目~昼~
僕らが公園という名の空き地につくと、時刻はちょうどお昼の頃合いだった。
2人で適当なベンチを見つけて、向かい合うような形で座り、先ほどコンビニで買った昼食を食べ始めた。
しばらくは無言が続いた。
「あの………。」
コンビニで買ったサンドウィッチを頬張りながら、同じように梅のオニギリを食べている彼女に話しかけた。
「さっきの話なんですけど…………。」
「さっき?…………あぁ、桜の話ね?」
「……はい。」
口の中のサンドウィッチを飲み込み、緑茶で喉を潤してから僕は話始めた。
「桜………確かに僕らと似ているところがあると思います。どちらも儚い生き物だとも思います。
でも、僕らは桜には無いものを持ってますよね?」
「桜に…………無いもの?まさか、どっかの哲学者さんみたいに、『考えること』なんて言うんじゃないわよね?言っとくけど……私、哲学が大っ嫌いなの。なんだか、屁理屈みたいじゃない?」
彼女は捲し立てた。あいにく、僕も哲学があまり好きではい。だから、哲学者みたいなことを言うつもりもなかった。
「違いますよ。
人を愛する、ということです。
桜は愛されてます。それこそ多くの人に。
けれど、桜は愛することは出来ません。出来たとしても、それを表現出来ません。
僕らは、愛することが出来ますし、それを表現することもできます。」
「でも………私は貧乏神だって…。」
「それは有識者たちが言ったことでしょう?」
「でも…………でも…私………。」
「………じゃ!あなたのお母さんは?妹さんは?
あなたが彼女らを愛してるように、彼女らもあなたを愛してます。僕はそれを信じます。
………だから……だからあなたも信じてください!自分に素直になってください!」
「……うん。ありがとう……ありがとう…!」
最後には2人で泣きじゃくっていた。
どのくらいたっただろう。泣き止む頃には2人とも泣きすぎで疲れはててしまっていた。
彼女は改まったようにこちらを向いていった。
「ねぇ…………。」
彼女の凛としたしゃべり方は崩れていた。
「ん?どうかした?」
僕も、親近感を感じていた。恐らく、お互い友人として認めあったということだと思う。
「あのね…………私の、本当の気持ち、聞いてほしいの。」
思わぬ申し出に僕は驚いた。
「ダメ……かな?」
申し訳なさそうにこちらを見る彼女。
「そんな!むしろ、僕なんかでいいの?」
「あなたがいいの!
あなたなら、信頼出来そうだから………。」
そう言って、彼女が初めて告げた思いは
僕にとって衝撃的なものだった。




