三日目~朝~
「あの~………。」
「何?」
「いえ……。どこに行くんでしょう?」
昨日彼女に、朝部屋から出るなと言われたので部屋で待っていたら、
彼女は迎えにくるなり僕に向かって
「行きましょう?」と言って連れ出したのだ。
そんなわけで僕は当然、彼女が目的地があってそこに進んでいるものだと思っていたのだが……。
「そうねぇ……。どこに行きましょうか?」
「えっ?!決めてないんですか?!」
「ええ。」そう言って笑う彼女から、昨日の彼女を連想することは不可能なことのように思われた。
結局、2人で相談した結果(ほとんど僕の意見だったが)近くの公園に行くことにした。
公園といっても、少し広い空き地のようなところで遊具もほとんどなく、利用する人はほとんどいなかった。
「………………?どうかしました?」
公園に向かう途中の道で、彼女がふいに立ち止まったのだ。
「……………さくら……。」
「ああ……桜ですか。キレイですね…。」
見ると確かに、彼女の目線のさきには桜の木が優雅に立っていた。
「そう………キレイ。でも、いずれは散ってしまうのよね……。」
「まぁ……落葉樹ですからね。」
「………………まるで私達みたい。」
「えっ?」一体、彼女は何が言いたいのだろう?
彼女は桜の木を見ながら、しかしよく聞こえる声で言った。
「私達もいずれ散っていくのよ。それが遅い人もいれば、早い人もいる。ただそれだけの違い。」
それはまるで、彼女自身 自分に言い聞かせているかのような言い方であった。
「だから、あなたがどのような結論を出したとしても結果は変わらない。私は散る運命なのよ。」
「そんな………。」
「ごめんなさいね、湿っぽい話をして。
そうだわ。どうせなら、そこのコンビニで昼食を買って、公園で食べましょ?」
そう言って、彼女はコンビニに入っていった。
僕もそのあとに続いた。2人で昼食を買って、あらためて公園へと向かった。




