一日目~朝~
4月。僕の住む街の桜は満開を過ぎ、ちらほらと散っていくものもあるくらいになってきた。
今朝のニュースでは、1週間もしないうちにすべて散ってしまうだろうと言っていた気がする。
道を行く人々はそんな桜の木には目もくれず、各々が目的の場所へと急いで歩いている…………ように見えた。
そんな中、僕はある喫茶店を目指していた。ある1人の女性に会うために。
なんでこんなことになったのか、昨日の出来事が本当なのか、何度も疑った。
実際、ほとんどの人はこんなことを頼まれたら夢ではないかと疑うと思う。
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「『彼女』を死刑に処すべきか否かをあなたに判断していただきたいのです。」
「いや、そんなこと急に言われてもですね……」
この人は突然何を言い出すのだろう?死刑?
僕は裁判官になった覚えはないし、もちろんなる気もない。
なのに、どうしてこの人は僕にこんなことを頼むだろう?それに…………
「あの…『彼女』ってこの写真の女性のことですよね?」
さっき僕が渡された写真には1人の女性が写っていた。年齢は…24歳くらいだろうか…肩まであるキレイな黒髪に、僕は思わず見とれてしまった
「ええ。」
「えっと……この人は何をしたんですか?」
「いえ、まだ何も………ただ…」
何もやってない?何も罪を犯していない人を裁けとこの人は言うのだろうか………いや、それよりも…
「ただ………なにか?」
「………『彼女』の存在がこの国を破滅させるかもしれないのです。」
「……………。」呆れて何も言えない
国が破滅?たかだか、たった1人の女性の存在で?
ありえないと思っていることが伝わったのか…
「これはすべて本当なんです。詳しくは……言えませんけど、この国の未来はあなたにかかっているんです。お願いします!」
「いや、あの……ちょっと……。分かりましたよ。
引き受けます。引き受けますから。」
「ほんとですか?!ありがとうございます!」
「ええ。暇ですし」実際、僕は暇だったのだ。
それに………写真の中の『彼女』に興味を惹かれたことも僕の決断を後押しした。
「では、詳細を記した書類を明日の朝こちらに届けさせていただきます。」
失礼します。そう言ってその人物は帰っていった。




