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魔法の練習

「朝だよ、起きて」

 ケレーレンに起こされる。

 窓から差し込む日の光がケレーレンにあたり、背中まである銀髪が輝いている。幻想的で美しい。思わずみとれてしまう。

 

 特に頼んではいないのだが、俺を起こすのがケレーレンの日課になっている。

 そして起こす時は必ず俺の頬をつまむ。何故なのだろうか。


 それにしても三十年ちょい生きてきて、こんな美人に起こしてもらえる日が来るなんて思っても見なかった。異世界も悪くないなと思う瞬間だ。


「おはよう」

「おはよ、もうご飯の準備もできてるから、先に食堂に行って待ってるね」

 そういうとケレーレンは部屋を出て食堂へ向かっていく。

 俺もケレーレンの後に続いて食堂へ向かう。


「おはようございます」

 食堂に入り、ヘレンや他の従業員に挨拶をしてケレーレンが座っている席に座る。


 この世界の朝食はパンがメインだ。今日はパンにスクランブルエッグの様な卵料理とスープだ。

 ケレーレンと朝食前のお祈りをし、朝食もおいしくいただいた。


「おはようございます!、今日はよろしくお願いします!」

 朝食を食べ終わり、お茶を飲んでいると元気な声が聞こえてくる。

「おはよう」

 ケレーレンと共にミリーに挨拶を返す。


「いつから魔法の練習はじめますか」

 ミリーは早く練習がしたいようで、そわそわしている。


「うーん、どうしようかしら」

「特に用事ないなら、この後すぐでいいんじゃないか」

 俺も早いとこ魔法を使ってみたい。


「そう、ね。じゃあ部屋に戻って着替えたら入口に集合ね」

「はい!私はもう準備できているので先に待ってますね」

 ミリーはそういうと、入口の方に走って行った。

「ずいぶん気合入ってるな、ミリーちゃんは」

「やる気無さそうな人より、ミリーみたいな方が教え甲斐があるわよ」

 俺を見ながらケレーレンが言う。

 確かにミリーの様にやる気を表には出してはいないが、年甲斐もなくワクワクはしている。


「俺にやる気がないような言い方だけど、やる気満々だぞ」

「どうかしら」

 ケレーレンはそういうとフフっと微笑む。

 なんでだろうケレーレンは魔法になると若干いじわるになる気がする。


 あまりミリーを待たせるのも悪いので、さっさと準備をして宿の入口に向かう。準備といっても着替えて、顔を洗うだけだから早い。


 まだケレーレンは来ていないようだ。

 ミリーと雑談をして時間を潰す。どうやら仕事は休みらしい。休みの日まで練習とは頭が下がる。いや休みじゃないと練習する暇がないのかもしれない。


「おまたせ」

 十分程してケレーレンがやってきた。


「じゃあ、行こうか。どこでやる?」

「川にいきましょう」

「はい!」

 宿の裏ではなく、村の入口側にある川に向かう。

 川に向かいながら、二人は今日の練習内容について話し合っている。所々知らない言葉がでているが、魔法用語なんだろうか。


 目的の川には三分程で到着した。

「じゃあ、ミリー始めましょうか」

「よろしくおねがいします!」

 先にミリーから練習を始めるようだ。


「あれ、俺は」

「ミリーが終わったら教えるからちょっと待ってて」

 そういうとケレーレンはミリーと共に川に入っていく。

 何で川の中に入るんだろうと思っていたが、ミリーが魔法を使ったのを見て納得した。

 ミリーは火系統のようで、手から火が出ている。火を使うから川を選んだのだろう。

 それにしても不思議な光景だ、手が燃えている様にしかみえない。というより燃えている。熱くないのだろうか。


 ミリーもそうだが、人間はエルフと違い一系統の魔法しか習得できないらしい。

 そうなると扱える系統が人生を左右する。火は戦闘にも日常生活でも使えるので当たりだと聞いている。ミリーの人生はとりあえず順風なのではないだろうか。


 逆にはずれだと聞いているのは光と闇だという。名前はかっこいいのだが。


 俺自身は雷系統であってほしい思っている。自分で発電できれば戦闘以外でも色々役に立ちそうだからだ。

 

 ちなみに、よくありそうな火は熱血漢主人公タイプ、氷は冷静ライバルタイプ、土は縁の下の力持ちタイプといったように性格で系統が決まることはないらしい。


 ケレーレン達の近くで爆音と共に水しぶきが上がり、衝撃波と熱が飛んできた。

「うお!」

 あまりの出来事に思わず声をだし、後ろに倒れてしまった。

 ケレーレンとミリーがこっちを見て笑っている。


 何事かと思ったが、ミリーが魔法を水中で使ったらしい。川底に小さいクレーターが出来ている。

 手から火を出すだけじゃなく、爆発を起こすこともできるようだ。まあ手から火が出るくらいだと戦闘では役に立たないか。


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