評判の魔法薬
2015/01/04 改行を本編に近い形に修正。字下げ、句読点の位置を修正。
店の奥から出てきたコリンは薬の売買を毎回担当してもらっている金髪の少年だ。とても聡明で商店で一番の注目株だろう。歳はたしか十四だったか。
「私はケレーレンと用事があるから後はよろしくね」
ヘレンはそういうとケレーレンを連れてどこかへ行ってしまった。
「いってらっしゃいませ」
コリンが深々と頭を下げる。
「じゃあ、よろしく頼むわ」
「わかりました、計算方法はいつも通りでしょうか」
コリンが頭を上げ、にこやかに答える。
「そそ、この甕三つね」
いつも通りとは、液体の薬を販売用の小瓶に移し替え、小瓶の総数を数える方法だ。天秤の様な重さを量る道具はこの商店にもあるが、今回もってきた酒甕ではさすがに重過ぎてそのままでは量れない。
「ケレーレンさんが作る薬は評判いいですよ、すぐ売れちゃいます」
コリンが小瓶に薬を移し替えながら話しかけてくる。
「そうなんだ、やっぱ魔法薬だからかな」
持ち込んでいる薬はただの薬ではない。回復魔法が封じ込められている魔法薬と呼ばれる代物だ。一日に使用できる回数に制限はあるものの、効き目は絶大で多少深い切り傷でも一瞬で傷跡も残らず回復するという優れものである。
「いえ、魔法薬は他からも仕入れてますが、ケレーレンさんの薬は値段に比べて効果が高いからでしょう」
魔法薬というからには魔力的なもの次第で効果の優劣がでるのだろうか。まだ魔法が使えない俺にはよくわからない。
「でも人気が出てきたのはここ最近なんですよね。リョーダさんとケレーレンさんが一緒にこの村に来るようになった頃でしょうか。それもあってリョーダさんのせいじゃないかとヘレンさんが言ってましたよ」
「俺のせいって?」
「ほら、あれですよ好きな人の為に頑張って作ってるとか。持って来ていただいている量も倍近くになってますしね」
何言ってんだか、と、呆れ口調で返事をした。
「ヘレンさんはそういう話大好きですから、そう思われるのも仕方がないかと」
魔法薬の効果が高まった理由は分からないが、量が増えた理由はわかる。
魔法薬は元になる薬草に回復魔法を封じ込め、少量の水と共にひたすらすり潰して液状にしたものだ。俺よりも圧倒的な力を持つケレーレンだが、長時間すり潰し続けるのは結構大変そうで、いつも汗だくになっていた。
そこで家の隣に流れている川に水車を作り、その動力で薬草をすり潰すことができるようにしたのだ。量が増えたのはそのおかげである。