いい神様
神様の国
「神様。神様は人の願いを叶えてるの?」
「勿論叶えているよ」
「本当?」
「本当だとも。神様はちゃんと人の願い事を叶えているよ。それが仕事だからね」
「でも、神様。地球にはたくさんの不幸な人や、貧しい国があるよ。そういう人達の幸せになりたいとか、ご飯食べたいとかの願いは叶えてないの?」
「勿論、叶えてないよ」
「何で?お仕事じゃないの?」
「人には娯楽が必要なんだよ。裕福な国の人は貧しい国の人の現状をテレビとかで見て、『かわいそうだ』と言って楽しむんだよ。貧しい国にむけて、お金を募ったりもするんだ。自分がいい事をしたという気持ちになれるからね。だから貧しい国は裕福な国の娯楽を支えるために、貧しいままでないと困るんだ」
「不幸な人の願いは何で叶えないの?」
「人は優越に浸りたい生き物なんだ。幸せな人は不幸な人を見て、『かわいそうだ』と言って哀れ楽しむんだよ。不幸があるから至福があるんだ。貧困があるから裕福が際立つんだ。だから人みんなが幸せであったら駄目なんだよ。みんなが幸せなんて世界があったら、つまらないからね」
「そうなんだ。神様って人の為にいろいろ考えてるんだね!」
「そうだよ。神様は人の為に願いを叶えているんだ」
「神様は、いい神様だ!」
「勿論、いい神様だよ」
「神様いろいろ教えてくれてありがとう。もう帰るね。バイバイ」
「じゃあね、バイバイ。気をつけて帰るんだよ」
人間の国
「…畜生……なんで…なんで俺はこんなにも不幸なんだ?俺の…俺の信じていた神は死んだのか?それとも、元々いなかったのか?俺がこんなにもついてないのは、そう、お前のせいだ!全部お前が悪い!恨んでるなら殺せよ!すっぱり死なせてくれよ!じわじわ追い詰めるのはやめろ!なんのための神だ?誰のための神様だ?一体誰のための神様なんだよ!」
人のための神様