月の女神
プロローグ
「ようやくここまで来れたな。お前のおかげだぞ。」彼女はそう言った。
確かにここまでとてつもない苦労をした。しかしそれほどつらかった覚えもない。
とても楽しかったように記憶している。
「よし、じゃあそろそろ行くな。」彼女はそう言って金属でできた階段を上って行った。
―――――じゃあな
その言葉とともに私の心にはぽっかりと心が開いてしまった。
§
第一章 月の女神
まず第一に私は普通の人間である。そして私が住むこの町はいたって平穏である。
私が住む町大和市はこの日本国神奈川県の県央に属し様々な公共施設がある。
そして私は、義務教育という縛りの中に生きる学生である。
詳しくというと大和市にある中学校の生徒である。
学校内ではわたしは委員会に属しており。その委員会の長を行っている。
尚私は中学三年生。いわゆる受験生である。
しかし私は委員会の中でも生徒会の次に
責任感があるといわれる学年委員に属している。
つまり組の長である。
しかしそこは私が生活するこの世界。いたって平凡で素晴らしい空間である。
あることは除いては。
私の組には不登校もとい引きこもりの生徒がいる。しかしここまでならば
どんなところにもありそうな話だが、わが組の担任は組のことは組の生徒で解決がモットーであり
この引きこもりの生徒のことをなんと組の学級会の議題としたのだ。
そこで話合われた結果この組の組の長の私がこの引きこもりの生徒と話し合い、学校に来させる
という大役を背負わされたのである。
普段の私ならば拒否をしここまでの大役を背負わないようにしていただろう。しかしその日私は
風邪で休んでいたのである。
そんな日に学級会がありそしてこんな大役を背負わされてしまったのである。
私は休んだ次の日には学校に行き、その当日に学級会で決まったことを知り、猛烈に担任に抗議した。
しかし担任はこう発言して来たのである。「そんなに嫌ならば組の全員ともう一度話し合ってこい」
と言われたのである。私には組全員と一人でそして学級会でもない場所で話し合うことなど、もはや不可能
と考えた。
私は組の決定に従った。私はここまで来たらちゃんと引きこもりの生徒のことを知ろうと思い、担任に聞いたところ
このようなことがわかった。整理するとこのようになる。
◦本名は富徳田 光子 (みのりだ こうこ)
◦性別は女
◦小学一年のころより不登校で、学校に一度も登校したことがない。
私はこれを聞いた後本当に私はこいつがいる家に行かなければいけないのかと自問自答していた。
――あの時私が休んでいなかったら。
悩んでも仕方がない。私は考えることをやめた。とりあえず行ってみることにした。
彼女の家は大和市の大和駅より徒歩十分のところにあり大きなマンションの中にあった。
私は彼女のインターホンを鳴らす前に一呼吸をしインターホンを鳴らした。
ピーンポーンという音が流れた後応対するだろうと思いインターホンのそばにいたが、全く応答がない。
とりあえず家の扉を叩き「富徳田さんいますか。」ということを言った後。数秒間した後私は家に帰ることにした。
――よしまた今度来よう。
私は廊下をスキップしながらマンションの中のエレベーターへと向かった。
しかし私のスキップの音の最中に扉のしまる音がした。そして何かが私に近づいている音がしたのである。
しかし私の脳にはそこまでの情報が行かず、そして「ようやく見つけた」という言葉で我に返った時には遅く
首に痛みを覚えた後意識がとんでしまった。次に目覚めるとなんだか薄暗いところにいた。
――私は死んだのか?
すると後ろの方から物音がしてきた。
「おーいだれかいるのか?」
女子の声がする。これが富徳田の声なのか?
「助けてくださーい。暗くて出口がわからないんです。助けてくださーい」
「分かった今すぐ行くぞ」
ガチャ
扉が開いた。それと同時に電気がついた。何分ぶりの光だろうか。そんなことを考えていると目の前にとても白いクッションのようなものがある。
こんな悲しいときにはこんなクッションに抱きしめたいと思うところである。私は本能に忠実な男である。目の前にあったクッションを即座に抱き
しめた。すると目の前のクッションから高い音が聞こえた。「まさかクッションから音は出まい。」そんなことを考えていると、腹部に強烈な痛みと
衝撃が走った。私は痛みが走るとともに精神的に何かのスイッチが入り正気を取り戻した。
――なぜクッションがいきなり目の前に現れたのだろうか?そういえばここはどこなんだ?私は誰?
私はそんなことを考えた後目の前を見た。すると先ほどの腹部の痛みを忘れるぐらい美しい美少女が立っていたのである。
すると美少女は「ななななぜ私の腹をいきなり触ったのだ。いきなりだからお前の腹をけってしまったではないか」
「すいません」
「というかお前は誰だ。勝手に私のへやにいるとはどういう事だ。」
「私もなぜここに居るのかはわからないのです。あっ、申し遅れましたわたくし草岡中学校三年五組の沢波亘司です。あなたの名前は?」
「私の名は=アルヌファー=ロイドゥだ。」
「はっ?」
「いやだからアルヌファー・・・」
「すいません言い直さなくていいです。外国の方ですよね。すいません。」
「いや私は異星人だ。」
「はっ?」
「だから私は月人だ」
「はぁ?」
こうして私の人生はこいつと出会って狂い始めていくのである。