第10話【幕間 - 独白】
それは、遠い昔の記憶。
桃香の家で遊んだ、大乱闘ゲーム。
『キャアアアアアッ!』
画面の中で、お姫様のキャラクターが倒された。彼女は、そこで消えることは無く、画面上に体が残り続けて、眼を瞑り、規則正しく胸を上下させて呼吸している。
それを見て、俺は今までに感じた事の無い胸の熱さを感じた。
「ちょっとー!視ちゃん、私ばかり狙わないでよー!」
お姫様を使っていた桃香が俺に抗議する。だが、その声は俺に届かなかった。
『シェアアアッ!』
地面に横たわる、物言わぬお姫様に追撃を加える。そんなことをしてはいけない。いけないのだが、この背徳感、高揚感が、操作をやめさせない。
「もう!私の死体なぐらないでよー!あはは!」
桃香は、何故か楽しそうだ。もしかして、分かるのだろうか。この気持ちが。
調子に乗って、ひたすらにお姫様をいじめる。
「…あ。」
間違えて、画面外に出してしまった。お姫様は不思議な力に飲み込まれ、激しい光と共に塵と化した。
「まじめにやってー!もう!大乱闘はやめようよー。」
あの気持ちは、何だったんだろう。
「そうだな。なにする?」
できれば、あの気持ちをもう一度。
「しんふぉにあ、やろうよー。私がやられちゃったら、いじめないで助けてね!」




