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転生大失敗  作者: くるーん。
序章
1/2

運命大失敗

世界というのは実に残酷だ。

生まれが良いだけで苦労を知らずに育つ事も出来れば、生まれが悪かっただなんて理由で生後数分で命を落とす事だってある。

俺の生まれはまあ普通だった。いや、世界的に見れば当たりとも言えるかもしれない。

戦争も無い平和な国に生まれて、程々に仲の良い家族の元で過ごして、程々の学校で日々を過ごす。

恵まれてない人から見たらなんて羨ましいと思われるのかもしれないし、俺自身他の国で戦争をしているだなんてニュースを見れば「この国に生まれて良かったなあ」だなんて他人事のように思ったりもした。

要するにこの世界は、運が全てなのだと思う。

どれだけ才能を持っていても、生まれた場所が悪ければ生かす間もなく死ぬし、そもそも才能を活かせない場所に生まれる可能性もある。

──ああ、俺は何でこんな事を考えていたのだっけ?







そうだ、今から死ぬからだ。







これが走馬灯と言う物だろうか?いや違うな、にしては思い出は過っていない。

死因は眼前に迫っているトラックであろう、実にありふれた死因である。

無論自分は歩道を歩いているし、信号無視もしていない。つまり相手の居眠り事故と考えるのが妥当である。

まあ脇見運転とかかもしれないが、そんな事はどうでも良い。

避ける事も間に合わないし、トラックはゆっくりとだが確実に此方へと迫っている。

これもまた──運である。

明日ニュースやら新聞に軽く取り上げられて、後は身内以外に忘れられる程度の死。

男子高校生だからもう少し悲劇的に取り上げられるかもしれないが、それでも他人からすれば数分で忘れられる程度の死である。

次はどうなるのであろうか?

ありがちな天国地獄に行くのか?

異世界にでも飛ばされるのか?

或いは此処で終わり、次なんて無いのだろうか。

だが次があるのなら──そうだな

異世界に行きたい、この世界では有り得ない能力を携えて。

なんてありがちな思考であろうか。まあ自分は思春期真っ盛りだしもう死ぬからこの程度の痛い妄想は許して欲しい。

さて、もうそろそろ現実逃避も無理だろう。

この思考速度は何だったのだろう、火事場の馬鹿力的な奴か?

まあ良いや、母さん父さんごめんなさい、楽しみ足りないけれど良い人生でした。











明日野(あすの)不成(よろず) 享年18




そうして、俺の人生は幕を閉じた────













「……筈、だよな」


死んだ筈だと言うのに目の前に広がる草原を見て、思わず俺は呟いた。

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