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すれ違う
おれは、そんなことを思いながら、新学期の、桜が舞い散る帰り道をひとり、歩いていた。
「よっ! どうしたんだ、浮かない顔して」
後ろから声をかけてくれたのは、天馬だった。
「天馬! おれ、正直さ、もう、無理なんじゃないかって、思ってきたんだよ。この学校で、追試とか取らずに普通にやっていけるの。ましてや国公立なんて、絶対、無理だよ……」
「なあ、勇希。おれは、医者になりたいと思ってる」
「医者?」
「ああ。医者だ。だから理系に進んだ。でも、今のおれの成績だと、到底医者になんてなれない。一年の頃に赤点とか取ってたしな。でも」
天馬は、サッと前を向いた。
「努力が叶わなかったとしても、おれは、努力をし続ける」
そうか。
努力が叶わなかったとしても。
努力は、してもいい。
「そうやって、努力をしている間は、その間だけは、夢に向かって進んでいるみたいで、幸せなんだよ。今日も市民交流館いくか?」
「……ああ。一緒に勉強しようぜ」




