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ライラに私の初恋の話をしたら、今は雲の上の王子の事を考えろと諭されました

本日2話目です

そして、オリエンテーションの競技が終わって、次は夕方の新入生歓迎パーティーだ。


主催は学園と生徒会。

基本は上級生が新入生を歓迎してくれるはずなんだけど。

ライラの相手のあの優しそうな先輩はアスモ・シュルヤラ伯爵令息で二年A組で生徒会に入っているそうだ。


「ちょっと身分的に上過ぎたわ」

ライラは少し失敗したって顔しているんだけど。


ちょっと待ってよ!


ライラにとっては伯爵家は雲の上の存在かも知れないけれど、それなら、私の相手の王子殿下は違う銀河の存在なんですけど……


私にどうしろって言うの?

本当に頭がいたいんだけど。


そう言えばウィル様もこの学園の何処かにいるんだろうか? 高位貴族みたいだったし、いたなら一度でいいから一緒に踊ってみたい!


私の思惑とは別にライラはライラなりに気を使ってくれていた。


「あなた、ドレスはどうするの?」

部屋に戻る途中でライラが聞いてくれた。

「ドレスって、制服じゃ駄目なの?」

「いいわけないでしょ。あなたのお相手は第一王子殿下なのよ。

そもそもパーティードレスはあるでしょ」

「まあ、男爵様がくれたけれど」


紺のシックなドレスなのだ。

少し古いが良いものだと執事さんが念押ししてくれたものが。


「これって100年くらい前の流行のドレスよ」

でも、それを見てライラはバッサリと切り捨ててくれた。

「やっぱり! 私もそんな感じがしたのよね」

私は頷いた。でもこれを除くと碌なのが残っていないんだけど……


「それよりこの赤のドレスはどうしたのよ?」

ライラが真ん中にかけてあるドレスを指差した。


「それは近所のおばちゃん達が、折角、学園に行くんだったらって、皆で刺しゅうしてくれたのよ」

「凄いじゃない。一面バラの刺繍が散りばめられているわ。ワンピース自体は安物だと思うけれど、絶対にこっちのドレスの方が良いわ。第一王子殿下の隣に立つならこれよ」

そういうことで、おばちゃん達が夜なべして作ってくれた真っ赤なドレスになったんだけど、この色ってどちらかと言うと、悪役令嬢のドレスなんじゃないのかと思いはしたが、ライラには逆らえなかった。



「でも、銀河系の遥か彼方の地位にいる王子殿下が私をエスコートしてくれるって本当なんだろうか?」

私はまだ、半信半疑だった。


何しろライラの相手のアスモから聞いた殿下の情報だと、学園入学以来今まで、誰一人女の子と踊ることは愚かエスコートさえしたこともないそうだ。


いろんな高位貴族のご令嬢が頼んだにも関わらず、いまだかつて実現したことがないのだとか……


そんな殿下が私をエスコートしてくれるなんて許されるんだろうか?




「あんた、気をつけなさいよ。女の恨みは怖いから、ワインとかぶっかけられないようにね」

ライラが心配して言ってくれた。


「えっ、そんなのまで心配しないといけないの?」

「当たり前じゃない。さっきのユリアナ嬢を筆頭に怖い高位貴族はいやほどたくさんいるんだから」

「ええええ! 私、まだ、一度もパーティーとかで踊ったこともないから殿下と踊るのはパスなんだけど」

「あんたそんな事言ってご覧なさい。他の高位貴族の令嬢に殺されるわよ。何しろ殿下はまだ婚約者もいないんだから、大半の高位貴族の令嬢は狙っているんだから」

何か慰めにもならないことをライラが言ってくれるんだけど。


「私、殿下と踊るよりウィル様と踊りたい」

思わず自分の希望を言ってしまった。


「えっ、あなた恋人がいたの?」

ライラが驚いて聞いてきた。


「えっ?」

私は真っ赤になった。

「恋人なんかじゃないわよ。昔、男に襲われた時に助けてくれたの。高位貴族の方だと思うんだけど、この学園にならいるかなって思ったんだけど」

「正式な名前とか知っているの?」

「ううん、この上着かけてくれて、『大丈夫か』って聞かれて。とてもスマートだったの」

私が真っ赤になってその時の事を言うと、

「だから男物の上着があったのね。また、あんたの事だから男装するためかと思ってしまったわ」

「何を変なこと言っているのよ。そう、この上着は私の宝物なの。お礼状と一緒に届けてもらおうとしたら、『当然の事をしたまでだから礼は要らないって』この上着と一緒に返されたのよ」

「ああ、あんたの片思いね。ウィル様なんて名前聞いたことないけれど、まあ、覚えていたら聞いておいてあげるわ」

何か、ライラの対応が塩対応だ。


そう、文句を言ったら

「当たり前でしょ。あなた、今夜は学園の一番人気の殿下と踊るのよ。全く可能性のない片思いの相手よりも、殿下のこと考えなさいよ。二度とこんなチャンスないんだから、良い学園の思い出になるわよ。田舎に帰ったら絶対に皆に自慢できるわよ」

ライラは言ってくれた。


それはそうだ。

宇宙の果てにいる王子様にエスコートしてもらえるのだ。もう二度とチャンスなんてないだろう。それに王子様にエスコートしてもらえたなんて一生自慢できる話だ。やってもらいたくても皆出来ないんだから。


「わかったわ。どうなるか判らないけれど、取り敢えず、楽しむわ」

私は元気に言い切ったのだ。


「うーん、そうよね……」

なんかライラの反応が少し変だ。


「何その反応」

「だって、ニーナが何かやるってことはまた何か大きな問題が起こりそうで」

「失礼ね。これでも地元では地味で大人しい性格で……」

「あんたしか、そう思っていないのは確実よね」

ライラが途中でぶったぎつてくれたんだけど、絶対に違う……はずだ。





すみません。エスコートまで行きませんでした。

今夜こそはエスコートまで進みます。

本日もう一話更新します。


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ここまで読んで頂いてありがとうございます。

この話のサイドストーリーがこちら


『転生したヒロインのはずなのに地味ダサ令嬢に脇役に追いやられてしまいました』

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実は地味ダサ令嬢の親友がヒロインでしたと言うお話です。地味ダサ令嬢の凄まじいばかりの行動力の前に翻弄されるヒロインのお話です

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第一部の紹介は
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。

しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。

私の

前の作品

はこちら

『ヒロインに転生したのに悪役令嬢の侍女やらされています!神様から授かったチート能力はド派手な衣装の魔法少女にならないと使えませんでした』

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― 新着の感想 ―
[一言] ]_・)男子たちは気になる子についついやっちゃう系のイタズラだった?
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