悪役令嬢視点 生意気な平民女を始末しようとしました
私の名はユリアナ、サデニミエ公爵家の長女よ。
サデニミエ公爵家は建国の時の英雄の王弟が公爵家に臣籍降下して出来た名門公爵家なの。
この国一番の高貴な家なの。
何度も王妃を輩出し、また、何回も王女の臣籍降嫁を受け入れてきたこの国カルドアヴィ王国の名門中の名門なのだ。
私の母も元王女殿下だった。
前前国王陛下の息子で母の兄の王太子は若くして亡くなり他に男兄弟はいなかったので、国王は前前国王の弟が継いだのだ。
現国王陛下はその息子で母とはいとこに当たっていた。
時が時ならば我が兄が王家をついでもおかしくなかったのだと父は折にふれて言ってくれた。
私は子供心に少し違えば私が王女殿下になれたのだと小さい時から思っていた。
そんな父だから第一王子殿下が生まれた時から私をその嫁にしようと虎視眈々と狙っていたのだ。
私は小さい時から礼儀作法から諸外国の情勢、内政全般について王妃となるための教育をそれは厳しくしつけられたのよ。
だから第一王子殿下と婚約するという事に対して疑ったことなどなかった。
第一王子殿下とはお会いしたことなどなかったけれど、そうなることは確定事項だと思っていた。
殿下とは年が二つ離れているが、王立学園に私が入る時は三年生に在学していらっしゃる。
漠然と、学園に入れば王子殿下と親しくなれると思っていたのよ。
でも、入学が近くなって学園の情報が入ってくると、殿下は女嫌いで、仕事以外で誰も女性を近づけていないという事も判ってきた。何しろ殿下は、学園のパーティーでも女性をエスコートをしたこともなければ一緒に踊ったこともないとのことだった。
学園では誤解を招くようなことはせずに、特定の女生徒は近づきにならないと。
それはそれで、立派な事だと私は思った。
殿下が下手な女をエスコートしてくれて、その女が変に誤解してライバルが現れるよりはましだ。何しろ我が家はこの国の筆頭公爵家で血は現国王陛下よりも尊いのだ。
そんな勘違い女が現れたらこちらで対処しなければならなくなる。流石の私も貴族の女を処分するのは気が引けた。
気に入らない侍女は何人か首にしたし、時には行方不明になることもあった。私の気分を害したのだから仕方がないのだ。
そんな私だからたとえ在学中は親しくはなれなくても、当然婚約者に選ばれるものだと思っていた。
そして、新入生歓迎パーティーでもいつもの如く殿下は誰もエスコートされないと思っていたのだ。
しかし、その殿下が地味な黒髪の女をエスコートしているのを見て私は驚いた。
何故、どうして!
まあ、でも、その相手は平民だそうだ。
この学園の建前に全ての生徒は平等であると。
殿下はその建前を実践されているだけだろうと。
私はそう思っていたし、その平民と踊った後に私も踊ってもらおうと思っていたのだ。
でも、一曲下手なダンスを踊った後に、何とその平民の女は殿下と会場から逃げ出したのだ。
私は怒り狂った。
しかし、その時は殿下の一時期の気の迷いと忘れることにしたのだ。
異例のことだったが、偶には公爵家も下々の者にお目溢ししてやることも必要なことなのだ。
しかしだ。その後も殿下と平民女は頻繁に会っているとの事を知って私は怒り狂った。
取り巻き連中に命じて、物を隠したりして警告してやったのだ。
でも、そんな迂遠なやり方ではその平民女はびくともしないみたいだった。
仕方無しに、私は自ら出て釘を刺してやろうとしたの。
しかし、私はそこに現れた殿下によって、逆に徹底的に辱められたのだ。
それも殿下は私が殿下の婚約者候補筆頭ではないとはっきりと口にされたのだ。
私はとても悔しかった。
それを父に話したら父も怒り狂ってくれたのだ。
「ユリアナ。殿下には困ったものだな。自分の立場というものを判っていないようだ。我が家を怒らせるとどうなるかもな」
父が笑って言ってくれた。
「お父様。どうなさるおつもりなの?」
「殿下がそのおつもりならばこちらも思い知らせてやる必要があるだろう。その女を始末するしかあるまい」
「でも、どうやって? 下手なことをすれば我が家がやったと判ってしまいますわ」
「そこは気にせずとも良い。まもなく、洞窟探検であろう。その時に魔物に襲われることはよくあることだ」
「まあ、お父様ったら怖いわ」
「ふん、よく言う。心配せずとも、ユリアナは今まで通りしていれば良い。そうすれば自然と殿下の婚約者におさまっておるわ」
「そうね」
私はあの平民女が恐怖に震える様が今から目に見えるようでとても楽しみになったのだ。
いよいよ洞窟探検です。
ニーナの運命やいかに?
続きは明日です。





