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熱いシャワーが二人を包み込み、それを合図にするように二人は再び唇を合わせた。相手の味を確かめ合いながら、身体に指を這わせていく。
彼女たちに秘密はない。お互いの身体の事も全てを知り尽くしている。皮膚の下にどのように快楽の回路が張り巡らされ――そこをどう刺激すれば悦びという名の熱いうねりがもたらされるのか――彼女たちは全てを知っているのだ。
重ね合わせた唇から唸るような声が漏れる。身体を駆け巡る熱いうねりが波のように押し寄せ、その度に互いの動きが激しくなる。
「……ふぅ、ぐっ……」
アリシアが顔を歪め、唇を離した。その反応にアメリアは目を細め、アリシアを見つめる。
「お腹、痛むの?」
「え? 大丈夫だよ、お姉ちゃん。一発貰っただけだしさ」
「……本当?」
「うん、もち――がっ!!」
アリシアの口から今度は完全に苦痛に悶える声が漏れる。アメリアがおもむろに腹部を強く押したのだ。
「……内臓を痛めてるわね。やっぱりしばらく安静にしてなさい」
アメリアはそう言うとシャワーバルブを閉めた。それは行為の終わりを告げていた。
「お姉ちゃん、どっか行くの? 今日は一日一緒にいてよ」
シャワールームから出ようとするアメリアを引き留めるように、アリシアがそっと抱きしめてくる。背中に伝わる柔らかい感触と温もりに、アメリアの中で一度収まった情欲が再び湧き上がってくるのを感じた。
「……アリシア、やめて」
アメリアはその情欲を吐き出すように、大きく息を吐く。そしてアリシアの手を振りほどき、傍らにかけてあったバスタオルを手に取った。
「情報屋のところに行ってくるわ。留守番をお願い。ちゃんと安静にしてなさいよ」
髪を拭きながら肩越しに振り返る。アリシアは不満そうに唇を尖らせながらタオルで身体を拭いている。
「何しにいくの? 今回の件でシメるの?」
「違うわよ。まぁ今回の件で、というのは正解ね。あの二人の情報を貰いにいくの」
「ふ~ん、なるほど。狩りの下準備って訳ね」
姉の真意をくみ取り、アリシアの口元に悪い笑みが浮かぶ。
「えぇ、楽しい狩りにしましょ」
アメリアも同様に笑みを浮かべ、アリシアにそっと口づけをした。




