番外編①. 砂金の間警備報告
番外編は、ざまぁ中心の後日談になります。よろしくお願いします。
初回、短いです。
◆ ◆ ◆ ◆
ーーーアロイジア鉱国暗部警備担当第一席護衛官、コードネーム「アトキンス副将」が報告。
黄金暦百九十八年、鹿月第十四日、二十二の刻四半と三。
暗部警備担当アリーズ護衛官と同所属ロートス護衛官の警備中、室内から「マーシャ!ヴァリーをどこへやった!ヴァリーを返せ、マーシャ!!」と叫ぶ男の声を確認。
アリーズ護衛官が監視窓から中の様子を確認すると、元国王ディライズ・マーク・アロイジアが元側妃ヴァレンヌ・アロイジア(タルヴァ家から除籍済み)に馬乗りになり、首を絞めている現場を発見。
中に入り引き離したのち、アリーズ護衛官が元側妃の心肺停止を確認した。
ロートス護衛官はすぐさま、アトキンス副将に報告。
アトキンス副将は、王族法第十条二十二項に従い、陛下と将軍へ報告。
その間、元国王は終始王太后を罵倒し、元側妃の行方を尋ねていた。
二十二の刻三四半。
ロノイ医務官到着。
二十三の刻の五。
陛下が将軍を伴い、砂金の間までいらっしゃった。御前で王族法第十条二十三項に基づく処置を実行。
二十三の刻四半。
ロノイ医務官がディライズ・マーク・アロイジア、ヴァレンヌ・アロイジア両名の死亡を確認した。死亡診断書並びに立会人は別紙参照。
同法第十条二十四項に基づき、元国王は王族専用墓地へ、元側妃は王都外れの無縁墓地へ葬られた。
なお、元側妃の遺髪と遺品は、時期を見て生家の遺族へ届けられる予定。
陛下は「最期の最後まで面倒をかけてくれる」と仰った後、お部屋に戻られた。
備考
この日の翌日、鹿月第十五日は、フリード三世陛下の即位式であった。
コードネーム「アトキンス副将」へ修正要求
陛下のお言葉と備考を削除して、再提出するように。
コードネーム「テレント副将」へ伝達
裏面の落書きについて、可及的速やかに将軍執務室へ出頭するように。
将軍 クレイドル・ヴァン・シュゼイン
◆ ◆ ◆ ◆
「ヤッベエ、バレてる」
「だから、やめておけと言っただろう……」
「誰が描いたかまでバレる?普通」
☆この後、めちゃくちゃ叱られたーーー!
「どうも。何故か呼ばれたネイバー・アカツキです。活動報告を見た方はご機嫌よう、見ていない方は初めまして。
タルヴァ公爵の処遇について『またやらかすと思う』というご意見がありましたので、宰相室に問い合わせてきました。宰相閣下からの回答を読み上げます。
『そのために、残しています』
……だそうです。やらかすのを手ぐすね引いて待ち構えているようですよ、怖いですね。というわけで、今後をお楽しみ(?)に。
ちなみに、『王族法第十条二十三項に基づく処置を実行』とは、普通に『ぶっ殺した』という意味です。王族法第十条は、王族の犯罪者についての規定ですので。
それでは、ご機嫌よう」
お読みいただき、ありがとうございました。




