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序 : 奇妙

 奇妙丸。

 それが自分の名前である。

 奇妙とは“風変わりな”または“不思議な”という意味合いだが、我が子に付けるような言葉ではないのは確かだ。古今東西探しても、“奇妙”と名付けられたのは自分の他に居ないだろう。

 どうして、そのような名を付けられたのか。

『顔が奇妙だ』

 出生した自分の顔を初めて見た父の第一印象がそれだったので、そのまま“奇妙丸”と決まったらしい。名付け親である父の方がよっぽど風変わりだと思う。

 しかし、その一方でその独特な名付けも周囲の人々からは「あのお方なら仕方ない」と受け入れる向きがあった。

 父は、織田“上総介”信長。若かりし頃は奇抜な風貌や奇行から“尾張の大うつけ”と呼ばれ、現在は飛ぶ鳥を落とす勢いにある織田“弾正忠(だんじょうちゅう)”家の当主である。

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