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第2部 第19話 親友の帰還




「クリスタ!ダメだ!」



 俺が近寄ろうとする度にグロリエルだったバケモノは腕を伸ばし、時に毒のブレスを放って邪魔をする。


 そしてその攻撃を避けている間に事は起こってしまった。




 ……クリスタ。なんてことを。


 彼女は自分が人質となっていることに気づいて自害を選んだ。



 まただ。

 また俺は目の前の命を救えなかった。


 親友ばかりでなく、その親友が命を賭けて守ろうとした妹を助けることが出来なかった。





 ……俺はなんて弱いんだ。




 自分のふがいなさに心が折れそうになった時。



―――もう諦めんのか?



 不意にエンリケの声がした気がした。

 その声に我に返り、再度彗心眼でクリスタを視る。するとどうだろう。確かにクリスタはぐったりとして全く動いていないが、その霊子結晶アニマはまだ消えていなかった。


「まだ生きている!?」


 よく視れば、クリスタの霊子結晶アニマはあのグロリエルの赤黒いアニマに絡みつかれて赤黒く変色しつつある。

 今のグロリエルの強力な再生能力のおかげで絶命しなかったのかもしれない。不幸中の幸いと言えるだろう。




 しかし、このまま霊子結晶アニマが浸食され赤黒いアニマに取り込まれたら、もうクリスタは戻らないだろうことも分かった。



 どうにかしなければ。どうにかしてアニマの浸食を止めてクリスタを切り離さないといけない。


 どんどんと浸食されていくクリスタのアニマを凝視して焦りが生じたか、俺は肝心のグロリエルの動きが見えていなかった。




―――ュージ!リュージ!避けて!





 リンの叫びに我に返った時にはあの紫煙のブレスが目前にあった。



 ―――避けられない。



 紫煙は俺の目の前の視界を覆いつくさんばかりまで迫っていた。避けるのはもう間に合わない。

 あのブレスは触れたものを溶かす強酸成分を含んでいるようで、毒が効かない体質とは関係なしに骨まで溶かされるだろうと確信できた。





 もうだめだ。そう思った時。




 強烈な光がシルバのいた付近から発せられ、次の瞬間目の前に迫っていた紫煙が横合いから来た白い閃光にかき消されたのだ。





 ―――ピピピピピピピ!




 眼鏡が目の前の高ALT(ルミナスティ)の存在を知らせていた。





「どうした?リュージ。久しぶりだってのにシケたツラしてんな。」







 目の前には白銀に赤のメッシュが入った長髪を靡かせた男がいた。蛇が絡まりまるでウロボロスを模った様なデザインの白金に輝く軽装鎧を身に纏っている。だがその男は人ではない。

 白い毛に覆われた耳が頭部分から飛び出しており、そこから覗く体表は白い毛でおおわれていた。しかも腰からは白銀の立派な尾も生えていたのだ。




 その顔はエンリケと全く同じ。

 しかも俺の彗心眼には目の前の獣人のアニマが確かにエンリケと同じ色に映っていた。


 それでも目の前で起こったことが信じられず、つぶやいた。




「……エン、リケ……エンリケなのか?」





―――



“記憶転移”という現象がある。


 これは臓器提供、特に心臓移植を受けた人間が、元の心臓の持ち主の性格や記憶を受け継ぐという不思議な現象を言う。



 このような現象は実際に多く報告されており、特に有名なのがクレア・シルヴィア の事例だ。

 1988年、中年女性であったクレアは病気のため心臓移植を受けた。回復後、クレアは苦手だったピーマンが好物に変わり、性格も活発になった。夢の中で臓器提供者の名前がティムであることを知り、後にそれが事実であることを知る。



 漫画や小説でよくある設定だが、当時それを知った俺は正直オカルト的な話だと思っていた。実際に明確な科学的根拠が無かったからだ。




 だが、いつだったかこの話題になった時、霊子物理学の権威であるばあちゃんは俺にこういった。



『それはオカルト話ではなく本当にあり得ることじゃよ。』


 と。さらに続けてばあちゃんは訊いた。


『人間の“記憶”や“人格”は何処に保管されていると思う?』



 俺は迷わず答えた。そりゃ脳に決まっているだろと。


 だが、ばあちゃんは50点と言った。




 なぜか霊子結晶アニマは神経細胞が集まる部分に集中して生成され、それ故にその霊子結晶アニマはその神経伝達回路そのものを転写するように形成されるという。つまり、強い記憶や無意識レベルでの行動時に起こる神経伝達回路がそのまま霊子結晶アニマの構造になるというのだ。


 それはつまり、霊子結晶アニマに記憶が宿る可能性が極めて高いことを示している。





 それを聞いた時、ばあちゃんが言うのだからそうなのかもしれないと頭では理解していたが、実感は無かった。

 だが、この世界に来て、俺の知らない記憶がフラッシュバックすることが増えた今では実感を伴って納得している。




 そしてもう一つばあちゃんは言っていた。

 霊子結晶アニマは物質とは基本的に相互作用しないため、例え肉体が滅んだとしても一度生成されたアニマはその場にとどまり続けることになるというのだ。




 それが本当だとしたら、まさにそれは魂魄と呼べるものだ。

 そしてそのアニマがその人の記憶を持ったまま保存され、それが何かの拍子に誰かの霊子結晶アニマに宿ったとしたら?



 今、まさに俺が目の当たりにしているのはそういう事なのかもしれない。





―――



 俺の問いに目の前の獣人はニヤリと笑った。その仕草で確信する。



「エンリケ!……心配させやがって。」



 俺は思わずエンリケに駆け寄り、抱き着いた。


 エンリケは一瞬戸惑ったようにたたらを踏んだが、その後俺の背中をポンポンと優しくたたいた。どうやら俺が涙していたのは隠し切れなかったようだ。



「オイオイ……俺はそっちの趣味はないんだけどな。」


 そんな言葉で茶化してくるエンリケ。それで冷静さを取り戻した俺は、抱擁を解いて一番気になっていることを確認する。


「……エンリケ。 その姿は?」


「ああ。俺も良く分かってない。ただ、シルバに呼ばれた気がして目を覚ませば、リュージのピンチが見えてどうにかしようと本能的に動いたって感じかな。」



 ―――グォォオオォォ!



 その時、バケモノの苛立つ雄叫びが響いた。


「!?一先ずこのバケモノをどうにかしないとだな!」


「待ってくれ!エンリケ。あそこにクリスタが囚われているんだ!さっき自決しようとしたが幸いまだ生きている。早く奴から切り離さないといけない。」


 エンリケはクリスタを見て目を見開き、そして自分の両手に目を落して何かに納得したようにつぶやいた。


「クリスタにも呼ばれた気がしたが……そういう事か。」



 その時またグロリエルが腕を振り下ろしてきたが、それが俺達を襲う前に後方から放たれた魔法で腕が切断された。

 風魔法だ。



「リュージ! それに……あなたは……。」


 リンが駆け付け、エンリケを見て驚いている。イヤ、困惑していると言った表情だ。


「リンさん。また貴女に会えるとは思ってなかった……。」


「……やっぱりエンリケ、なのね? でも不思議。あなたからはシルバも感じる。」


 さすがだ。動物と意思疎通ができるリンだからこそ気づいたのだろう。


「俺も良く分からないんだけど、今はそれを説明している場合じゃなさそうだ。」


「ええ。そうね。エンリケの大事な妹さんを助けなきゃ。まだ間に合うわ。」


 そう言って二人はグロリエルの方を向き、一瞬で思考を切り替えた。やはり二人とも一流のハンターなのだ。




 リンがいた後方が気になって後ろをチラリと振り返ると、ボブがリンの代わりに砂塵の障壁を張っていた。そう言えば大分虫たちの攻撃が弱まっている。なるほど。リンは短時間だがボブでも持ちこたえられると判断したのだろう。


 そう納得して俺も前を向く。



 そしてクリスタの様子を見て俺達には時間がないことを実感する。



「エンリケ。クリスタはその再生能力のおかげか死なずに済んでいる。まだ間に合う。だけど、クリスタが生を諦めたせいか、浸食が進んでいる様に視える。あれ以上浸食が進むとマズイ。時間はあまりないぞ。」


「リュージ。それはあなたの眼でそう判断したのね?」


 リンは確認の意味でそう問いかける。それに首を縦に振って答える。

 リンは、俺の眼が魔力だけでなく他の何かも視えていることに気づいているようだ。


「時間は無い。奴の再生を阻止しつつクリスタを肉ごと抉り出すしかない。だけど、二人が来てくれたおかげで活路が見えた。」


「俺もあまり時間はなさそうだ。先ずは俺が奴を凍らせるから、そこを攻撃してくれ。行くぞ!」





 俺の作戦にすぐさまそう返答したエンリケは、目にも止まらぬスピードでグロリエルに肉薄した。愚鈍なグロリエルは全くその動きについてこられていない。



 そして恐ろしい程のスピードで掌底を放つ。その攻撃は煌めく氷結魔法を纏い、グロリエルの肉体の半径二メートル程の範囲を一瞬で凍結させた。さらにその衝撃は凍り付いた肉体を容易に砕く。



 ―――グアァオオオオ!



 効いている。


 その後もエンリケはグロリエルの攻撃を躱し、時にカウンターを行い次々に氷結魔法を纏った掌底、蹴りを叩き込んでいく。

 その度にグロリエルの腐肉は凍てつき、砕けていく。予想通り凍結した部分は再生しない。





 ―――氷獄凍晶コキュートス





 エンリケが掌底を繰り出す度にそう口ずさんでいるのが聞こえた。

 それがあの攻撃の魔法名なのだろう。








 グロリエルはエンリケの圧倒的なスピードに全く対応できず、完全に翻弄されている。

 何というスピード。何という破壊力。



 押されていた形成は一転、一方的な攻勢となった。





 俺たちは言われた通り凍結した部分を中心に波状攻撃を始める。

 俺は右手の仕込み刀による振動ブレード。リンは短刀の直接攻撃と風魔法で攻め立てる。



 それを見たギルマスやマックスはすぐさま俺たちの狙いに気づき攻撃に加わった。



 ―――ソードアーツ“ナイフジャグル”!

 ―――ソードアーツ“ラピッドスワロー”!



 俺達と離れた場所に居た彼らは突然現れたエンリケが何者かは理解できていないだろう。だが、エンリケが味方だと即座に判断して俺たちの狙いに合わせて攻撃に転じる辺り、さすがだ。


 今や焔狼の皆の殆どは毒に侵され、行動できるのはソードアーツで毒の巡りを遅らせることができたギルマスとマックスだけだ。



 だが、それでも二人の攻撃は確実にグロリエルに届いている。




「エンリケ!出来るだけクリスタの周辺を狙ってくれ!」


 俺の指示にエンリケは頷き、更にスピードを増した。

 グロリエルの巨体はそれに全く追従できず、体中を凍結させていく。だが、さすがにエンリケと言えども全身を凍らせるに大きすぎるようだ。


「リン!俺が合図するまで俺を援護してくれ!合図したら、でかいのを頼む!風魔法で切り離すんだ!」



 リンは俺の指示に一瞬困惑した様な表情を見せたが、俺がグロリエルに突進していくのを見て俺が何かをするというのは理解してくれたようだ。






 今のクリスタはグロリエルと霊子結晶アニマレベルで融合しかけている。だから肉体だけ切り離してもクリスタは戻ってこない。

 切り離す前に霊子結晶アニマを元に戻す必要があるのだ。




 これは俺にしかできないこと。




 極心融魂メルトインテグレーション


 ソワレが暴走したときに行った無幻水心流の祖である無元極心流の秘奥義。あの時暴走するソワレの魔力を俺の霊子結晶アニマを通してソワレ本来の霊子結晶アニマに戻すことでソワレの暴走を鎮静化した。


 言うならば俺のアニマを触媒にソワレの変容したアニマを還元したようなものだ。




 であれば、原理上、クリスタの霊子結晶アニマを侵食している魔人化したグロリエルの霊子結晶アニマを還元、浄化してクリスタのアニマに戻すことはできるはずだ。



 もちろん試したことは無い。

 そもそも、霊子結晶アニマが浸食されるなど普通は起こりえないのだ。


 ぶっつけ本番だが、思えばいつもの事だと思わず笑う。





 俺は出来る限り素早くグロリエルに肉薄。エンリケの攻撃の対処に掛かり切りのグロリエルの攻撃は殆ど来ない。


 俺がクリスタに取り付くと、さすがに警戒したグロリエルの腕が数本伸びて攻撃しようとしてくる。が、それらはエンリケとリンによって直ぐに対処された。




 その間に俺は腐肉の山を駆けあがりクリスタの腕をつかむ。

 エンリケのおかげで肉を覆っていたヘドロの様な毒液も凍り付いており、無害化されていた。


 右腕の仕込み刀を腐肉に突き刺し体を固定。同時に彗心眼を全開発動し、魂魄同調アニマレゾナンスでクリスタのアニマに同調。それと同時、本来自分にしか効かない局所回復パーシャルキュアでクリスタの首を治癒する。



 治療もそこそこに、クリスタの額に自分の額を当てて瞑想に入る。



 魂魄同調アニマレゾナンスでクリスタの霊子結晶アニマに深く同調していく。





 深い深い海の中、クリスタの緑色のアニマに沈んで行く。


 次第にクリスタの悲しみと、そして強い意志を感じる。


 さらにその奥に、赤黒く燃える様なアニマがまるで拘束する鎖の様にクリスタの緑色のアニマに絡みつき締め上げているのが見えてくる。



 俺はその鎖に手をかける。


 熱い。


 伝わってくるのは怒り。失望。妬み。苛立ち。そして後悔。……様々な負の感情。



 俺はその鎖を先端から強引に引き剥がしていく。

 そして灼熱の鎖に浸食され赤黒く変色し始めているクリスタのアニマから湧き出した赤黒い魔力を同調した自分の霊子結晶アニマに流しこみ冷やしていく。


 俺のアニマに触れたクリスタの赤黒い魔力は緑色に戻っていく。それをクリスタのアニマに戻してやることで、浸食されたアニマを元に戻していくのだ。


 ソワレの時に行った手順と同じ。



 よし!いける!



 クリスタのアニマの浸食がこれ以上進んでしまっていたら、俺の浄化作用よりも浸食スピードが上回り、もう元に戻せなくなっていた。

 タイミング的にはギリギリだったのだ。




 極心融魂メルトインテグレーションの間も、グロリエルは激しく抵抗し暴れる。俺は完全に無防備だ。


 俺はその間、リンとエンリケ、ギルマスにマックスを信じるしかない。






 そして、その時が来る。



「リン!今だ!」



 そう叫ぶと同時、リンが大きく飛びずさり詠唱を開始。


『森羅万象を司る主の住まうヴァルハラの 七門、開きその輝きを灯せ 天に輝く神の国 四方の一柱 風神アウストリ』


 リンが短刀を両手で持ち、大きく上にかざす。膨大な魔力が彼女の両手を伝い、短刀に集中していくのが視えた。


『手にした神剣グラム ひとたび振るえば大地を切り裂き天を穿つ 我に宿りし七門の光りを供物にその力の一端を示せ! ―煌剣穿刃マッハ・デ・ブラスト!』



 トリガーワードと同時にリンは輝く短刀を振り下ろした。




 ―――ドゴオォォォ!





 振り下ろされた刃から巨大な真空波が発生し大地を切り裂きグロリエルの巨体を直撃。

 クリスタと俺がいる位置の横、数メートルの位置、丁度クリスタを抉り出すような角度で放たれた真空波はクリスタが埋まっていた肉を切り裂き、轟音と共に爆発。

 俺は発生した暴風に吹き飛ばされた。



 ―――アアアァァァア



 グロリエルの苦悶のうめき声が響く。

 暫くして舞い上がった砂塵が晴れると、そこには胸の部分が削り落とされ苦悶に呻くグロリエルの巨体のみ。その中心部にはクリスタはいない。



 クリスタは!?

 そう思った直後、横から声がした。


「さすがリンさん。あれは、単体超級魔法か?」


 そこには両手でクリスタを抱えたエンリケがいた。


「エンリケ!?クリスタは?」


「安心してくれ。爆発したところで救い出せた。まぁ、ちょっとギリギリだったけどな。」


 そう言ってエンリケは肩を竦めて、リンの方を見た。


 そう言われたリンが振り向いた。胸を抑えて肩で息をしているが、魔力枯渇まではしていなそうだ。


「ごめんなさい。グロリエルの体が半分凍結していたせいか、想像よりも脆かったみたい。」


 そう言いながらリンは苦笑いで答えた。

 でも、これで俺たちの障害はなくなった。


 先ほどの爆風で吹き飛んだか、気づけば暴食の悪魔(カオスローカスト)の数も数える程しかいなくなっていた。


 これならいける。




「リュージ!リン!一気に決着をつけるぞ!」


「俺たちは右側から攻める!お前たちは左側を頼む!」



 少し離れて攻撃をしていたマックスとギルマスから指示が飛ぶ。彼らも同じ結論に至ったようだ。ここで決着を付けよう。





 ギルマスに返事を返そうとした直後だった。


 俺の彗心眼がグロリエルの異変を捉える。

 そしてグロリエルの異変の行き着く先に思い至り、血の気が引いていく。




 ……マズい。マズいぞ。


 クソ! 一番恐れていたことが!





「みんな!奴に近付くな!」


 俺の呼びかけは少し遅かったようだ。


「ぐあぁ!」

「なんだ!?」



 先駆けに走り出したマックスとギルマスが吹き飛ばされた。


「ギルマス!マックス!」



 俺は吹き飛ばされた二人に駆け寄り、すぐさま治療する。

 重度の火傷だ。


 俺が無詠唱で治癒魔法を発動すると、マックスは驚いた顔をしていたが今は気にしていられない。



「リュージ!あれは何?何が起こっているの?」



 俺に駆け寄ってきたリンがグロリエルの姿を指して俺に問う。




 疑問に思うのも頷ける。


 さっきまでリンの攻撃を受けて苦しんでいたグロリエルが、今は膨大な魔力を噴き出しながら膨れ上がり、体中から灼熱の炎を噴き出しているのだから。

 しかもその勢いはどんどんと増している。



 明らかにこれまでの様子とは違う。

 何より当のグロリエルがもだえ苦しむ様にうめき声を上げているのだ。異常事態であることはすぐに分かる。




「……あまり説明している時間は無い。とにかくあれを何とかしないと俺たちは全滅だ。」


「……」


「おい…リュージ。そりゃどういう事だ?」


 リンの後ろからクリスタを抱いたエンリケが顔を出して問いかける。


「グロリエルは魂魄超爆発アニマプロミネンスを起こしかけている。」


「アニマプロ…なんだって?」


「とにかく、グロリエルはすぐにでも大爆発を起こす可能性が高い。」


 俺の発言に皆が目を見開く。


「ならすぐに逃げるべきだろう。人質も解放したのだからな。」


 ギルマスの正論に俺は首を振る。


「いや、爆発の規模からすると逃げられる距離じゃない。恐らく、この爆発はプギの街まで届くレベル」


「……は?」


 マックスは俺の反論に口を開ける。ギルマスでさえ開いた口がふさがらないようだ。


「おいリュージ!?それは本気で言っているのか?ここから町までどの位あると思ってる。」


「ギルマス。これは本当だ。それも過小評価してそのレベルだ。」


「リュージ。もしそれが本当なら、今すぐグロリエルを仕留めるべきよ。」



 リンがグロリエルを睨む様に見てそう言った。


「いや。ダメだ。今の状態は非常に不安定だ。少しの刺激で一気に爆発する危険がある。」


「ならどうしろってんだ? リュージ。ここまで説明したってことは何か策があるんだろ?」



 エンリケは期待と信頼の眼を俺に向けてきた。その発言に全員の目が俺に向けらえた。

 正直、そんなに期待される程自信は無いのだが。



「……一つだけ奴の爆発を抑えられるかも知れない技がある。ただ、それには奴に接近する必要があるんだ。」


 俺はこの場の全員を見渡して告げる。


「手伝って欲しい。」




 その場にいる全員が無言で首を縦に振った。



 なんて頼もしい仲間たちだろうか。俺は心強い仲間たちを見渡して相槌を打った後、グロリエルに改めて対峙したのだった。



申し訳ないです。

リアルが忙しく、遅くなりました。


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