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第2部 第11話 グロリエル



◆ ◇ ◆ ◇ ◆




 同時刻、古びた教会から続く地下室の一角。

 暗がりにユラユラとロウソクの明かりが揺れている。



 そこは地下とは思えない程の大きな空間で貴族屋敷のパーティー会場の様な広さがあった。そしてその壁際には鉄格子の小窓がいくつもはめられ、その中からすすり泣く声やうめき声など聞こえてくる。



 この薄暗い地下室にあっておよそ似つかわしくない程大仰で豪華な椅子とテーブルが中央に鎮座していた。


 その椅子に一人横柄(おうへい)な態度でドカリと座る男。その身は黒い甲冑を纏い、顔半分を覆う無機質な仮面がその異質さを際立たせていた。






「クソが、何が獣王の円環だ。」



 俺は手にした忌々しい円環を睨みつける。

 この何の役にも立たないアーティファクトは伝説級の“獣王の円環”に似た形状をしているがただの三等級のアーティファクト“魔獣の円環”だ。



 俺の人生の半分を捨ててまで手に入れたのがこの三等級のゴミ。しかも登録者のロックはかかったままだ。このみじめな顛末に我ながら失笑を禁じ得ない。






 今すぐにでも粉々に砕いてやりたいところだが、そうもいかない事情がある。






 あの蛇の森で死にかけた俺は、俺のもう一つの顔が所属する“秩序の管理者(エクリプス)”のアジトに命からがら駆け込み、そこで神の試練を受けた。いや、受けざるを得なかった。


 神の試練とは“完全なる信仰”を条件に施される神の施術だ。この試練を乗り越えたものは神に一歩近づくことができ、不死身の肉体と永遠の命が手に入るとされる。


 ただし、この神の試練は人生に一度きりであり、しかもランクが存在する。受けられる試練のランクはそれまでのエクリプスへの貢献度で決まる。

 低ランクの試練であるほど、試練を受けた時の生存率は低く、たとえ試練を乗り越えた場合でもそのほとんどが不完全なものとなるのだ。




 だからこそ俺は死に物狂いで、人生のすべてを賭けてエクリプスに貢献することだけを考えて生きてきた。エクリプスに貢献し階級を上げれば上げる程に高位の神の試練を受けることができる。それだけ神の存在に近づけるということだ。




 だが、忌々しいことに蛇の森で死にかけた俺は道半ばで低ランクの試練を受けざるを得なかった。



 幸いというべきか、試練を乗り越えることはできた。そのおかげで失った肺と腕を取り戻し、強力な肉体を手にすることはできた。

 だが、俺の目指した神の存在には程遠い。




 試練の反動で顔の半分は醜く崩れ、再生した腕も歪で黒ずんだ、なんともおぞましい姿になった。





 これじゃない。

 俺の目指していたものはこれじゃない。






 一度だけご尊顔を拝したあの方。唯一絶対神であらせられるドーゲンベルク様。あの時の絶対的な覇気。強烈な威風と神々しいお姿、己の本能が絶対的に服従させられるあの存在感。




 あの姿が忘れられず、“秩序の管理者(エクリプス)”の門をたたいたのに。


 “秩序の管理者(エクリプス)”とは教会と対をなす非公式団体。神のお告げを直接賜わることができ、神のご意思を代行し崇高なる世界の秩序を実現する選ばれた集団。そしてエクリプスの試練を受けることで我が神に近づける唯一無二の道だった。


 そして俺は、ドーゲンベルグ様の傍にお仕えする選ばれた存在のはずだ。あの時、我が神は通り過ぎの街で俺に目を合わせ、声をかけてくださった。

 俺は誰よりも寵愛を受け、神から選ばれた存在なんだ。





 にもかかわらず、今の己の姿のなんと醜いことか。

 絶望、失望、後悔、様々な感情はとうに通り過ぎ、一周回って笑いがこみあげてくる。







 試練を乗り越え幹部としては最下位となる司祭としてこのアジトの運営と、血の選別と呼ばれる人攫いの仕事を任されたのみ。



 崇高なる俺様が、なぜこんな雑用じみたことをしなければならん。俺はあのお方のお傍に仕える存在だ。司祭など最底辺の階位など認められようか。



 以前から強奪を計画していた伝説級アーティファクト“獣王の円環”さえ献上できれば組織も俺を認めざるを得ないはずだ。そう考え、エンリケに登録者の権限を破棄させるためにわざわざ人質まで取ったというのに、あのエンリケの野郎が服従したと見せて反撃しやがったせいで思わず登録者のロックを解除する前に崖に放り投げてしまった。




 それでも伝説級の円環を組織に献上すれば大きな功績になるはずだったのだ。しかし、実際献上した後にこれがただのゴミだと判明。さらにこの失態の当てつけのつもりか、組織は俺が試練を乗り越えた褒章としてこのゴミを授けた。そしてアーティファクトのロックを外すことを下命されたのだ。


 ロックを外すには三等級であっても数年から数十年この役に立たないゴミを常に身に着けておく必要がある。






「っクソが!忌々しい。」




 思わず罵声が口をついて出る。


 途中まではうまくいっていたんだ。裏の顔を持ちながら、ハンターとしてBランクまで上り詰めた。あと一歩であの町のギルドを掌握できるところまで来ていたのだ。



 今思えば、ケチが付き始めたのはあの妙な小僧がクロスメントに現れた時からだった。



 もう少しで精神的に追い詰められたエンリケから使用者登録のロックを解除した状態で難なく譲渡されるはずだったこの円環。

 その時点でゴミだとわかったとしても、たいした痛手にはならなかったはずだ。Aランクになり、あの町のギルドを支配してしまえばいくらでも組織に貢献する手段はあった。



 だが、あの寄生者パラサイト灰種アッシュの野郎がエンリケとつるみ始めたことで、歯車が狂い始めたのだ。

 あいつらを取るに足らない存在だと見過ごしてやったというのに、調子に乗りやがって。



 それでもナイトメアサーペントをけしかけるところまでは上手く行ってたんだ。

 だが、あの司教が想定外だった。あいつが居なければとっくにあのバカ犬を始末できた。


 小僧と灰種アッシュの野郎が何をするにも俺の邪魔をしやがった。




 ……そうだ。あいつらがすべて悪い。俺がこうなったのみすべてあのガキと灰種アッシュの野郎のせいだ。




 そうだ。ぶっ殺してやる。地の果てまで追いかけ、追い詰め、地獄の苦しみを味わわせて八つ裂きにしてやる。






「司祭様!」




 俺が奴らを追い詰める算段を思案しているところに使えない部下が二人ほど駆け込んで俺の前でかしずいた。




「チッ。 なんだ。俺は今忙しい、手短に話せ。下らないことならぶっ殺すぞ。」




 つい先ほども不快な報告をしてきやがった。

 とらえた人質のガキを逃がしたとか言っていたか。たかだか十にも満たないガキに逃げられるなどありえないことだ。




「いや待て、その前に、ガキを取り逃がした件はどうなった? まさかまだ捕まらないという話じゃないよな?」




 俺が少し凄みを聞かせると目の前のやつらが縮み上がった。そうだ、この反応だ。俺の役に立たない下民どもは等しく俺を恐れ敬え。




「も、申し訳ありません!目下捜索中ですが……」


「ああ゛?これだけの時間を与えてやってまだ捕まってませんだと? お前、自分の言っていることが分かっているのか?」



「はっ……も、もうし、申し訳ありませ……ん。何分排気口を抜けていたので、発見が遅れ、もうじき捕らえて帰っ―――」




「言い訳はいいんだよ。お前は首だ。」



 それだけ言って、俺は椅子から一歩も動かずに無能な部下の首を跳ね飛ばし、胴体から泣き別れて俺の足元に転がってきた部下の首を睨みつける。





 相変わらず俺は付いてない。こんな無能な部下を持たなければならないのだから。


 そして、隣で縮こまり震えているもう一人の部下に尋ねた。




「おいお前、そいつが言おうとしていたことを報告しろ。」



「はっ! はいぃいい! そ、その、恐れながら申し上げます。 先ほどから、このアジトに襲撃をかけているものがおります。」



「あ?」



 襲撃者?



「先ほど見張りが気づき、排除を試みましたが逆に打ち取られ、対処しておりますがかなりの手練れのようですでにアジトの前まで侵入を許してしまい……」




 クソが。何をやっている。一瞬こいつも殺してやろうかと思ったが、少し妙だ。

 ここが感づかれたというのか?この物言いだと計画的な襲撃か?




「無能どもが。何十人だ?ハンターの討伐隊か?まさか国軍というわけではないだろう?」



「はっ……それが、ふ、二人です。」




「あ?二人?」




 このアジトは見張りと防衛にそれなりに腕の立つ奴と人数をそろえている。

 血の選別の対象は貴族子女にもおよぶためだ。その防衛網を突破しようとしたら、それこそBランクハンター以上の集団か、一般兵なら国軍レベルの数をそろえなければならない。

 そのレベルの武装集団の動きならエクリプスの情報網に事前に引っかからないわけがない。だがそんな報告は受けていない。



 それに襲撃者はたった二人だと?

 Bランク以上はこの周辺では炎狼位だが、二人となると違うはずだ。





「襲撃者の特徴は?」



「は、はい。一人は信じられないことに燕のような魔獣に騎乗し、上空から高度な風の魔法と弓を使う女。もう一人はムーンウルフの様な狼に騎乗した黒髪の子供。女ほどではありませんが、こちらの攻撃をすべて弾き返し、終いには魔法までも弾き返す妙な技を使うやつです。」



 !?


 間違いない。あのガキと灰種アッシュだ。

 何の因果か、どうやってこいつらを殺そうかと考えていた矢先、向こうからやってくるとは好都合。




「クフフフハハハッ! いいぞ。いいぞっ! 俺が出るまで足止めしておけ!」



 そういって伝令を追い返す。







 フフフッ。

 どこでこのアジトを知ったか知らんが、飛んで火にいる夏の虫とはまさにことのこと。




 俺の今の力であれば一ひねりだ。





「ブッ殺してやる!」








 グロリエルは顔に狂気的な笑みを浮かべ意気揚々と地下室を出ていくのだった。




◆ ◇ ◆ ◇ ◆






 次々と放たれるボウガンの矢を掻い潜り、時には放たれる炎や水、風の刃などの魔法を魔操で軌道を変え、時には敵に跳ね返していく。

 その度に意表をつかれた敵の集団が混乱していくのが分かる。




 まさか魔法を跳ね返すとは思ってもみない事なのだろう。それほど魔法を跳ね返すと言うのはこの世界では常識はずれの様だ。





 そんな混乱に慌てふためく敵の集団にシルバが横合いから突撃してさらに混乱に拍車をかける。



 俺と上空のリンにばかり気を取られていたせいか突然襲って来た狼に対処できず、もはや混乱の極地にあった。



 そこにダメ押しとばかりに上空から詠唱が響く。



『―――荒ぶる旋風の刃となりて その邪悪を切り裂き穿て。 ―トルネード』



 示し合わせたかのようにその詠唱が完成する前にシルバが敵の集団を抜け、それどころか敵を魔法の有効範囲に収まる様に誘導までしてのけた。まるで牧羊犬の様。





 アジトを守っていた敵の集団はゆうに二十人はいる。

 そのことごとくがリンの上空からの魔法になす術なく巻き込まれて、激しい竜巻に巻き上げられて行く。




 リンが放った上級魔法である『トルネード』は暴風により敵の足を縫い付け、その内部で発生した無数の風の刃で敵を切り刻む魔法だったはずだ。


 だが今リンが発動したトルネードは人を難なく上空に巻き上げるほどの暴風こそ強力ではあるが、風の刃の発生はほとんど見られない。

 意図的に殺傷能力を抑えたのだろう。



 とは言え、いくら異世界人でも十メートル以上も揉みくちゃに上空へ吹き飛ばされればタダでは済まない。

 地面へと容赦なく叩きつけられた者たちは皆気絶するかうめき声を上げて一様に動かなくなった。







 俺は構えを解き、半ば呆れながらその光景を眺める。当然、敵の攻勢は殆ど無くなっていた。


 それを確認したのかリンがシロピーから飛び降りて来た。



「相変わらず上空からの一方的な魔法攻撃はえげつないな。敵の攻撃は一切届かず、一方的に攻撃できるとか、途中から敵が可哀想に思えて来た。」


「一切攻撃が届かないって訳じゃ無いわよ。シロピーが上手く躱してくれるから魔法に集中できるの。今回はリュージとシルバの援護のおかげもあるし。

 それに私なんかより、リュージの魔法を跳ね返す技の方が相当におかしいと思うけど?」



 あの自身の無慈悲な絨毯爆撃を差し置いて俺の方がおかしいとのたまうリン。どうやらお互いの常識に齟齬がある様だが、まあそれは後で正すとしよう。今は敵地のど真ん中だ。







 結果オーライではあるものの元々俺たちはあの少女の匂いを追ってアジトと思われるこの教会まで来ただけで、それ以上は踏み込むつもりではなかった。



 当然アジトを発見した時点で引き返そうと思ったのだが、シルバが何かの匂いに気付いたのか仕切りに鼻をヒクヒクとさせたかと思えば飛び出してしまい、今に至るという訳だ。



 それを思い出し、しゃがみ込んでシルバに問いかける。


「シルバどうしたんだ?お前も見張りは分かっていただろ?なんで急に飛び出したりしたんだ。」


 そういうとシルバは自分の首に巻いた赤いバンダナを軽く口に咥えて教会の方を見た。


「・・・・・・バンダナ。・・・・・・もしかしてエンリケの匂いがしたのか?」



 俺の問いかけにシルバは短くウワゥ!と答えた。


 エンリケはもういない。にも関わらず匂いがしたと言うことは、あの教会に何かエンリケが身に付けていたものがあるのか、もしくはエンリケに親しい人がいるかどちらかだろう。



「リン。やっぱりここで正解だったみたいだ。」


 そう言って立ち上がり教会に向けて一歩踏み出そうとした折。


「リュージ。どうらやら出迎えみたいよ。」



 そう言いながらリンが朽ちた教会の両扉を睨む様に見据えて身構えた。

 直後俺もその異様な雰囲気を感じた。いつものピリピリとした感覚に加え、へばりつく様な嫌な寒気がした。



 ソワレが暴走した時の様な、いやそれとは異なる何というか粘着質で気持ち悪い感覚。





 しばらくして両扉がゆっくりと開かれ、黒い甲冑の男が歩み出て来た。



 その顔の半分は仮面舞踏会で身につける様な白い無機質な仮面で覆い隠されている。

 銀の縁取りが施された黒い西洋甲冑に全身を包み、その体躯は二メートルを優に超えるほど。特に右腕はその体に不釣り合いなほど肥大化し左腕の倍ほどの太さと長さがあった。そのアンバランスな容姿は異様でイヤに嫌悪感を誘う。



 外見からは一見して誰なのか分からない。だが、俺の彗心眼は誤魔化されない。あの薄紫に鈍く輝く色は忘れようも無い。俺の親友を殺した張本人。


 姿は大分異なって見えるが、間違い無い。グロリエルだ。





 ヤツは周囲を見回しながらも悠々と歩みを進め大仰に両腕を広げて見せた。



寄生者パラサイトのガキと灰種アッシュが、のこのこと。」



 グロリエルはこの惨状を理解した上で、それでも余裕綽々《よゆうしゃくしゃく》とまるで見下す様に言った。


 そして俺の隣で唸り声を挙げているシルバにゆっくりと目線を移した。


「仕留め損なったと思ったが、こうして獲物をわざわざ連れて来てくるとは犬っころにしてはいい働きをした。褒めてやろう。」




 その人を見下す態度に怒りが込み上げてくる。すでに証拠がある現状確認は不要だが、それでも確かめずにはいられなかった。



「グロリエル!お前が、お前がエンリケを手にかけたのか!?」



 俺の問いかけにグロリエルは口をニヤリと歪めた。



「その駄犬の鼻を使ってここまで来たのだろう?なら、もう分かっているはずだが?」



「いいから答えろ!」



「まぁ、そう熱くなるなよ。高々Dランクの小僧が一匹いなくなっただけだろ?」



「お前!」



「・・・・・喚くな!寄生者パラサイトが。ああそうだ。俺がエンリケを殺った。そうだな、ついでに良いことを教えてやるよ。あのエンリケのクソガキは愚かにも一人でノコノコと現れ、妹のことを少しばかり囁いただけで無様に命乞いして来やがったぞ。そう、まるで今のお前の様に直前まで親の仇を見る様な目をしてたくせに、脅した直後に無様に泣き散らかしたあの豹変ぶりは傑作だった。思い出すだけで笑えてくる。クククッ、アハハハハ!」



 エンリケは自分の力で妹を取り返しに行ったんだ。罠だと知ってもなお一人で行った。誰にも告げずに。そんな事、並大抵の覚悟じゃ出来はしない。そんな男をコイツは嘲笑った。侮辱した。


 許せない。コイツだけは許せない。許せるものか。




 怒りで視界が赤く染まり今にも思考が飛びそうになるが、必死でそれを押しとどめ、ポーチからあのナイフを取り出す。


「エンリケが泣きわめいて命乞いした?嘘だね。お前、エンリケが命乞いをしたと勘違いしてこのナイフで反撃を受けた。そうだろう?このナイフに着いたお前の血が何よりの証拠だ。そんなウソまでツイて蔑んだエンリケに、本当は無様に反撃されて殺されかけたんだ。虚勢を張るお前の肝の小ささが露呈しただけだ!」



 俺がナイフをかざして見せて挑発すると、グロリエルの愉悦に歪んでいた顔は真顔になる。



「……あのガキ。生意気にも反撃しやがったから、奈落に突き落としてやった。あぁ、忌々しい!全部あのガキとお前らのせいだ。お前らのせいで俺の計画が崩れた。完璧な俺の計画が!下賤なお前らクズどもが!俺の!崇高な俺の、邪魔をしやがった!

 ブンブンと俺の周りで目ざわりなんだよ羽虫が。あのガキと同じ様に俺があの世に送ってやる。」




 グロリエルはそう激昂して、わずかに生き残っている他の連中に下がる様に手で合図し、自ら朽ちた教会の階段を下りてくる。


 余程自信があるのか、一人で俺達とやり合うつもりらしい。だが俺達にとっても好都合だ。





 グロリエルの前進を確認して俺が一歩踏み出そうとしたとき、シルバが俺の進路を遮る様に前に出る。



 振り返り、静かに俺を見るシルバ。




 “一対一でやりたい”


 その眼はそう言っている様だった。




 そうだよな。他の誰よりもシルバにその権利があるはずだ。

 それを見て構えを解く。リンも同様に構えを解いた。




 それを確認して、シルバは一人グロリエルに対峙する。





 たとえ自分が敵わない敵だろうとも、自分が少しでもエンリケの無念を晴らしたい。主人の敵に一矢報いたい。


 グロリエルに対峙するシルバの後ろ姿に俺の心は熱く震えていた。


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