1話:バイトでの出来事
どうも!彼氏に浮気された女、東條麗華です。
今私はプールの監視員をしています。
何故かって?
夏休みの予定がほぼほぼ消えたから暇になったのさ!
せっかくだからバイトをして臨時収入でもと思って始めたこのバイト、監視員というだけあってプール脇にある高い椅子に座り監視しているだけ、決められた時間になったら外に出て一旦休憩を取ってもらうように指示するだけである。
半袖半ズボンで首にタオルを巻き頭に帽子を被って監視している。一応日傘としてパラソルがあるので心配はしていないが白い肌を焼くのはあまりしたくないから日焼け止めも塗っている。
「はぁ~あっつ!」
今日でバイトを始めて3日目だ。
最初は覚えることも沢山あって大変だったけど3日もやれば慣れてくる。
今日も私はボケーッとしながら高みの見物をしていた。
「あれは・・・・・・!?」
そんな私がそれを見つけることが出来たのは偶然だったろう。
プールの中心付近で泳いでいた女の人が急に動きを止めてバタバタとしている。
このプールは中央に近づくにつれどんどん深くなっていく。今女の人がいる場所なら2メートルはあるだろう。
周りは誰も気づいていない。上から見ていたからこそ気づけたのだ。
私は帽子とタオルを脱ぎ捨てプールに飛び込んだ。
準備運動もなしにいきなり泳ぐなんて危険過ぎる行為だ。そんなことしてる余裕はなかったし仕方ない。足もつったりしなかったのでそのままクロールで女性の元まで向かう。
中央に来ても女性の姿はない。潜ってみれば、そこには苦しそうな顔して沈んでいく女性が見えた。
急いで潜り彼女の手を取る。
溺れている人間を助ける際注意しないといけないのはパニック状態でそのまま一緒に溺れてしまうこと。
案の定女性は暴れた。反対の手で彼女の顔を抑えて私は女性の唇に自分の唇を当て空気を送る。
いきなりのことに驚いたのか女性は動きが止まりその間に私は彼女を引っ張りあげて水面に顔を出す。
お互い息を吸ったり吐いたりと呼吸を落ち着けていく。
「大丈夫ですか?」
「あ、はい、ありがとう、ございます」
女性は私の顔を見て頬を染めながらお礼を言ってきた。
さっきのことで意識してしまっているのかもしれない。
とりあえずここにいても仕方ないと女性を連れてプールサイドまで戻る。
プールサイドには係員が数人いた。
「東條さん大丈夫かい!?それに君も!?」
「大丈夫ですよ、落ち着いてください、彼女をお願いします」
「わかった・・・こっちに来て少し休も」
係員に連れられて女性は去っていった。
私はそのまま監視台に戻り監視を続ける。
服がびちゃびちゃで気持ち悪いけど我慢してその日のバイトは終わった。