魔法学校の門は重い
次の日、早速私は魔法学校がある都市へとやってきた。
「それで? 来たのは良いけれどどうやって魔法学校に入れば良いのかしら?」
「お嬢様は何も心配要りません。全てじいにお任せ下さいませ」
じいやはニコリと微笑む。良く分からないけれどじいやを見ていると本当に何とかしそうな気がしてきた。本当に何者なのだろうか彼は……。
魔法学校の前に来たと思ったら、外観は普通の民家の様な見た目。茶色の屋根、窓ガラスには楽しく団欒を取る家族の姿が見えていた。
「じいや魔法学校は?」
「目の前にございます。普段は魔法で見た目を変えております故……」
じいやが民家のドアノブを回し扉を開けると、その先は学校の正面へと繋がっており、私の目の前には大きな正門が見えた。
「す、凄い……!」
「お嬢様 少しばかり失礼を」
―――パチンッ!
じいやが指を鳴らすと、白い煙と共にお互いの姿が入れ替わった!
「!?」
「お嬢様と私の姿を入れ替えました。これで私が受験を致します」
突然の事に驚いたが、校庭を歩き正面から校舎へと進む。当然笑顔の職員が出てくるわけで……。
「学校へようこそ。本日は如何されましたかな?」
「こちらへ入学をお願いしたい」
「左様でございますか、それでは入学試験を行いますのでこちらへ……あ、お付きの方はそちらの応接室でお待ちくださいませ」
私になりすましたじいやが何処かへと連れて行かれる。私はそこそこのお茶とそこそこのお茶菓子を出され、独り応接室とやらでのんびりしていた。
10分程なくしてじいやが戻ってきた。試験というのはそんなに早く終わるものなのだろうか?
「それでは明日から一緒に学びましょう。本日はお疲れ様でした」
ドアの隙間から見えた人物の頭は半分焦げており、髪の毛が焼ける臭いが私の鼻についた。私達はそそくさと学校を後にした。民家の玄関を抜けると、そこは来たときと同じ街並みがあった。
「で? 何があったのじいや」
「中級魔法を実演致しました。久し振りに使ったので手元が狂って試験管の頭が焦げましたが……。ですが明日より通えることになりましたので心配は要りません」
「いやいやいや、私魔法何か何も使えないわよ、大丈夫かしら!?」
「大丈夫でございます。じいやにお任せ下さい」
白い歯で微笑むじいやはどこかこの状況を楽しんでいるようであった…………。