君と殺し合う運動会……ですわ! ④
リース校長は私の過去作【攻撃力最強の俺。防御力最強のお嬢様。】より拝借。
「先手必勝!殺害アタックよじいや!!」
「参ります……」
じいやは丁寧に指を鳴らすと、私の掌から無数の氷の刃がリース校長に向かって放たれた。
「あまーい……」
サッとリース校長が両手を突き出すと、氷の刃が着弾寸前で防がれ次々とボロボロに崩れ落ちていく。
「じいや次の手を!!」
「焼いてみます……」
私の掌から人を焦がすには有り余る熱量が放たれる!
「ふん……」
リース校長は両手を前から横に広げると、やはり炎は当たる着前で弾かれまるでシールドに守られているかの様だった。
「じいや、当たらなくてよ!?」
「かなり強力なシールド魔法の様です。正直破れる気がしません……」
「次は私からね?」
リース校長は遠く離れた位置から静かに拳を引き、ゆっくりと突き出した…………
―――ドガァァァ!!
「―――っ!!」
突如脇腹に強烈な痛みが走り、何かに弾かれる様に私は地面へと転がされた。
「お嬢様申し訳ありません。痛みは消しましたが、完治までは暫しお待ちを…………」
「な、何が起きたの……?」
脇腹をチラリと見ると、そこには手のひらサイズの丸い痕がくっきりと浮かび上がっており、それはまるで丸い物で殴られた様な衝撃であった。
「じいや……」
「はい、何でしょうかお嬢様」
「私の思考を読みなさい」
「かしこまりました……」
私はリース校長にバレないようにじいやに無言の指示を出した。私が右手で銃の形を作りリース校長へと向ける。指先から無数のバレット弾が発射され、リース校長はまたも両手を前へ突き出した。
―――ベチャベチャッ!
リース校長の手前で弾かれたバレット弾は破裂し、中から色取り取りの染料が溢れ出し何も無い空間を染めていく…………
「それが貴女の魔法の正体ね?」
リース校長の前に姿を現したパステルカラーに染まった巨大な盾。羽とリボンの付いた可愛らしいデザイン性を持ち合わせ全てを防ぐ凶悪な盾でじいやの魔法を防いでいたのだ!
「見えたところで何だと言うのかしら!?」
今度は拳を引き瞬時に突き出す! 私はリース校長との間に染料膜を張った。ココを通る全ての物に色が付く仕組みだ。
―――シュッ……
染料膜を通り抜けたソレは黒い半球状の形をしており、途轍もない早さで私の体へと向かってくる。
「見えれば恐さなんて無くなるわ……じいや!」
「かしこまりました」
私の思考を読んだじいやが私を素早く移動させ半球状の物体を回避させ、そのままリース校長の後ろを取る。
「寧ろ見えて困るのは貴女ではなくて!?」
レインボーな氷の刃を放つ! 両手を横に広げ刃を弾くも次第に溶けた氷でリース校長の周りは半球状に染まっていった。
「次に何が来るか見えるかしら!!!!」
「…………」
私はリース校長の周りに見えない壁を作りそこへ並々と液体を注ぎ込んだ!!
魔法を解けば液体が全方向からリース校長へと向かい、骨まで溶かし尽くすであろう!
―――ボコ……
リース校長の上に並々と注がれた液体の中から気泡が浮き出た。それはリース校長が魔法を解いた証拠。私は勝利を確信した―――!!
―――ドゴォォ!!
しかし次の瞬間壁は吹き飛び、流れ出す液体と共に何かが飛び出した! それは染料膜を通り過ぎ私へと向かうリース校長が入った球体だった!!
球体は半球を二つ合わせ、左右で違う動きをする事で自在に地面を走り私の側を掠めていく。
どうやら第二ラウンドの始まりの様だ―――
ジャンルを『異世界 恋愛』にしといて未だ恋愛要素ゼロなのは……何故だ!?




