君と殺し合う運動会……ですわ! ①
運動会開始30秒程でリタイヤしたオカマとイケメン君。魔法少女は近くで下級生と奮戦しており、エリカは上級生に絡まれている。周りは既に地獄絵図。息絶えた生徒達は煙のように消えていく……。
(つくづくヤバい学校って訳ね……!)
「貴様決闘者だな!?」
後ろからの声に振り返ると、そこにはツンツン頭のおチビちゃんと背の高い青年がいた。
「……?」
「いくぞユウキ!」
「俺に任せろカイパ!」
二人は私の意思とは関係無く腕にはめ込まれたカードを引き抜き戦闘の構えを取った。
「お嬢様ついに始まりましたぞ♪」
「私は嬉しく無いわよ!?」
ここは先手必勝! 殺しても良いならば遠慮は要らないわ!!
「じいや! ファイヤーボール!!」
「かしこまりました♪」
背の高い青年に向けて指を指すと、髭から流れる魔力が指先へと集まり、私の指から特大の火球が飛び出した!!
「うわぁ!」
思わず私もビックリして仰け反ってしまった。
―――ゴゴゴゴォォ!!
勢い良く放たれた火球が青年へと襲い掛かろうとする。
「罠カード発動魔法!! 神聖なるバリアミラーウォール!!」
青年はカードを火球に向けて投げ付けると、光り輝くバリアが火球をすんでの所で弾き返し、私に向けて突き進み始めた!!
「じ、じいや!?」
「かしこまりました」
―――ブオォォォ!!!!
突如私の下から突風が吹き荒れ、火球は空高く飛ばされ薄紫色の結界にぶち当たり消えてしまった。間一髪の出来事に私は足が震え始める……。
「次は俺のターンだ!」
ツンツン頭のおチビちゃんがカードを投げ付けると、何も無い空間から角の生えた恐ろしい骸骨の悪魔が現れた。
「モンスターを召喚魔法!!」
「ほぅ……召喚魔法を扱えるとは。お嬢様この二人は中々の手練の様ですな♪」
嬉しそうな戦闘民族がココにも……。
「そしてカードを二枚伏せターンエンド魔法だ!!」
「ならば俺のターン魔法!!」
……そろそろ気付いたけど、この学校とりあえず最後に『魔法』って付ければ何でもアリみたい……。
「貴様は中々の魔法力みたいだからな……その動き縛らせて貰うぞ!!」
青年はカードを勢い良く投げ付ける!
「フィールド魔法発動魔法!!」
辺りが急に暗くなり、二人の姿が見えなくなる。
「フハハ! これで我等が何処に居るのか分かるまい!? そしてモンスターを召喚魔法!!」
―――グルルルル……
野獣の様な唸り声が聞こえ始めるもその姿は見ることが出来ない。私は恐くなり一歩引いた。
「プレイヤーに直接攻撃魔法!!」
―――グルゥゥゥウ!!
野獣の呻きが一段と色濃くなる!!
「じいや!? じいや!?」
「かしこまり♪」
髭がピクピクと動くと、空から光り輝く剣が何本も落ち、グサグサと地面に突き刺さり二人とモンスター達の動きを封じ込めた!! 光に照らされ居場所が分かればこちらのもの!!
「じいや! やっておしまい!!」
「かしこ♪」
掌を二人に向けると炎の渦が飛び出し、二人はモンスター諸共一瞬で灰燼と帰した……。
「我々の勝利ですな!」
「私この学校が段々と嫌になってきましたわ……」
開始から15分。未だ生き延びてはいるけれど、生きた心地は全くしていない…………




