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じいやの過去

久々すぎて話を忘れてしまった……

「魔法学校が出来る前の話でごさいます……」


 遠くを見つめ話を切り出したじいやの顔はどことなく寂しげな雰囲気を放っていた。


「『火』『水』『木』『金』『土』『光』『闇』の基本七属性を代々司る【七公】と肩を並べる【三民】の協力態勢は最初から無理があったのですが、私はとある事情からどうしても【時間魔法】を修得する必要があったのです……」


「しかし…………犠牲が大きすぎた」


 じいやは足を組み、窓の外を見る。外は静寂で不気味な静けさに満ちていた。


「使い方のまるで分からない道具程恐ろしい物はございません。私の時は、あの日から止まったままなのです……」



 じいやの抽象的で断片的な語りから、私は何を察すれば良いのか…………。


「【七公】は世界の中央を司る組織。私はそこへ戦いを挑んだのでございます……」


  ―――シュ……


 じいやは腕の裾を少し捲ると、そこに露わになったのはヨボヨボにしわがれた老人のような腕だった。


「かれこれ200年。私の体はこのままでございます。不完全な【時間魔法】の影響は私の時を止め、更に【空間魔法】を併発し私は異世界へと飛ばされました」


 ……………………。


「何とか戻った時には既に200年が過ぎておりました。当時の【七公】も誰一人として生きてはおりません……私は、手掛かりを失いました……愛しい人を救う手掛かりを……」



「……何か歯切れが悪いわね……じいや!!」

「はい。何で御座いましょうか?」


「貴方は何をしたいの!?」

「【時間魔法】【空間魔法】の完全会得。それで200年前に戻って妻を救いたいのです……」


「それって難しいの?」

「【時間魔法】は未だ基礎すら確立しておりません。そして【七公】を敵に回すと言う事は……世界を敵に回すことになります」


「つまり、世界の悪役になるわけね……いいわ。やりましょう♪」

「お、お嬢様……!!」


「じいやのやりたいようにやれば良いわ。私は幾らでも付き合ってあげるわ!」

「ありがたき御言葉でございます……」


 じいやはスッと立ち上がると深々と頭を下げた。


「で、先ずは何から始めるのかしら?」

「この学校の校長で七公の一人でもある『リース』殿に話を伺いたいと思います」


  ―――ガラガラ


「話は終わったかい?」


 見計らった様に扉が開き、校長である深緑色の髪の女性が大手を振って保健室へと入ってくる。


「リース殿、色々とかたじけない」

「いいのいいの♪ それより、例の件忘れないでね?」


 ……?


「お嬢様申し訳ありません。時間魔法の情報と引き換えに、運動会での優勝を約束させられました……」


 …………?


「教員含めた全生徒達で行われる殺し合いで生き残れれば優勝で御座います」


 ……やっぱり戦闘民族だわ。

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