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俺のどうしようもない一目惚れの話を聞いてくれ

作者: 伴野是郎

 高1の時、バス停に立つ彼女を見て、一目惚れした。

 今までの人生の中で最初で最後の、唯一の一目惚れだった。


 ずっと思い続け―――高3の時、クラス分け表の自分と同じ3年A組の中に、彼女の名前を見つけた。


 初めての告白は電話だった。あっさり断られた。


 ある日、彼女の鞄のいつものステッカーが、俺が大好きだったマイナーな歌手に代わっていた。

 二回目の告白は、彼女の家に恋文を送った。断わりの手紙が帰ってきた。


 文化祭の時、彼女から声を掛けられた。「今、私、フリーよ」彼女と初めて手を繋いだ。とても暖かかった。


 修学旅行の時、女風呂が覗けるぞとの話を聞いて、すぐさま、覗きにいった。彼女にでもしなければ決して見れない彼女の裸体を見たかった。見れたら自分の彼女にできる気がした。彼女はいなかった。他の女の裸体は只の肉体だった。その後、「○○の胸、すげ~デカかったぞ」と言っていた男子がいた。俺はそいつの顔を思いっ切りぶん殴った。心の中で。


 彼女が一度だけデートをしてくれた。この時、財布を忘れて妹に持ってきてもらった。


 卒業式―――もう二度と会えないと思った俺は、三回目を決意した。

 3年A組の打ち上げで、告白した。彼女は俺について来なかった。

 ……そろぞれの道を進んだ。


 その後、彼女とは二度と会えなかった。

 約10年後、母校から卒業生名簿が届いた。彼女は結婚していた。俺と同じ姓の男と……






 ―――もし君がここに目を止めたら、君だけがあの時の僕だと判るよね。

 ―――多分、もしかしたら、ああ、そうだ……

 ―――幸せを勝ち取った女って、過去の男の事は、忘れるんだっけ……

 ―――それなら、忘れてるかな? 俺と同じ姓の、僕の君は……



 ……一目惚れって、なんなんだろう?

 ……これって、病気なのかな?

 ……この女の事を考えずには、いられなくなるだ!

 ……神様はなんでこんな事をするんだろう?

 ……なんでこんな報われない事をするんだろう?

 ……なんで振られても振られても忘れなくするんだろう?

 ……告白してくれた3人の女子に見向きもさせない程ってどういう事だよ!


 ……借金を抱えた父と母を見捨てて、あの女に貢げば、報われたんでしょうか?

 ……まだ小さい、妹と弟を見捨てれば、報われたんでしょうか?

 ……それなら、もういいです。

 ……だから、神様、おねがいします。

 ……今度、生まれ変わったら……彼女と結婚させて下さい。





 今は、ただ、残された彼女の言葉を思い出して生きている。

「ありがとう、好きって言ってくれて、嬉しい」

「こんなに愛してもらえる女は、幸せだよ」

「今日は、ありがとう、付き合ってくれて、○○くん!」

「楽しい思い出をありがとう。じゃあね~ さようなら」



 ―――そして、今日。彼女の訃報を聞いた俺は…………

 また、同年に生まれ変わる事を信じて……生を閉じた……







最後の訃報以下は「誰かの」実話です。

覗きは時効ということで、ごめんなさい。

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