物のいちにち ~エナジードリンク~
僕は、エナジードリンクだ。
今は、自動販売機の中で、誰かに買われるのを待っている。
ガタンガタン
今日も一本、友達が人の手に渡った。
それはいつものことだ。
でも、今日はいつもと違う。
なぜなら、
「前に友達が、、、いない、、、」
次は、僕の番だ。
人の手に渡るとどうなるのか。不安でいっぱいだった。
その後、家族連れが来た。直接見ることはできないが、声でわかる。
声からして、お母さんと男の子と女の子の三人のようだ。
「どうせ、ジュースでも買うんだろう。僕が買われるのはまだ先か。」
そう考えると、ホッとしたが、少し残念でもあった。
だが、予想は外れた。
「あーあ。まだ買われなッ!?」
ガタンガタン
男の子が、エナジードリンクを買った。
「いやマジかよ!普通大人が飲むもんだぞ!?子供が飲んでいいのかよ!お母さんに何か言われるぞ!」
お母さんは何も言わない。まるで、いつも飲んでいるかのようだ。
「いや、言わないのかよ!っていうか、これ、子供が飲んでもおいしくないと思うが。」
「、、、やっぱおいしい!」
男の子の方も、いつも飲んでいるかのように、ゴクゴクと飲んでいる。
「、、、こいつ、本当に子供か?」
ちなみに、女の子の方も、僕と同じエナジードリンクを飲んでいた。
自分の中身を飲まれるのは、どんどん体が軽くなっていき、不思議だった。
そのあとは、ゴミ箱へ捨てられ、、、と思ったが、
「ここは、、、仲間がいっぱいいる!?」
飲まれた後、洗われて、段ボールの中へコレクションされた。
「よっ!新入りか?」
その後、ほかの先輩たちにここについて教えられた。
どうやら、あの男の子が嫌いなエナジードリンクはレアもので、捨てられることがめったにないらしい。
逆にあの男の子が好きなエナジードリンクは、増えすぎて、捨てられるらしい。
ちなみに僕は、一番多い種類の缶らしい。
その後、僕はすぐに捨てられた。
ゴミ箱の中は、暗かった。
そして、ビールの缶だらけだった。