まごころ
今日もあの子の笑顔に胸が踊る。
今のうち、短い髪でも整えてみせるよ。
今日もあの子の弾む会話に心が和む。
今のうち、短い言葉でも生み出してみせるよ。
数えきれない擦れ違いのなか、擦りきれた記憶をみる。
憧れたその笑顔に、滲むような影が舞い降りる。
欲しかったその声に、覆い被さるような溜め息が降り注ぐ。
勝ち誇っている顔が、視界の切れ端で見え隠れ。
幸運と奇跡。これが僕をそそのかす。
美しさと永遠を混ぜ合わせた夜の空。
この世に存在しない幸運と奇跡。
幸運の行く末は快楽で、快感の行く末が奇跡になる。
姿を変えた生存本能。
この僕に、曇りのない笑顔は見られない。
この僕に、命を育む声は聞かれない。
分かっているのに、今日も僕は綺麗な星を見上げている。




