読み切り:忘恋慕
この作品は、一応女性同士の恋愛を描いた作品ですのでそういう表現が苦手な方はブラウザバックをオススメします
~大切なこと~
雪解けの季節になり別れの季節となる3月、10歳だったわたしは大好きな親友がいた。
空が赤く染まり、別れの時間を彷彿させる黄昏時、そのときのわたしは、大切なことを親友に伝えた。
「ねえ、ふーくんわたし大切なことがあるの」
その親友は線が細く弱気な男の子でまるで女の子のようだと印象つけられていた
「なに?あっちゃん?」
「わたし、こんどお引っ越しすることになったんだ~」
涙をこらえながら告白するわたしがいた
「へえ、そうなんだ…」
ふーくんはしょぼんと暗い表情をみせる、泣き虫さんなのだ、
「お母さんが再婚?して新しいお父さんができるんだけど、引っ越さなきゃいけないの」
「うん…グス」
嗚呼、男の子なのにこんなに涙を流しちゃって
わたしも泣きたくなってくる
するとふーくんは言う
「だけど…」
「?」
「だけどまた会えるよね!?グスッ」
わたしはその言葉に安堵した
そう、また会えるのだ生きていれば、必ず!
ってお姉ちゃんが持っていたマンガにもかいてあったし
「うんだからわたしがこーこーせいになったらまたこの街に戻ってくるよ。必ず」
「ぜったい?」
この先のことはわからないけどなんとかなるとおもう
「だからさふーくん、今までありがとう!そしてまたあおうね」
「うん」
このあとしばしの静寂のあとふーくんが言った
「ねえあっちゃん?ぼくも大切なことを言ってもいいかな?」
「なに?ふーくん」
ふーくんをじっと見つめる
ふーくんもこちらをうつむきつつも見ている
「もう気づいてたかもしれないけど」
「?」
「ぼくはあっちゃんのことが好きだ!」
泣き虫さん、大胆告白
明らかに先程よりも大粒の涙を流している
きっとこれ以上ない勇気を振り絞ったのだろう
わたしも涙を流した
「…もう…遅いよ…」
遅い…遅すぎる
「だから、あっちゃん!もしもこの街に戻ってきたらぼくと付き合ってくれないか!」
「…うん」
わたしは涙で声がかすれながらもその告白に答えた
~引っ越し~
「うぁ~つっかれたああああ」
わたしは机に突っ伏した
「おいおい~そんなんでこのさき大丈夫かよ?」
自分の部屋に男性の声が響く
「大丈夫だよおじさん~なんとかなるって」
この人は前の父の弟で一応叔父にあたる人だった名前は橘 京
叔父にあたる人だったが今の父の弟ではないので今は知らない
叔父だった人は顎に髭をたくわえ目は丸いサングラスで覆われていてそれでいて年中アロハシャツを愛用していて筋肉は人のそれよりはある変な人だった
前の父の情報によると月に2,3回は職質を受けていたらしい
「あなた、そんなことを言ってはだめよ!」
そんな叔父の後ろからでてきたのが叔父のお嫁さん名前を柚子というらしい
容姿はとても若く叔父の姿も相まってかとても叔父のお嫁さんには見えない
叔父が並ぶとその姿はちょっと仲のいい親子である
実年齢を聞こうとしたらものすごく殺気を放たれたと叔父も言っていたので多分叔父も含めて彼女の実年齢を知っているのは彼女の両親、彼女自体しかしらないだろう…
「しかし亜月ちゃん?本当に大丈夫だったの?」
柚子さんが言う
「なにがですか?」
「住むところ、こんなアパートで」
ああそういうことか
「大丈夫ですよ、むしろ知っている人が近くにいると安心できますし。」
「それならいいのだけど…、困ったらちゃんといいに来るのよ?」
この街に引っ越すにあたり住む場所に悩んでいたところに叔父がアパートを経営しているのを思い出したのをわたしは褒めたいし仕方なしだけど叔父にも感謝する
「あ、じゃあこの大漁のダンボール箱片付けるの手伝ってくれませんか?」
「おやすい御用だぜ!」
来週の入学式に間に合うか不安だった。
~入学式~
「うぁ~長かった~」
というか眠かった
今日は入学式当日だ、とてもではないが疲れる
そんなことをつぶやいたら
同じクラスのえっと3組か
女子生徒が話しかけてきた
「ほんと長かったね~。」
「ほんとだよ~。」
適当に相槌をうつ
話しかけて来たのはツインテールで少しつり目の女子
彼女はスカートだった、この学校女子はズボンかスカートかを選べる学校なのでなんとなく私はズボンを選んでいる
「おっと突然話しかけてごめんね~。同じクラスの松野 稔よろしくぅ~。」
軽い感じな性格だ
友達多そうだな~と関心する
「あんたはなんっていうのかな~」
おっと自己紹介されて返さないのはいけないな
「わたしは窓辺 亜月っていうんだ」
「窓辺?また変わった名字だ。それに女だったのか」
わりと早急に改名したい、そして女だったのかはもう聞き慣れた
ズボンを選んでさらにショートカットだ、男子と思われても仕方あるまい
「この辺に住んでんの?」
「ううん、引っ越して来たんだ」
すると松野さんは驚いた様子で
「うっそマジで?え?家族と一緒に?それとも一人で?」
「一人で」
「まじでか!一人暮らし大丈夫なん?」
「いまんところはなんとかなってるけど?」
一人暮らしなのだ、なんとかしないといけないし男性とつきあい始めたら多分もっと大変だろう
すこし抜けた保護欲を掻き立てられる男性と
そして家事ならおまかせのわたし
付き合って結婚してわたしは主婦
『あなた、おかえりなさい』
『ただいま』
『ごはんにする?お風呂にする?それともわ・た・し?』
『えぇ!?え?じゃあごはんで。』
「おーいかえってこーい」
『もーあなた!(ぺしぺし』
ぺしぺし、ぺしぺし…あれ
ぺしぺし、ぺしぺし…痛い
ばし!ばし!
「いたぁ!」
現実に引き戻された
「すごい顔になってたよ、あんた」
まだ痛い
「でも本気はなくない!?まだ初対面だよね!」
「初対面でドン引きするような顔で自分の世界に行くやつが言うかそれ」
ごもっともである
「ガンジーもドロップキックするレベルで酷い顔だった…」
「まじ?」
「こんなふうに」
すると松野さんはほっぺたをもって勢いよく下方向に引っ張った
「……うわぁ」
……うわぁ
「以後…気をつけます」
「うむ!返事がよろしい!」
そんなこんなで松野 稔というお友達も入学早々でできた
~ノイズ~
クラスのホームルームも見終わり稔と中の良かった友達ともうまく馴染め入学日に稔含め3人の友達ができた一人は稔 もう一人は蕾、ポニテ 最後に若葉、ロング
うむなんとかやってけそうだ。
名前がなんか植物の成長過程ってかんじだけど
そんなことはまあどうでも良かったがこんなことがあった
下校の時間も相まってか校庭が騒がしいのだがこれほどまでに騒がしいものなのだろうかと思い教室から校庭を覗くと
わらわらと人が一斉にとあるところに視線を向けていた
それは男子生徒と女子生徒が向かい合っていた
ここは2階なので頑張れば会話などは聞こえそうだがこの群衆で会話などとうに聞こえないがどんな行動をしているのかであれば良く見える
すると突然男子のほうが何かを言ったようで女子生徒握手を催促するように手を差し出した
「お~、青春だね~しかもあの人らって前中では絶世の美男子と美女っていわれてたな~」
稔が言った
男子生徒のほうはいわゆるメンズ雑誌によくある髪型で前髪を斜めにおろしてなんか刺々しい
女子生徒のほうは姫カット?でいいのかわからないけどぱっつんだった
「へえ?それで絶世の美男子が絶世の美女に告っているとなるほど」
まあそんな二人だしきっとその恋は成就するんだろうな~と思っているのだが
はて?
女子生徒の方は首を横に振った
「あちゃ~告白しっぱいか~」
若葉が言った
「あらら~残念だ~」
つづいて蕾も
まあ他人事みたいな反応だった
しかしわたしは違う
彼が告白した時、きゅっと胸が締め付けられた
彼女が首を横に振ったときどこか安堵をしている私がいた
何故だ…
ふと男子生徒に視線を向けるとすごくうなだれていた、まるでこの世の終わりみたいに、そしてトボトボとあの場を去っていった。もちろん皆の視線を浴びながら、惨めってこういうことを指すのかと思った
一方で女子生徒の方を見てみると
目があった気がした、彼女と、瞬間頭にノイズがはしった
こう古いビデオテープで飛び飛びの時代劇を見せられているようなそんなかんじだった
もう一度彼女の方を見てみる
彼女の姿はそこにはなく群衆もまた散るように解散していた
~再会?~
高校生活が始まって10日くらいがたったときのこと
またわたしが体育館に忘れ物を取りに行ったときあのこが告られていた
今回は体育館前で、わたしはその裏にとっさに隠れて聞いていたのでその全貌が聞こえた
「冬木さん!僕と付き合ってくれませんか!」
「ごめんなさい、わたしには別に好きな人がいるんだ」
ほらやっぱり
「ではその好きな人と付き合うまでではいけませんか!」
おお?おお?押すねぇ?
「なんででしょうか?」
まあそうなるか
「恋人の練習とか?」
いや練習て
「なおさら無理ですごめんなさい」
うっへぁ容赦ね~
「そう…ですか…」
トボトボと男子生徒はその場を去った
しかしよく考えると彼女の声がどこかで聞き覚えのあるものだ
あの時はあの群衆でよく聞こえなかったし、たしかにどこかで聞いたことがある、
こう懐かしいような…安心できるような、でもせつないようなそんな感覚だ
しかしこの街に住んでいたときの記憶はあまりないし気のせいかもしれない
わたしもその場を離れようとしたのだが
失敗した、体育館の裏には低い樹木が並べられているのだが
その枝が服に引っかかっているのに気づかなかった、
____パキッ!
という快い音がなる、状況が状況だから私にとっては全く快くなどないのだが
彼女がこちらへ向かってくる足音が聞こえる
どこへ逃げるか……、
あれ……これって詰み?
詰みなら詰みで次にでる手は決まっている
「ど、どもー」
逃げることを諦めることだ
「ごめんなさいごめんなさい、覗き見する気は無かったんです!ちょっと忘れ物を取りに来ただけでちょっと邪魔をするのも気が気でないな~とか思ってただけなんです。」
私は見事な土下座を繰り出した。
「えっ……えっとその」
彼女が困惑している、あ、これ逆効果のやつだ~
多分私これから突然土下座をして謝りだす変なやつって決められてくんだ~
「あ、えとこれはその」
とりあえず土下座の状態から立つ膝の汚れも払い落とす
そして視線を彼女へ向ける、
彼女は涙をポロポロと流していた
「えぇ!?そんなに嫌だった!?」
それはそれでわたしも傷つく
「ううん、」
「え?じゃあなんで泣いて」
彼女は前を向くと笑顔でこう言った
「久しぶり、あっちゃん」
??? は? え?
よく分からないどういうことだまじで、
「えっと何処かで会いましたっけ?」
「え゛?忘れてる」
うむ記憶に全くない、ただあっちゃんという響だけは懐かしさを感じる
「一組の水元 冬木だよ!あっちゃんがこの街に帰ってきたら僕と付き合おうって約束したじゃないか!」
「いつ?」
「小学四年のとき」
…………嘘だろおい。
僕っ子かよ、……違うそっちじゃない、へ?小学四年のわたし何やってんだ!なぜ女性と付き合おうって言ってるんだ!そもそも、わたしは_
また頭にノイズがはしる
あれ?じゃあなんでこの街の高校に入ったんだっけ
それはここが進学校で倍率もそこそこで入りやすいとかで?
違う、そうだ確か大切なことがあったんだそう何か大切な約束を。
「あっちゃん?」
彼女が小動物のように近くによって目をうるませながら見上げて言う
うっ!そんな目で私を見るなああああ。
そんなこんなでわたしはとても美人な人に好意を向けられてとても懐かれました
~日常~
さらに1ヶ月後
授業の終わりを告げるチャイムが鳴る
長い時間の授業が終わりわたしは開放されるのだが
ドドドドドド…ガタン!ガバッ!
「あっちゃああああああん」
冬木によってまた拘束される
そして周りからは色々と言われる
稔は
「おやおや~お二人ともお熱いですな~」
とつつかれ
蕾と若葉は
「ひゅ~ひゅ~」
と稔の言葉に対して煽りを入れてくる
「ちょ!冬木!離せよ!帰る準備ができない!」
とひっつきむしもとい冬木の拘束から逃れようとする
これが毎日続くのでとてもしんどい、というか名物と化しているかもしれない
「帰る準備?あっちゃん今日も一緒に帰ってくれるの!?」
「はいはい、とっとと帰るから離せ!」
しかし彼女と一緒に帰る分彼女に甘いのかもしれない
すると稔が言った
「じゃああっちゃん、帰ろっか!」
うぜぇ……。
これが私の日常だった
~幕間~
さらに半年が経った夏休みは冬木や稔らと一緒に海やプール、山など様々な場所をめぐりそしてそのとき驚いたのが冬木が8人乗りの車を持っている家庭でマンションを購入しているほどのお嬢様だったということと、冬木の家で見た写真に本当に彼女と親友であったことと、鉛筆でけっこんせいやくしょと書かれたものに二人の名が刻まれていたこと
冬木はそのときは髪が短く男の子にも見え逆に私はロングで女の子にしか見えなかったことが写真でわかった、
つまりはそのときの私は彼女を男だと思っていたらしい。
だがしかし冬木は言った
「あった時点で女の子だって伝えたよって」
~ヒーロー~
その日はとても忙しい日だった、保険委員が休み私がその仕事を請け負い帰りが遅くなり一人で帰ることになった
外は真っ暗だ
ぽつりぽつりと続く街灯をいくらか過ぎ公園付近で後ろから男性に声をかけられた
「おい!おまえ!」
私はその声に聞き覚えが無かった、クラスの人の声ではない
恐る恐る振り返るとそこにはいつぞやの惨めなイケメン君がいた
「な、なに?なにか用?」
私は率直に聞いた
「なにか用じゃねえよ。俺を振った冬木って女と随分と仲がいいらしいな」
なんだ嫉妬か
「あら?ごめんなさい私は特別仲がいいとかそんなんじゃないと思っているのだけど」
あくまで友達だ友達、まああっちのスキンシップは度を超えているのだけど
「うるせぇ!お前が居たから俺は振られたんだ!ああ!絶対に!」
かれはそう叫ぶとなにか棒のようなものを取り出した
この前の保身術の講習で一般向けの警棒とかを習った、もしかしたらそれかもしれない、警棒だから死なないとかは思わない、むしろあの講習でも言っていた
『これらの道具は基本的に自分の身を守るための道具です!でも使い方次第では凶器にもなります!いいですか、絶対にここぞというときに扱うこと!もう一度いいます絶対にここぞというときに扱うこと!いいですね!』
あれは保身の道具ではない、むしろ殺意を向けてくる凶器だ、逃げなきゃいけない、しかし恐怖で足が動かない
ああ怖い、怖い、怖いだが足が動かない!
そして彼が私の右手を掴み警棒を上へ掲げたところで
ノイズのない鮮明な映像が頭に浮かんだ
[「あっちゃん!危ない!」誰かがわたしを庇った]
誰かとの記憶だ、そしてその姿は過去の冬木と一致していた
その映像が終わった頃に
「あっちゃん危ない!」
ドカッ!という鈍い重みのある音が聞こえた
どうやら、冬木が鞄で彼を殴ったらしい、彼は地面にのびていた、立ち位置的に彼は後ろからの存在に気づかずにそのまま殴られたらしい。
「ふーくん?どうしてここに?」
~約束~
どうやらあの公園は冬木の家、いやマンションの近くらしく冬木はコンビニにものを買いに言ったらたまたま私が襲われているのを見かけていたらしい
そしてここは冬木の家
「あっちゃん?大丈夫?怪我とかしてない?」
「冬木こそ、あなたは大丈夫なの?」
夏休みに発覚したのだが、冬木自体、身体が弱くボールを投げようとしたら肩を痛めるくらいには軟弱なはずだ、そんな身体だから重い物を勢いよく振り回したらどうなるかもわからない
「ははは、あっちゃんは心配性だね、僕は大丈夫だよ、少し痛いけど」
「もう!湿布を貼ったげるからこっちに来なさい!」
保健委員のお礼として湿布を貰っていた、まさかこんなところで役に立つとは思わなかったが
冬木は素直に服を脱ぎ、白く、絹のような綺麗な肌を露出させる
そして痛むというところに湿布を貼る
「ううっ臭い…」
「そんなもんだよ、湿布なんて」
そしてまた記憶が蘇る、鮮明に
[彼女がわたしをかばった瞬間にわたしは一つの特別な感情を彼女に持つようになった]
ああなるほど、確かに私は彼女を好きになったらしい、わたしは確かに冬木に恋をしたのだ、ふーくん、彼に、冬木、彼女にわたしは恋をしていた。そしてその感情がまた目覚めつつある
[「だから、あっちゃん!もしもこの街に戻ってきたらぼくと付き合ってくれないか!」]
「ねえ、ふーくん?」
「?なんだいあっちゃん?」
「あのときの約束まだ有効かな」
「もちろん!ていうか覚えててくれたの?」
「今思い出した」
「なんだよそれ~」
まだふーくんとの記憶はまばらなままだがなんとかなるかと思った
原稿用紙に改行含め10000字以内に収めるの難しかったです、しんどい