ウォルシャオンライン1.6
今現在ウォルシャオンラインの中に何人GMがいるかは不明だがGM狩りが始まってから今までに”捕獲”されたGMの数は58名。
全員が大手のギルドに渡され捕縛されている。GMは殺してもログアウトさせることが出来ないため捕獲をしている。もし倒してしまって別の場所で復活されればまた襲ってくるであろうことを予測しての処置だ。彼らは身動きがとれないように捕縛されながらもログアウトもせずただひたすら捕まっている。
なぜGMまで狩ってまでログアウトを拒絶するかその理由は二つある。
一つ目はロウル社は聖杯の賞金にかんして”どんなエラー、バグが起きたとしても有効とする”そう告知してしまっていたからである。つまりこのまま接続しつづけて自分たちのレベルをあげることによって現在接続できてないものたちとの差をつけるためだ。あわよくばこのまま聖杯を手に入れようと考えている者がいないわけがない。
二つ目、おそらくこれが一番大きな理由だろう。ロウル社はエラーが起きてすぐにオーバーリミテッドシステムを起動したと告知した。このシステムは現実の1日をゲーム内で365日に伸ばすシステムだそうだ。実際こんなことが本当に可能かどうかはわからなかったが俺の周りは1週間せど誰も現実の干渉でコネクトがはずされログアウトさせられるということが起きていないことから本当に出来ているのだと思う。
ログアウトはできるけどログアウトしたら再度接続が出来ないためログアウトするものたちがいないゲーム
GMが役割を成すことが出来ず、プレイヤーは自発的にログアウトなどしない。
つまり、ログアウトを拒絶した者が残った世界。
これが今俺が生きている世界。
ウォルシャオンライン。
幼馴染から進められ、ただ楽しそうってだけで始めたゲームだった。だから遠慮なしに、自分より格上の相手とも昔は戦ってきた。だけどあの時から自分を抑制する目的ができた。あの時、そう、戦いの途中で出会った優しい甘栗色の髪の少女が夕暮れの丘で遠く空彼方を真剣な眼差しで見つめて言った。「欲しいモノがある」という言葉に付き合ってみようと思った時から。
俺はこの世界。ウォルシャオンラインで本気で上を目指してみようと決めた。