時価
この世界は、時間が売れる。
飛ぶように売れている。
わけでもないが。
自分の時間を売ってそれで生活している専業タイムトレーダーなんでものも。
一昔前ならニートと呼ばれていたと思う。
タイムトレーダーとはどういうものなのか。説明しよう。
まず、1日単位で時間のレートが変わる。
まあ、時間を売っている人はたくさんいるので、そこまで高いものじゃない。
今日は532円/h
まあ、普通より少し高いぐらいか。
ぶっちゃけると普通にバイトしたほうが給料は高い。
でも、なぜ利用している人がいるのか。
めんどくさいから、かな。
人間関係も気にしない、自分の能力を問わない、何もしないでいい。
こんな楽な仕事をやりたいという人はたくさんいる。もちろんやりたくない人もたくさんいるけど。
さて、どういう風に売るのかということだけど。
まずは、時を売るための装置。これが必要だ。
専用のお店にいってレンタルするか、少し高いが買うかして手に入れる。
もしくは。
会社に入るか。
タイムトレーダー専門の会社があるのだ。
そこで仕事として自分の時を売る。
まあ、それは置いといて。
その装置に何時間分の時を売るか設定して、そのまま装置の指示通りにする。
すると、時が売れる。
もちろん、時を売っているので売った分の時間の間はなにもできない。
意識のある気絶。
夢ではない、動けない。
そんな感じ。
売った分は、体にも影響があるようで。
売っている間に疲れがとれているわけではなく(起きているような状態)、おなかがすいたりするわけでもない。
逆に疲れる気がする。
考えることしかできない。
文字通り、意識のある気絶だ。
さて、買う方はどうだろうか。
僕は知らない。
興味がない。
聞いた話だと、買った時間分、その日動けるのだそうだ。
1日24時間が、崩れる。
2時間買えば26時間になるし、100時間分買えば一日124時間にもなる。
でも、僕には必要ない。
時間を買ってまですることがない。
両親は、時価を売っていて生計を立てていたが行方不明。
妹は、そのお金で時間を買い(まさしく時を買う少女)
僕との生活リズムがずれて、会わなくなった。
そして僕は。
何をしているか。
思い出した。
僕は、寿命を超える時間を売った。
そして今、
売っている。時間を。
唯一できることは考えることだけ。
今思えば、今に至るまでになんども狂った記憶があるような気がする。
長すぎる時間。
そして、これも終わりだ。
目が覚めていく。
「~~」
声を出したつもりなのに、変な声がでた。
体は、久しぶりだからなのか知らないけど、動きにくい。
部屋がほこりまみれだ。
妹が掃除してくれると言ってくれたんだけどなあ。
とりあえずおぼつかない足で外に出る。
夜だ。
暗い。
街中なのに。灯が全くついていない。
誰もいない。
コンビニにも人がいない。
おかしい。
コンビニに置いてある新聞の日付を見る。
2202年。
なんだ、2202年になっていたんだ。
じゃあ、何が起こってもおかしくないね。
科学が進歩しすぎて新しい世界を作り出しちゃったとか。
さて、最近のニュースはと。
私たち人類は、もう絶滅するでしょう。
一番はあの忌々しき新しい兵器、対抗できない感染症。
そして時の売買。
装置の使用を禁止したときにはすでに人類は、いや、旧人類はもう復帰できなくなっていました。
恐らく、私たち旧人類が滅亡してから気の遠くなるほどの時間がたってから、新たな新人類が生まれるでしょう。
その新人類の方たちに助言を。
「
なんだ。
終わっていたのか。
そしてこれを読んでも僕は感情が揺さぶられない。
時間を売りすぎたかなあ。
このお金も使えないな。
家に戻り、僕はまた装置を起動する。
次は、新人類がいるだろう世界まで。




