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文学系 短編集

私の友達の恋模様

作者: アリス法式

暇つぶしに書いた短編です。対した内容ではありません、深読みしなければ……。

 

 「ねぇねぇ、純ちゃん私彼氏できたのぉ~」


 私の親友の連がそう言って笑ったのは、麗らかな日差し暖かい春のとある日だった。

嬉しそうに彼氏らしき人からのメールが表示された携帯を、左右に振りながら、ウキウキと言った言葉がぴったりな表情を浮かべて走ってくる蓮。


私に対して、春の日差しも真っ青な笑顔を浮かべながら惚気話を話しまくる蓮が、とても眩しく見えたのは私だけでは無いだろう。


 「見てみて~、純ちゃん。かっこいいでしょ!羨ましいでしょ!」


携帯画面に表示させているらしい写真を眺めながら、「ふふふふふふふ」と怪しい笑を浮かべている蓮。

笑顔がとても眩しい……。

うん、そうだね。

曖昧な笑を浮かべて、蓮に返事をする私。

笑顔の蓮は、私から見てもとても可愛らしい親友の姿だった。


春が終わり、徐々に日差しが強くなってきた夏の日。


 「彼氏の心臓を掴むには、やっぱり料理だよね!」


そう意気込んで、スーパーに駆け込んでいく蓮。

「それってハートの間違いじゃ……」。

私の呟きは完全に無視され、蓮はいつもスーパーに駆け込んだり、金物屋さんに走り込んだりしている。


 「料理は道具からだよ!純ちゃん!」


そう言って嗤う蓮は、春のあの日より綺麗になっているように見えた。

恋は女を綺麗にする、それって本当のことかもしれない。

そんな思いを抱いた、夏のとある一日。


「見てみて、今日のお弁当はミートスパゲッテイだよ~、純ちゃん!」

鉄分が豊富そうだな、両手に絆創膏をいっぱい貼り付けて笑う蓮。

「彼氏がね~、最近ちょっと冷たいんだ…。でも、私の料理でメロメロにしてやるんだから!!」

絆創膏が減ってきたとある日、私に向かってそう宣言する蓮。

「純ちゃ~ん、喧嘩したよ~えーん……」

携帯振り回しながら泣きついてくる蓮。

「……。」

無言で黄昏ている蓮。


夏が過ぎ秋が深まってきた頃。


「純ちゃん…。今度ね、彼氏に私の作った料理食べてもらうんだ!」


両手に絆創膏がなくなり、また金物屋に行く機会が増えたと、最近話していた蓮が、思い切ったように私にそう宣言した。


「恋は生もの、食品も新鮮なうちに料理しないとね!だから、私頑張るよ、純ちゃん!」


そう言って、少し儚げに笑った蓮は、今までで一番美人に見えた……。




秋が過ぎ、とある冬の日、私のとなりを歩く蓮。

少し前に感じていた儚さが抜け、連は明るい私の親友に戻っていた。最近彼氏の事を言わないことから、もしかしたら蓮は彼氏と別れたのかもしれない。

野暮なことは聞かない。

私のとっている彼女との距離感を超えることなく、私は今日も蓮と共にいる。






「見てみて~、純ちゃん、今日のお弁当はミートスパゲッティなんだよ!」


赤いソースが絡みついたミートスパゲッティを、綺麗な傷のない手を使ってフォークに絡めながら、蓮は今日も楽しそうに嗤う。

今日も鉄分が多そうね。

それが、私の感想だった……。


この作品を、読んで作者の意図を、そう捉えてしまった人はダメな人です。

でも、そういう作品です。




2020.5.18

ネタバレor解説


そこまで深く作ったわけではなかったのですが。

これは友達がカニバリズムという設定で創ったものです。

書いた当初、深読みすると彼氏君が殺されてね?という程度で書いたつもりだったのですが、書いてから読み直したら、彼氏君どころか、たぶん友達は付き合ってすらいませんでした。怖い。


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