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出会い


「猫がさあ……。ずっとついてきて、離れないんだ」


 ある日の夜。


 仕事から帰って来た父が、とても困った顔をして玄関のたたきに立っていた。

 その足元にはほっそりとしたシマシマ柄の猫がくるんくるんと八の字を描くようにまとわりついたまま歩き回り、緑の瞳をキラキラ輝かせて私たちに向かって「にゃああん」とごきげんな声で鳴いたその瞬間、全会一致で決まってしまった。


「キジトラだから、きいちゃんって名前はどうかな」

 と、父。


「いいわね。今日からこの子はうちの四人目の家族よ。」

 と、母。


「弟かな、妹かな。ねえねえどっち?」

 私は、ぴょんぴょん飛び跳ねて大はしゃぎだった。



 そのあとは、晩御飯もそっちのけの大騒ぎ。

 父は近くのスーパーに駆け込んでトイレ用の砂と色々な種類のごはんを買い込み、母は寝床に良いタオルや水を入れる器を家中探し回っている間、私はずっときいちゃんを抱っこしていた。


 柔らかくて、暖かくて、どうしたらいいかわからない。


「ぎゅっとしちゃだめよ。きいちゃん、くるしいってなっちゃうからね」


 母に教わった通りに優しくしているつもりだけど、するりとどこかにいってしまったらどうしよう。

 でも、ぎゅっとしたらくるしいんだ……。

 七歳になったばかりの私は緊張のあまりカチコチになっているというのに、きいちゃんは「ふわああ」とあくびして、なんとそのまま眠ってしまった。


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