表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
涼宮鷹尾の歴史改変日誌~令和のアラサー女子、明治の時代に転生して無双する。電子の技術は最強です!~  作者: 島風


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/11

8白熱電球とペニシリン

西暦1905年の涼宮会で、私は一人端っこで思案していた。


工場の規格問題を解決したものの、新たな製品作りを模索しなければ、と、言うのも・・・。


三極真空管の国内特許は簡単に通ったけど、世界では壁にぶち当たった。誰も信用してくれない。東京大学の先生方があまり力を貸してくれなかったのだ。


そこに救世主になってくれたのがエジソンさん。出たよワールド級ネームドww。発明王エジソンさんです。しかし、彼は善人ではなかった。ドイツの有名な技術者が言っていたが、彼は偉い人が来る時、顔や手を故意に汚し、あたかも毎日現場で研究に明け暮れている様を取り繕っていたそうだ。つまり、かなりの商売人、策士だ。


案の定、海外で特許を取る駄賃にアメリカでの特許優先使用権を認めさせられた。


要するにエジソンさんの会社、ジェネラル・エレクトリック社で製造される真空管には私の特許権が及ばない。・・・かなりの損失だ。


何しろ最大の輸出予定国のアメリカで安価なアメリカ製品が出来たんじゃ、本末転倒な話だ。これには渋沢先生も怒っていた。お願い、一万円札と言えば日本の最高額紙幣でしょ? それ相応に怒っていいよね?


とはいえ、決まってしまった事は仕方がないので、新しい製品を投入する事にした。それは電球だ。え? それはエジソンさんの発明品じゃ? そうだよ、その電球でエジソンさんへ意趣返ししてやるつもりだ。特許権はもう切れているからね。


それは三極真空管で苦労して作ったタングステン製のカソードを使った高寿命電球。


フィラメントに日本産の竹を使ったエピソードは有名だが、現在の電球はあまり寿命が長いとは言えない。そこで、改良する事にした。


フィラメントをタングステン製に変更、これで寿命が十倍は変わる。日本の拙い技術でも、十分に高品質を保てる筈だ。


エジソンさんの吠え面を思い描いてニマニマする。


「何を楽しそうに笑っているのかな?」


「お、お兄様!?」


ビックリした。何しろ、悪い笑顔を浮かべている最中にいつの間にか近づいていたイケメンがいたのだ。普通ビックリするよね?


「鷹尾の笑顔はいつも可愛いね」


「そ、そうかなぁ?」


いや、今、偉人の吠え面を想像してあくどい笑みを浮かべていただけですよ、お兄様。


「いや、旅順攻略戦の時の功績で少尉から中尉に昇進だよ、鷹尾に感謝だね」


「お兄様、おめでとうございます。でも何故、私に感謝なのですか?」


「迫撃砲・・・てっ言っていたかな? 曲射歩兵砲の開発のおかげで戦術に幅を持たせる事が出来たんだよ。おかげで強襲では無く、正攻法で行く意見になった。そりゃ、素早く敵塹壕を攻略できるのなら、誰だってそうするさ。それに同じ考えで、攻略に攻城砲を主力兵装として使うって話に流れて、無理な突撃は控えた上、脚気の病人が出なかったおかげで補給線の確保に成功して、要塞攻略が容易になったよ、全部鷹尾のおかげだよ」


「なるほど、そうだったんですか!」


「お嬢様、淑女たる者が今の話を簡単に理解してどうなさいます? ここは『鷹尾難し過ぎてわかんないー』って言うのが正解です。あざと道を舐めてらっしゃいます?」


茜に突っ込まれた。悔しいけど、あざとさ道に関しては茜の方が一枚も二枚も上だ。先日、あざとさだけで八百屋でおまけしてもらっているのを悔しそうに見ているだけだった。


「鷹尾、わかんなーい♡」


「今更♡を追加しても遅いです」


「・・・茜の意地悪」


「まあ、それより・・・ド級戦艦に関する鷹尾の意見を聞きたいんだけど?」


なんでお兄様は当たり前の様に軍の上層部が考えなければならない事をこの幼女に聞いて来る? 私、五歳よね? お兄様も少しは恥ずかしく思ってくれないといけませんわ。


「わ、私には難しくて無理ですわ」


「そ、そんな鷹尾が協力してくれないなんて、お兄さんはもう友達に約束しちゃったんだよ」


そう言って、上目遣いで私を見つめる。物憂げな表情で私の手を取る、失敗を話してくれる・・・自業自得だけど。


「仕方ないのですわ。お兄様の為なら、私、頑張りますの」


「お嬢様、殿方にあざとさで負けてどうなされるのですか?」


「はうッ」


茜に図星を突かれてキューとなる。


「茜さん、そうおっしゃらず、鷹尾の頭脳は頭おかしいレベルだから、ね?」


私、頭おかしいの? 酷いいい様だ。お兄様、酷すぎる。だけど、もうやけくそだ。


「ド級戦艦の誕生はこれまでの前ド級戦艦を陳腐化させましたけど、我がスバル社の製品で第一線の戦列艦に復帰する事も可能ですわ」


「ほう? では海軍に恩を売れる訳だね?」


「ええ、陸軍のお兄様に海軍のお知り合いがいたのでしたら、ふんっ」


「いや、海軍の知り合いはいないのだけど、脚気の時に森林太郎を黙らせる為に皇太子殿下の助力を願ったんだ。僕も華族の一員だから、乗馬をご一緒する機会があってね。それで今度は皇太子殿下経由で海軍の参謀が意見を求めて来たって言う訳なんだ」


お兄様・・・怖い子。齢25歳にしてそのあざとさと人脈の広さ。目的達成の為に手段を択ばない姿は見事です。絶対敵に回したくないタイプですわ。


私はお兄様に意見というか、我が社の売り込みを完了すると、ブラックジャックがやって来た。


「お前、以前、青かびの学術名を言っていたろ? あれはどういう意味なんだ?」


覚えてやがったか・・・誤魔化すの・・・できないかもしれませんわ。

読んで頂きまして、ありがとうございます。

・面白かった!

・続きが読みたい! と思っていただけたら、

ブックマーク登録と、評価(【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に)して応援していただけると嬉しいです。

評価は、作者の最大のモチベーションです。

なにとぞ応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ