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涼宮鷹尾の歴史改変日誌~令和のアラサー女子、明治の時代に転生して無双する。電子の技術は最強です!~  作者: 島風


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78改⑤計画

1937年。ホワイトハウスに居座った謎の極右大統領がロンドン軍縮条約を一方的に破棄した。むしろ軍縮を望むべきはアメリカの方であり、英日とも了承。軍縮条約は破棄され、日本はアメリカの建造案を鑑み見て、建造計画を立てていた。高度経済成長の波に乗り、英国と共に軍事力を増強可能な日本に対し、アメリカは1941年12月、卑劣にもトラック島への奇襲を強行。


これを受け、帝国海軍は前代未聞の超大建造計画マル急計画を発動させた。


「・・・改大鳳級を4隻、さらに改飛龍級8隻にG16号軽空母16隻? おまけに超甲巡に重巡・軽巡・駆逐艦が計80隻以上・・・。これを全部、1年以内に就役させろっていうの?」


私はマル急計画の目録を放り出した。海軍工廠は改⑤計画の大型艦にかかりきりで、空母の大半は我が涼宮財閥に丸投げ。民間造船所のドックはどこも満杯だからだ。


「アメリカのエセックス級が増産される中で、あんなに手間のかかる装甲空母を量産するなんて、得策じゃないわ。翔鶴級の方がよっぽど作りやすいのに」


「そうはおっしゃっても、オーダーを出したのは海軍艦政本部の面々ですから。彼らの意向は絶対、というのがこの国のルールでは?」


茜が涼しい顔で紅茶を淹れる。その落ち着きが、今の私には少しだけ癪に触る。


「あの人たち、現場の苦労も物理法則も無視した理想論ばかり並べるから嫌いなのよね。要求仕様を見てるだけで頭が痛くなるわ」


「では、大型空母の納期は絶望的・・・ということでよろしいですか?」


「・・・。納期遅れなんて、絶対にしないわよ!」


私は机を叩いて立ち上がった。


「いい? 私は社畜なのよ! 納期遅れなんていう不名誉、死んでも賜りたくないわ!」


「お嬢様・・・社畜という名の方が、よほど不名誉な気がいたしますが・・・」


「うっさい! 自分でもわかってるけど、前世から染み付いたこの根性は治らないのよ! 納期は絶対! 顧客満足度は見かけ上最高にする! これが私の生きる道なんだから!」


茜は呆れたように肩をすくめたが、すぐに手帳を開いた。


「左様でございますか。では、この不可能としか思えない納期をどうなさいますか?」


私は不敵に微笑み、ノートPCのディスプレイを開いた。


「ふふん、見てなさい。今治、涼宮、石川島播磨にあるうちの大型ドックには、すでにブロック製作工場が隣接しているわ。設計はすべて最新の三次元CAD。精度がm単位だった大雑把な時代は終わりよ。これからはmm単位で精密に組み上げるブロック工法の時代。これで工期を半分に圧縮するわ」


「しかし、一番の問題は飛行甲板の装甲では? 鋼鉄を敷き詰めれば重心が上がって建造が難しくなります」


「そこは茜の旦那様の・・・じゃなかった、協力会社から仕入れた複合装甲を使うわ。強度は鋼鉄以上、質量は半分。これで重心問題も建造難易度も一気に解決よ」


「なるほど。ですがお嬢様、機関も重大な問題では? 蒸気タービンはどこの造船所も奪い合い、ディーゼルではこの巨体を30ノット以上で走らせる力がないのでは?」


「ふふっ。世界恐慌の時に石川島造船所が困ってらしたから、うちの播磨造船所と合併させて石川島播磨造船所にしたの、覚えてる?」


「ええ。お嬢様がまたアコギな買収をしていらっしゃると感心しておりましたが、それが何か?」


最近、茜の毒舌に耐性がついてしまった。ツッコミを返したら負けだ。私は無視して続ける。


「その石川島播磨が、ついにガスタービンエンジンの実用化に成功したのよ。ジェットエンジンと仕組みは同じ。膨大な資金を注ぎ込んだ甲斐があったわ。来年にはジェット戦闘機も飛ばせそうよ」


「ジェット機まで・・・? お嬢様、機体設計の方は大丈夫なのですか?」


「・・・知らないわよ。航空工学は専門外だもん。そこは丸投げ!」


「・・・本当に無責任な投げ方ですわね」


茜の視線を無視し、私は図面を指差した。


「ガスタービンで発電し、スクリューは電動モーターで回す。そう、統合電気推進(IFEP)よ! 複雑な伝導軸もいらないし、配置の自由度も高い。これで工期がさらに縮まるわ」


「しかし、そうなると英国から分捕・・・いえ、譲り受けた蒸気カタパルトが使えませんのでは?」


「そのために電磁カタパルト(EMALS)を開発済みよ。大型コンデンサーセルの調整には時間がかかるけど、現場が24時間戦えますかにすれば納期には間に合うわ」


「・・・お嬢様。それはかつてお嬢様が軽蔑なさっていたブラック企業というものではございませんか?」


「自分がそこで働くのは嫌だけど、他人が働く分にはいいんだもん!」


「・・・」


茜の冷ややかな視線が突き刺さる。けれど、私は止まらない。納期のため、そして何より勝利のために。


「ふふっ、これでようやく大型空母(大鳳改)の目処が立ったわね。主機をガスタービンとディーゼルのハイブリッドにする・・・この統合推進は、中型空母(飛龍改)にも横展開できるわよ。これで蒸気タービンの奪い合いからおさらばね!」


涼宮邸の会議室。大型プロジェクターに表示された艦隊建造進捗表を前に、私は勝利を確信して扇子を広げた。


「軽空母(G16型)の主機だけは、設計の都合上蒸気タービンのままだから、これに充てる分さえ確保できればいいの。大隅級用の艦本式ボイラーとタービンの権利はガッチリ入手済み。涼宮財閥内の供給ラインに死角はないわ」


「流石はお嬢様。・・・で、こちらの小型艦、松級の改良案はどうなさるおつもりで?」


茜が差し出したのは、かつて丁型と呼ばれた急造駆逐艦の図面だった。


「これには、うちで新開発したコンパクトな高出力ディーゼルを積むわ。出力が上がるのに安価で省スペース。速力は28ノット程度に抑えるけど、経済性はピカイチよ。令和の時代の欧州でも、速力を犠牲にして安価なフリゲートを量産する思想があったわ。松級に求められるのは、このお手軽さだもん」


「安物、という意味ですね」


「・・・コスパが高いと言いなさい。これに対艦ミサイルを連装で二基、さらに無人偵察機V-BATを二機搭載するわ。これで広範囲の哨戒が可能になる。北海でドイツ軍の戦艦と対峙しても、輸送船舶を守り抜けるだけの装備よ。これでようやく、ビスマルク級の通商破壊活動に怯える日々ともおさらばできるわね」


「・・・ところで、お嬢様。この改鈴谷型重巡洋艦の要求仕様書にあるイージス・システムというのは、一体何のことですの?」


「・・・何ですって!?」


私は茜が突き出した仕様書をひったくり、二度見した。


「そっか・・・今さら重巡建造なんて、何考えてるのかしらって思ったけど。艦政本部にも、案外先見の明がある人がいるじゃない!」


「どういうことです?」


「西村大佐・・・今は提督ね。彼の大戦果でミサイルの有用性が証明されて、ようやく対空ミサイルも正式配備されることになったの。アメリカ軍正規空母からの飽和攻撃・・・つまり数百機単位の波状攻撃を考えると、今の艦隊防空じゃまだ不安なのよ。それを解決するのが、このイージスよ。同時に200機以上を捕捉し、20以上の目標に同時攻撃可能。ミサイル射程は50km程度だけど、この時代なら無敵の防空網になるわ!」


「お嬢様が作った、あのせっこいミサイルをばら撒くわけですね」


「うっさい! せっこい言うな!」


「だって、お嬢様は世界一せこいお嬢様ですから」


茜がドヤ顔で言い放った。・・・最初からこれを言うために、私を誘導していたに違いない。悔しいけれど、いつの間にか彼女の土俵に引きずり込まれていたわ。


「さて・・・せっかくだから改⑤計画の話もしておきましょうか」


1941年に立案されたばかりの⑤計画だが、開戦によってその姿は変貌した。史実ではミッドウェーで空母を失った後の空母の穴埋めだったが、この世界線では違う。日本は最初から、アメリカ同様・・・いや、それ以上のスピードで主力空母を量産する体制に入るのだ。


【改⑤計画】


改大和級戦艦:2隻(46cm三連装砲三基のこっちの方が大和っぽい艦)


超大和級戦艦:2隻(51cm三連装三基搭載の化け物)


G14型大型空母:8隻


改大鳳級空母:24隻


B65型超甲型巡洋艦:2隻


超阿賀野型軽巡:8隻


駆逐艦・潜水艦・補助艦艇:多数!


「さあ、日本より国力が劣るアメリカさんが、この消耗戦をどうするおつもりかしら? そもそも日本は、消耗すらしない予定なんだけど」


私は窓の外、涼宮邸の外を見つめた。


「この艦隊が完成する遥か前に、彼らは講和のテーブルに着くことになるわ。チャーチルさんにも動いてもらって、早めに手打ちにした方が彼らのためよ。・・・じゃないと、我が国の原子爆弾が先に完成しちゃうもの」


「お嬢様・・・最後のは冗談ですよね?」


「ふふ、どうかしら? 茜、まずは今夜中に、改大鳳級5番艦から12番艦までの工程表を見直しなさい。職人さんの休憩時間と食事時間を削って納期をあと一週間前倒しするわよ!」


「・・・やはり、お嬢様が一番のブラックですわね」

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薄給で24時間働けますかするんじゃありません。あれはバブル期の業績、賃金うなぎのぼりのイケイケどんどんから来るとこも大きいのだ 
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