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涼宮鷹尾の歴史改変日誌~令和のアラサー女子、明治の時代に転生して無双する。電子の技術は最強です!~  作者: 島風


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15オハ油田開発

1910年、私は10歳になった。株式会社スバルは順調に成長し、世界的に有名な電気メーカーとなっていた。また、子会社の太田製作所の工作機械は安価で精度の高い製品として全国に販売網を構築する程に育った。


また、サハリン全島が日本領になった事から手続きを踏んでロシア人実業家からオハの石油鉱業利権を獲得した。


とは言うものの、この時代で極寒の地での石油の採掘はおろか、現実的な原油の運搬方法が確立されておらず、技術革新待ちになる。その為、現状土地の権利や採掘権の確保に留まる。


外貨を貯めて、ドイツあたりから石油の採掘機材購入と技術者を招聘し、原油の移送にはパイプラインを建設する予定だ。何しろ史実のオハ油田のパイプラインは僅か一キロ先の港までしか結ばれておらず、結氷と波浪のため春から秋の間の4~5か月程度の間しか出荷が出来なかった。


その為、私はパイプラインを大幅に延長し、サハリンの南端の不凍港コルサコフ(大泊)まで繋ぎ(距離約900km)、最終的には北海道を縦断して苫小牧港(総延長1500km)まで繋ぐ計画を立てている。出来れば国策事業としてやってくれると我が社の懐も痛まない。世界恐慌の後の景気刺激策に期待するか。


ちなみにトランジスタの開発に成功したものの、あまりに革新的過ぎて、渋沢先生を通じて待ったがかかった。軍部がしゃしゃり出て来たのである。


と、言うのも一樹兄様の唯一の友人の高木中尉に射撃管制装置のトランジスタ版を提案したところ、海軍上層部の耳にトランジスタの性能が伝わり、海外にこの技術が流出するのを恐れた。


私が以前開発した射撃管制システムは真空管式で、寿命や耐久性に問題はあったが、極めて有効な射撃精度を得られる事が射撃訓練で判明しており、当時の戦略兵器、戦艦の能力を格段底上げするこの装置の重要度は国家機密レベルとなっていた。


それがトランジスタ式になると更に小型化と長寿命の両立になるのである。


と、言う訳で、渋沢先生に呼び出されて、海軍省を訪問していた。


私を待っていたのは・・・なんと海軍軍令部長東郷平八郎とうごうへいはちろうだった。


「ご足労頂き、ありがとうございます」


「こちらこそ、お招き、ありがとうございます」


淑女の礼を披露し、促されて席に座る。


出されたのは紅茶で、流石英国式の海軍だなと感心した。そう言えば、一樹兄様のご友人、高木様は一度もお茶も茶菓子も出さなかったと、気が付いた。


「お話は我が社のトランジスタ開発の件ですか?」


「おっしゃる通りです。貴方には大変恐縮ですが、あの技術を欧米列強に渡されると我が国の安全保障に発展しかねないと判断しました。政府からも追って交渉があるでしょう」


「国家の安全保障上、技術の輸出に制限がかかるケースに理解はできますわ。・・・ただ、無条件でと言うのは如何なものでしょうか?」


「う・・・む、そうは言われましても、何分この様な事は前例が無く、私としてもどうしたものかと貴方をお招きした次第です」


つまり東郷閣下は軍の都合で民間企業の我が社に迷惑をかける事に自責の念があるようだ。


令和出身の私にとったら、日本からの技術輸出にアメリカの法律が適用されるなんて無茶苦茶な道理がまかり通っていた訳だから、正直、諦めていた。


でも、自責の念を持ってくれているなら、ここは大いに恩を売って、対価を要求してもいいんじゃね? そう思った。


「我が社は北樺太のオハ油田の権利を取得しています。資金的に試掘はかなり先にしようかと思っておりましたが、日本政府が援助して頂けるのでしたら、ドイツから技術者を招いて採掘し、パイプラインを不凍港コルサコフ(大泊)まで敷設すれば、日本は年間百万トン以上の石油を獲得する事が出来ます。我が国の戦艦も石炭を従とし、重油を主として使用する方針ではございませんか? その重油をアメリカやオランダ領のジャワ油田に頼らなければならないと言う状態こそ安全保障上の大問題ではございませんこと?」


「北樺太に本当に油田などあるのですか? にわかに信じられない話ですが?」


「こちらの資料は利権を獲得した際に先方のサハリン石油工業ゾートフ組合から頂いたものです。和文化した物も合わせて提出します。ロシアで既に試掘は終わっています。資金さえあれば採掘は可能です」


東郷閣下は和文の資料の方に目を通し、何か決断をした様だ。


これが本当の提督の決断か、何しろ、日露戦争の英雄、日本海海戦の勝者、海軍では生きる神様と言って過言ではない位のスーパーネームド級偉人である。物腰は柔らかいが、目つきは鋭く、私の提案を検証しているのだろう。


当時の海軍省、というか、省の長たる大臣が総理大臣と同格という令和の時代から考えたら致命的な政治的弱点を持っていた旧憲法だった訳だが、逆に言えば、海軍が政治の中枢に自己都合を無理やり通す事も容易だったという事だ。


「わかりました。桂総理大臣と話をつけて、真剣に検討しましょう」


こうして、東郷閣下は桂内閣と話をつけて、実に二十万円(現在の価値で10億円位)の助成金をつけてくれた。こちらとしては、本当は国の助成金などあてにしていなかったので、渡りに船である。おかげでオハ油田採掘開始の時期が早まった。

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― 新着の感想 ―
石油採掘のついでにLPGの普及と燃料分散ですね。LNGも押さえるとして石炭を石炭ガス化発電利用とかですね。
大臣はあくまで政治の場においての権力を持つが、実際に天皇と繋がる(統帥)は軍令部総長にあり、上奏権(直接天皇へと報告、直命を受ける)を有すると考えられていて、大臣と軍令部総長は同格と見なされる存在だっ…
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