11ドレッドノート革命
1906年一隻の戦艦が誕生した。その戦艦は過去の戦艦を一気に旧式へとならしめる画期的な戦艦だった。
当時の戦艦は年々砲の大型化が進み、有効射程は遂に1万メートルを超えた。その為、射撃精度を上げる事が命題とされ、同一口径の砲による斉射が有効とされていた。
そこで大型の同一口径砲による斉射に徹底的に重点を置いて開発されたのがドレッドノート級戦艦だった。
この戦艦は中心線上に三基の連装主砲を配し、両舷に各一基の主砲を置き、片舷に四基八門の主砲を指向出来た。
これは事実上それまでの戦艦の二倍の火力を有する事を意味していた。
・・・そして各国で悲劇が起こる。そう、竣工したばかりか建造中の戦艦が旧式化してしまうという現象が起きたのである。
ドレッドノート級戦艦以降をド級戦艦と呼び、ド級は驚愕を意味する感嘆詞ともなった。
もちろん日本も同様で、新鋭の香取型戦艦、薩摩級戦艦、筑波型巡洋戦艦、筑波型巡洋戦艦が竣工時に旧態化している、という状態だった。
これに危機感を覚えた日本はド級戦艦河内型を国内建造すると同時に超ド級戦艦の金剛型戦艦をイギリスに発注(ニ番艦から四番艦は国内建造)した。
海軍省の中では竣工、もしくは建造中の戦艦についても論議されていた。そこに高木飛竜少尉の試製12cm単装速射砲の試験結果が物議をかもした。
「この試製12cm速射砲の試験結果は本当なのか? にわかに信じられんぞ」
「いえ、試験には多数の人員が参加しています。試験結果の改ざんは不可能です」
「ならば、この砲は従来の連装12cm砲の五倍の投射量を持つと言うのか?」
「それだけではない様です。命中精度は十倍近く跳ね上がっています」
感嘆する上級将校に対して開発者である高木飛竜少尉に説明が求められた。
「クックックッ。この試製12cm速射砲は言わばガトリング砲と同じだ。ガトリング砲の先端に一つの砲身があると考えればお前ら凡人でもわかるだろう。それに加えて電子式自動射撃管制装置の存在も少しだが優秀だと言える。何しろこの試験は回避行動中の物だ」
「何だと? 回避行動中にだと?」
「馬鹿な! 回避行動中に射撃など出来る筈が無い!」
「仮に射撃出来たとしてもメクラ撃ちになって命中する筈がなかろう?」
「凡人は全く・・・それが出来たと言っておろう」
高木少尉の非常識さは周知されていたため、そこに突っ込むものはいなかったが、試験結果は驚愕に値するものだった。
「これが事実だと言うのだな?」
「立ち会った士官に確認すれば良かろう」
「間違いありません。私が立ち合いました」
皆、互いに顔を見合わせて一人が言い出した。
「この砲については最高機密として口外不要、これは戦略レベルの兵器だ」
「ドレッドノート革命処ではない。これはそれを遥かに凌ぐかもしれん」
「確かに・・・しかし、この砲を旧態化した戦艦群に装備できぬのか?」
「全く凡人は。いくら天才の俺でもアームストロング砲を簡単に改造できるか。せいぜい自動管制装置でも付けておくんだな」
こうして試製12cm速射砲は駆逐艦用の四十口径四一式四吋七砲として正式採用され、以後の駆逐艦の主砲とされた。
海外には砲の半自動化に成功し、射撃速度を二倍に向上させたと過少した評価を公開した。
以後の新型駆逐艦は航続距離を重視し、火力より継戦能力、主力艦隊との帯同能力を向上したと発表された。
一方、旧態化した戦艦にはスバル製の電子式自動射撃管制装置が採用された。
この措置が後の第一大戦での日本海軍の活躍を呼ぶことになる。
筑波型巡洋戦艦
排水量:13,750t
全長:137.1m
全幅:22.8m
石炭・重油混焼水管缶20基+四気筒レシプロ機関2基2軸
最大出力:20,500馬力
最大速度:20.5kt
30.5cm連装砲2基4門 電波探知機連動自動追尾式電子射撃管制装置一式
15.2cm単装砲12基12門
12cm単装砲12基12門
艦隊統制射撃用データリンク一式
水上捜索用電波探知機一式
水上機1機
海風型駆逐艦
排水量:1,030t
全長:97.84m
全幅:8.56m
艦本式缶 混焼缶6基、重油専焼缶2基 パーソンズ式直結タービン
最大出力:20,500馬力
最大速度:33 kt
四一式12cm単装速射砲 2門電波探知機自動追従電子式射撃管制装置一式
四一式8cm単装砲 5門
45cm単装魚雷発射管 3基
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