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涼宮鷹尾の歴史改変日誌~令和のアラサー女子、明治の時代に転生して無双する。電子の技術は最強です!~  作者: 島風


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10/24

10海軍工廠と12cm単装速射砲

西暦1905年3月、春の息吹が感じられる頃一樹兄様からペニシリンの発見に成功したとの報を受ける。僅か1か月余りでの事で驚いた。彼はこの時代に未だなかった培養液の開発も行っている事になる。


その上、ペニシリン培養の媒材も発見し、カビを分散させて効率よく培養する液体培養法も確立した。


・・・そこまで教えてないのに、よくもまあこんなに短時間で・・・。


フレミング先生ごめんなさい。私は史実でこの発見をする筈だった医学博士に心の中で思わず謝罪した。


と、思っていたら、その一樹兄様が我が家を訪ねて来た。


新聞で報道されたり、学会やお偉いさんとの会食や会談など忙しい筈なのに何故?


そんな疑問に兄様はあっさり答えた。


「誓約を果たす時が来た。約束通り、海軍工廠で働いている友人を紹介する」


「今から?」


「何か都合が悪いのか?」


「おやつ前なのよ!」


一樹兄様は一瞬、あっけにとられた顔をすると、こう言った。


「何を子供みたいな事言ってんだ?」


「私、5歳の幼女なのですわ!」


モグモグモグモグ


バクバクバクバク


「これ、美味いな」


「我が家の名物、ショートケーキですわ」


「ほう・・・これもお前の?」


「ご想像に任せます」


一樹兄様をジト目で睨んで自分のショートケーキに専念する。


私はたったの一切れなのに兄様は三切れも食べていてずるい。


「身体の大きさが違いますので我慢くださいませ、お嬢様」


茜に言われるも無く分かっているけど、ケーキを三切れも食べるっておかしいよね?


「こうして見ると、ようやくお前が子供だと理解できるな」


「私を何だと思っていらっしゃいます?」


「う・・・ん? 妖怪か何かの手合いだと思うが?」


「真顔で言わないで下さる?」


だから、心底困ったかと言うか、マジでそんな風に思っていたという顔止めて下さい。


おやつタイムの後に兄様と近くの海軍省の建物に向かった。海軍省は霞が関にあり、山の手の私の家から馬車でそれ程時間はかからなかった。


手土産のショートケーキも怠りない。


何しろこのショートケーキは和菓子に飽きた私が料理長に無理を言って作らせた代物だけど、その美味しさに我が家の名物となっている。


お父様達もお客様にふるまって大変好評を得ている自慢の一品だ。


ちなみにショートケーキの発明は1920年代だから15年位時代を先取りしている。


「高木いるか?」


「ああ、遅かったな、入れ、くくくくっ」


一樹兄様が無遠慮にドアを叩くと中からやはり不愛想な声の人物の声が帰って来た。


わぁ~。


第一印象がこれである。一樹兄様もたいがいだが、この人も確実に変人だろう。


眼鏡に白衣、ぼさぼさの頭に髭はちゃんと剃っていない上、会話の所々にくくくくっ、ていうのが入る。変人の友人はもっと変人という事か?


「で? その子が私に用があると言うのか? 私におもちゃなど作れんぞ?」


「いえ、高木様にお作り頂きたいのは速射砲です」


「何?」


突然雰囲気が変わった。いい食いつきだ。


「これを見て下さい」


私は予め用意していたスケッチを複数見せた。


「砲塔内の砲尾直前に三発程度のシリンダー状の簡易弾倉を設け、そこへ揚弾された砲弾をラマ―で押し込みます。ラマ―は螺旋状に左の揚弾機から弾倉に導き、揚弾機の下部には回転給弾機を設けます。給弾機一機あたり40発程度格納すれば、二段で80発は即応射撃が可能になる筈です」


「・・・こ、これは」


私のスケッチを見て真剣な表情を見せる。よし、真剣に考えている、更にもう一押し。


「更に砲塔を電動油圧式、砲身を水冷式とすれば速射能力や射撃精度が格段向上します。それに我が社の開発した電子式自動追尾装置を組み合わせれば、命中精度も大幅に改善できますわ」


私は更に水冷式砲身のスケッチ、電子式自動追尾装置の資料を提出した。


「待て待て待て・・・これをまさかこのお子さんが考えたと言うのではないだろうな? 一樹、お前、俺をからかっているのか?」


「冗談は止せ。こんな頭のおかしいレベルの事を考えられる大人がいるか。俺のペニシリンの発見もこの子のおかげだと言えば理解できるか?」


「何だと? あの発見にこの子が関係しているのか?」


「関係している処か、俺はこの化け物の言う通りに従ったに過ぎん」


一樹兄様、人の事、頭おかしいとか、化け物とか言うな。


「そんな事をにわかに信じろと?」


「信じられないかもしれないが、事実だ。それに鷹尾は未来から来たと言っている」


「ますます眉唾だろう?」


「なら目の前のアイデアを考え付く人間が今の海軍工廠にいるのか?」


「・・・確かに・・・クックックックッ、フッはっはっはっはっは! つまりこの子は悪魔の子だと言うのだな? いいだろう、その取引乗ったぁ! 対価は何だ? やはり魂か? くれてやるぞ、そんなモノ!」


ゴン


思わず近くにあった物で高木様を殴った。


「私は悪魔でも悪神でもありませんわ。ただの・・・未来の知識を持っている幼女ですわ」


「そういう事にしておこう。何、後で魂を要求されても文句なんて言わん! これで軍部の上のヤツに復讐できる! クックックッ! はっはっはっはっは!」


いい加減、私を悪魔の子と認定するの止めて欲しい。これでも愛らしい五歳児なのですわ。


それに、兄様の親友って、属性がお兄様と同じなのですわ。


「安心しろ高木。俺も魂位は取られる覚悟ができている」


兄様・・・あんたもかい・・・。私は兄様の頭も思いっきり手近のもので殴っておいた。




試製12cm単装速射砲


口径120mm /45口径長


射撃速度30発/分


初速825m/秒


作動方式 電気油圧式


有効射程15000m


装填方式 弾倉式




イタリアのオート・メラーラ社が1950年代に開発した76mm砲のアイデアを模したこの砲は通常1分間に5-6発程度の射撃速度を30発にまで早めた。高木少尉は将来60発/分位までの能力向上を示唆していた。あれから僅か二か月後の事だった。

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